第6話.そこはかとなく氷解
そこはかとなく氷解.1
〔どこにするのかは、
〔…わかった〕
選択を
それだけだ。
納得のいく
ほぼ、平面に
そのうち、北に位置する
《法の家》にあって。《
やはり、例の構成がほどこされていないその区域(空間)になる。
てくてくと。下りかげんの丸石の
この組織は、物資を外から取り寄せることもするが、かなりまで自給自足もしているので、作物を
中央庭園も例外ではなく、季節に応じ
それでも南北にわたり、けっこうな面積を備え、初期の自然もそれなりに残されている(自然庭園風味の)その
納得のいく場所を選ぶ過程にあって。
欠損部の多い不充分な情報を脳内でしきりに
対決する地点にむける強いこだわりもあったが、それよりも…――
彼の足が定まらない最大の原因は、彼自身の考えがまとまらない現実にあったのかもしれない。
セレグレーシュがこの組織を目指すきっかけをもたらした友人——ヴェルダは、彼より二つか三つ年長の十六歳から十七……十八歳。
それは基準があやふやななかにも、〝対象が
人間のあり
出会ってからこのかた、ずっと成長が
ごく最近、耳にするようになったその声がヴェルダのものとそっくりだったので、一度はそうなのではないかと――…
〝その彼〟なのではないかと、疑ったことのある力ある存在。
探りを入れてみたのに、〝否〟とも〝そう〟とも答えてくれなかった人だ。
事実。その個体が
本人なのか、そうでないのか……。
以来、事実関係を問い
現実がどうあろうと、ヴェルダという存在に対する
これと根ざす相手に対するこだわりが強いだけに、しつこく刺激するのもはばかられ。うたがわしい人物が、闇人である事実もあいまって。
気になりはしても、もしかしたらと思えば、そのひとを困らせたくもなかったので…――セレグレーシュは、このところずっと。
その問題から目をそむけ。そこに見えていようと見えていないふりを決めこみ、意識して距離をおいていた。
消極的になって、うやむやに流していたのだ。
――けれども。
ヴェルダが
あれやこれやと。
さほどなく
いっぽうの
苦情を言われないからといって、いつまでも決定を
そうして明かされるであろう実態……解答がどんなものであろうと。
内苑に足を踏み入れてから、さほどなく。
相手がしびれをきらしはしないかと、
家の周辺一帯が《
迷い込んでも、さして苦もなく抜けだせる
ぐるりと遠隔的に人の行動圏に
そのようにして内部庭園のうちに残されている二つは、
禁止されている
ときには森林下における法印構成の授業や自主訓練目的の人間が入りこむこともあったが、平素は《法の家》における人類の
生命力
それをきっかけに足をとめたセレグレーシュが、意を
相手も足をとめ……
〔…――
切り出しを迷いながらも口を
〔……いいよ。でも、こっちにも
君は、ヴェルダを知っているだろう?
知らないというなら、オレが納得できる説明をしろ〕
すると彼より(外見が)
〔普段は
〔
不安を
そう
〔そんなんじゃない! オレは…(ただ)……。決めつけたくないだけだ。
そんなごまかし…――言葉で、はぐらかされてやる気なんて無いから!〕
これまで
相手がどんなつもりなのであれ、自分が相手にどう見えているのであれ。
こと、これに関しては
心を
すると彼を
〔だろうね。だけど……。おなじ性質のものが、複数あるとは思わないのか?〕
返された指摘に、はっとしないこともなかったが、セレグレーシュの考えはすぐに
あれは同じものだし、
それは過去も今も、じっくり見たことがないもの。
手にとってみる機会もなかったもので…――興味をおぼえようと、ヴェルダに対する遠慮があったから……。
うっかり口にしてしまうことがなかったとまでは言わないが、セレグレーシュにとって、つねに重要だったのは、ヴェルダがそこにいるという事実で。
命とたとえられることもあったその石が相手のデリケートな部分であることを
だから、
——今日、目にした
あの石は、かつて友人の胸の前…――みぞおちや
そう感じられたのだ。
だからつまりは、きっと、
そんな
決して
紫色の
〔……あまり気は進まないが、ここに来て
われは、いくつか名を持っているが、〝アシュヴェルダ〟が
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