かなしい顔

 うっかりガチ告白をしてしまったのですが…

 

 演技とはいえ、優花がめっちゃ赤い顔をしていた。

 

 優花…

 

 オレは優花の肩をがっつり掴んで、

「優花‼︎優花は、すげ〜よ‼︎」

 と感動した。

 

 演技が本物みたいなんっすよ‼︎

 

「えっ…すごいって…?」

 

「だから、オレの告白をさ、ほんとのように受け入れるっていうか…その演技がもう、オレにガチ告白されてるみたいな表情ってか、反応!ほんとすごいって‼︎」

 と褒め称えた。

 

「あー…、うん。お褒めのお言葉ありがと。てか、今度はちゃんと冗談じゃなくて、ほんとに好きな人に向けて告白の練習しなよ?」

 と言われてしまいました。

 

 …

 

 ほんとの告白の練習ねーー。

 

 さっきガチ告白したし。

 優花がほんとに好き…なんて言えないからなー…

 

 …

 

「わたし…もう一回練習していい?」

 と言われたので、

「うん。いいよ」

 と返事すると優花は、

「今度は、部屋じゃなくて…ほんとの外でする‼︎」

 と宣言した。

 

 しかも、夜の花火を見ながらしたいというじゃありませんかっ⁉︎

 

 花火大会…もうすぐだけどさ…

 

「あのさ、その日告白の練習してもいいけど…その日に練習してたら、今度の告白のチャンス…来年の花火大会になるよ?」

 と教えてあげた。

 

「あ、そっか!花火見ながら告白したら雰囲気いいかなって思ったけど…そこで練習したら一年またないと花火大会が開催されないのか!」

 と優花は、笑った。

 

「まったく優花は…。なら、今練習して花火大会に告白したら?」

 と提案すると優花は、しばらく考えて

「やっぱり一年後でもいい。練習したい。一緒に花火大会…付き合ってもらいたい…ダメ…かな?」

 と、真剣にオレに訴えかけてきた。

 

 いや、オレは嬉しいけど…そんな一年後とかって…

 

 優花…マイペースすぎないっ⁉︎

 

 一年後の告白の練習って…

 

「あー…、オレはいいけど…」

「あっ、でも真樹弥も好きな人と行きたいよね…。誘う予定だったよね。ごめん…あ、じゃあさ…わたしを誘うフリして練習…どうぞっ‼︎」

 といきなりまた練習が始まってしまった。

 

 …

 

「あー…、でもさオレはやっぱり優花と行きたい。優花と一緒に花火みたいんだ。だから一緒に行こう。」

 と誘った。

 

 すると優花ってばさ…

 

「うん‼︎グットです‼︎ナチュラルに誘う感がバッチリだったよ!合格‼︎」

 となぜか合格をいただいた。

 

 いや…今練習じゃなかったんだけど?

 

「あのさ、優花」

「なんですか?」

 

「オレ…、優花とほんとに花火行きたい。練習とかじゃなくてガチで一緒に行きたいんだ。どうだろ?」

 と、誘った。

 …

 

「えっ⁉︎そ…そうなんだ…?いいの?」

「うん!もちろん。さぁ、姫いきましょう」

「はい!」

 優花の手を握った。

 

 そして二人して部屋のカベにぶつかった。

 

「「あはは」」

 

 

 

「花火楽しみだねっ」

 優花が無邪気に笑った。

 

「うん、楽しみだな」

 とオレも笑った。

 

 

 しかし、優花は…なんでそんなに告白を遅らせたのだろうか…。

 

 

「なぁ、優花」

「ん?」

「告白さ…一年後とかって遅くね?」

 

 すると優花は、ベッドにポスンと座って

「実はね、わたしの好きな人がさ…わたしじゃない他の人好きだから…だから振り向かせるのに時間がかかるっていうかさ…」

 と俯いた。

 

 …さっきまで笑ってたのに、また優花をかなしい顔にさせてしまった。

 

「でもさ、優花の勘違いかもしれないじゃん⁉︎」

 と、フォローをしたつもりで言ってみると…

 

「その人…好きな人の名前まで教えてくれたわけ。だから…遠回しに協力してってこのなのかなってさ…。だから、わたし今全然脈なしなのっ」

 と、とてもかなしい顔したじゃん‼︎

 

 オレのせいっすね…。

 

 優花…

 

「ごめん。優花…オレまた余計なこと言って…」

「ううん。これが現実ってやつだよねー」

 と、天井をみてかなしく笑った。

 

 …

 

 もー…、そんな顔すんなよー…。

 

「優花…オレじゃ全然どうしようもないけど、でもパワー分けてやる」

 と、優花を優しく包み込んでハグをした。

 

「ありがとう。やっぱり優しいね。」

 

 …オレは、優しいのか…優しくないのか…自分でもわからない。

 

 そもそも…優花の恋を応援したいけど、したくないような…とても複雑な状態だった。

 

 そして…今も…優花にパワー分けてあげるとか言ってさ…

 

 そんなこと言って…ハグしながら癒されちゃってるし…。

 

 

 こういうところだよねー…。

 

 たぶん優花がオレじゃないオレ似の人を好きになるところってさ…。

 

 

 まぁ、オレのどこらへんが似てるのか知らんけど…。

 

 

 …

 

 どこらへん?

 

 気になる…。

 

 顔…なわけないし…性格…もオレ変態だし…

 

 …

 

 今日は、もうそれは聞かないでおこう…。

 

 また優花がかなしい顔したらかわいそうだもんな…。

 

 

 続く。

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