枯れかけた木に花は咲くか.4
彼の鼓膜を震わせた
(……〝「ぼくが? ――…ぼくが…渡した…」〟…——って……?)
直立不動ながら、なにがなんでもという姿勢でいたセレグレーシュは、そこで続けるはずだった言葉を
いつ入ってきたのか。
それと声を
声がしたあたりをふり
「おまえ…! やっぱり、そうか。なんでか、人間だって思っていたから、違うかなって思ったけど、あの時のやつだ!」
アレンにとられている腕の痛みに顔をしかめつつ、それがどうでもよくなるような事態……それと
視野の
例によって、その期待は、その姿を視界に
一度は停止しかけた彼の思考――それが状況を視界に見てとり、理解したことで、まわりだし、一気に回転を速める。
(――渡した? 渡したって……なんで…。なんでこれを
「まがいもの、
感情を爆発させたアレンが、本能的な
けれども。
「作用……影響の方向性は、素材や個体によって違ってくる。
効果の保証もしていない。
気にいらなければ
ここの人間が標準的に
彼らがその石を
その
少年の姿をした闇人は、顔色ひとつ変えなかった。
アレンの動揺・抗議の言及など、意にも返さない。
「っ! だけど、こんなのあんまりだ!
すぐ
はじめは、ずっと寝てたせい、体(が)、変に
ちょっとでも(石を)離すと
身体は若くなった。元気そうに見えるのに、なんで……」
「その言葉の通りだろう」
変わらぬ静かな
セレグレーシュを
「…とーりって…。
「
人として、いびつなだけではなく、
指摘した
〔君も似たような見立てなんじゃないか?〕
闇人の言語で
「
正確には違う現象で、そんな
どこまでも冷静に。
耳をかたむける者の理解を
「
個体差があるにせよ、
伝達がとどこおり、整合性がとれなくなり、
沈黙の
「――…肉体が
ときには変形し、取りこまれたり、
——彼のそれは、
疑問を投じようと誰かに解答を求めようとする種類のものではない。
少なくとも、それまでは、そうだった。
「
一歩、二歩と、前へ出る。
「おまえ、なんてこと聞くんだよ…」
セレグレーシュのとなりに並び立つことで、彼の正面があいた。
防衛に使っていた盾をおろしたようなものだ。
いっそう相手の実力を警戒するなかに、
そんなアレンのとまどいなど
「生きものは必ずしも
産まれて、すぐ
……それでも、まだ
約一名…――多少は、その言葉の意味するところや
現場に
(…っこのっ!
「そうだな…。そう思うよ」
その彼にとっては、ふり返るだけでも、けっこうな労力を必要とするので、車輪つきの椅子の背もたれに、より深く背中をあずけて。
顔は前方に向けたまま、
「たとえ、この子たちがわたしのもとを
「なにを言うの。わたしは、なにがあったって
それが
(
しらけた態度をとりつつも、
そこに、ぽそっと。
「少し…話させてくれ」
車椅子の青年が希望を告げたので、皆が口を閉ざし、深い呼吸三つほどの沈黙の
そうして。
思考を整理した車椅子の青年、シナと呼ばれる男が、ともすれば、
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