おやめください
次の日、優花の言っていた通りに優花の部屋へと向かった。
で…
えっとー…
オレは優花を見るなり固まった。
だって…だってさ…部屋着がね…もうめっちゃかわいいわけよっ‼︎
森の動物さん♡って感じなんですよ?
白いモコモコの服…にコロンとした丸いしっぽ…そしてフードには…うさぎのみみ…。
かわいいとかの騒ぎじゃないよねー…
罠でも仕掛けてとっ捕まえたいわー。
そんでオレが捕獲してさ、優花うさぎに恩返しをしてもらって…ってさ‼︎
そんなこと言っている場合では、ないっ‼︎
「あ、来てくれたんだ」
「お、おう…。」
もう…これは嫌がらせでしょうか?
大好きな幼馴染がこんな可愛らしい格好をしているのに…オレは彼氏でもなく、なんなら優花にはオレじゃない、おそらくオレ似の好きな人がいらして…そんでもって…ここに呼ばれた意味‼︎
意味がわからんっ‼︎
意味不明な嫌がらせっ‼︎
神さま…オレは今どんな罰を受けていらっしゃるのでしょうか…?
…
思い当たる節は…実は…ひとつあります。
幼馴染に変態行為を繰り返していること…ですよね。きっと…。
これからは、気持ちを改めてやっていきましょう。
はい。
だからこんな可愛らしい幼馴染を目の前にしても、喜んではなりません。
落ち着いて。
ゆっくり深呼吸して、こちらさんはただの幼馴染。
かわいい格好をしていても、もうすぐよそ様の彼氏に奪われるただの幼馴染。
はい。
ですから…みなかったことにしてオレは、
「おじゃましましたーぁ〜っ」
と、小声でいそいそっとドアを閉めましたとも。
そして、そっと階段を一段…また一段とおりましたとも。
「ちょっと‼︎特訓です‼︎」
と、白うさぎの先生は耳をユサユサしてしっぽをぷりぷりしてオレを呼び止めた。
「オレさー…、これからどんな訓練うけんだよ…」
もうそんなヤバい格好の先生いたら…さ…
ね?
それはそれは変態なら喜んで‼︎ってなるけどさぁ……いや、オレは変態だけどさぁ…でも…ねぇ……。
もう…十分罰受けましたよね?
もう勘弁してくださいよ。
辛いっすよ。
幼馴染がどんどん可愛くなって、オレの元を去っていく姿を見届けるなんてさ…。
やめてください‼︎
ほんとに、おやめください‼︎
お客様、そこは従業員専用通路でございます。お食事の場では、ございませんっ‼︎
くらい、迷惑行為。
優花は、ほんとに迷惑なくらいかわいい。
「あのさ、わたし…わたし…真樹弥が彼女できるまででいいから…それまで毎日ハグしてもらいたい。」
と、かわいい目でオレに訴えてくる優花。
はい…⁇
そしたら…それは一生毎日ハグする可能性高いけど…ね。
でも、オレに彼女できるまでっていうより…優花が彼氏できるまでの方が…いいような。
てかさ、この前…特訓一週間とか言ってなかった?
特訓とハグは、別…なの⁇
てか…優花って…優花って…もう合格認定されてるけど…告白しないのかな?
「あのさ、優花」
「はい…」
「好きな人いるって言ってたけど、もう告白したの?」
…
しばらく俯いて優花は、
「ううん。告白する前にフラれたかも」
なんて言い出すんですよ?
「え、なんだよ…それ」
「なんかさー、その人わたしの友達のこと好きみたいなんだよねー。」
と、ぽろぽろ涙を流した。
マジかよ…
「そっか…。まぁでも優花は、頑張ったよ」
と肩をポンポンしてやった。
するとオレのむねにしがみついてワンワンないた。
おぉう、こ、これは不謹慎だが正直嬉しい。
その男…許せないが仕方ないとも思う。
もしかしたら、優花の気持ちに気づいていない可能性もあるよな…。
優花、告白してみたらいいのに。
まだ、チャンスあるかもしれないのにな。
だって、こんなに可愛くて性格もいいやついないだろ。
…どこのどいつなんだろうねぇ、こんなかわいい優花の気持ちに気づかないおバカさんはさ。
あー、もったいない。
「優花、まだチャンスはある‼︎もっとアタックしてみなよ。」
「えっ…そ…っそうかなぁ…?ダメだと思うけど…」
「ダメじゃないかもしれないだろ?元気だしなって」
オレは優花の涙を優しく拭いてにっこりしながら、
「諦めんなよ」
とアドバイスした。
ほんとは、諦めてオレのところにって言いたいところだけど…渋々仕方なくオレのところにっていうのもなんだかかわいそうだし…申し訳ないからな…。
きっと優花は、強引に言えば…流されやすいからもしかしたらオレにもワンチャンってことは、ありそう…だけどそれは絶対虚しいだけに決まってるもんな。
「わたし…もう少し…頑張ってみようかな」
「…うん!その調子だ‼︎グイグイいってやれ‼︎」
と二人でハイタッチをした。
…ら、いきなりそのハイタッチからなぜか手を絡められた。
…なぜ⁉︎
ハイタッチからの恋人繋ぎ…?
よくわからんから指を舐めようとした。
「わぁ〜、かわいいおててだぁ〜。どれ、ベロベロベロベロ」
と舌をペロペロ音を立てながら近づくと、あっという間に手を解放された。
ホッ。
「キモいからっ!」
「ハハッ」
やっと優花は、笑った。
続く。
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