2.予定外のゴミ落下作業

 ビービービー


 普段この時間帯には鳴らないはずの警報音がけたたましい音をたてて鳴り出したのだ。警報音を聞いた男達は顔色を変えた。


「やべえ、ゴミ廃棄の警報音だ」


「嘘だろ、今日のゴミ廃棄作業は終わったはず……」


「ゴミが落ちてくるぞ、みんなここから離れろ!」


 大多数の若い男は一目散に逃げ出した。一方で良心のある男たちも少なからずいるようで、男たちは近くにいた子どもを抱きかかえて走り出した。


 しかし全ての子どもを連れて、逃げることはできない。


 子どもたちの中で16歳と比較的年齢が高い俺は、自力で逃げるしか用意されていなかった。


 少しでも安全地帯の近くに行こうと、みんな死に物狂いで走った。この先にはA2ゴミ捨て場の緊急シェルターがある。


 しかし資金ゴミで溢れたゴミ山を全速力で走ることは難しい。


 ガンッ


 そして俺は運悪く資金ゴミの金属棒に引っかかって、その場で転んでしまった。


「ぐっ……!!」


 膝は擦り切れ血が流れる。足首を見ると、どうやら転んだ際に捻ってしまったようだ。


「ジル!」


 子どもをふたり抱えて先を走っていた男のひとりが、こちらを振り返る。


「先に行け、俺は自力でなんとかするから!」


「だが……」


「チビふたり抱えて、さらにひとり運べるかよ。さっさと行け! ゴミが落ちてくるまで、時間がない」


「……悪い」


 性根がいいやつなのだろう。ぐっと辛そうな顔をしながら、子どもを抱えて走り出した。


「ジル兄! ジル兄っ!!」


 青年に抱えられた子どもが悲鳴のような声をあげ、手を伸ばして叫んだ。


「大丈夫だ、あとで合流するぞ」


 俺は他の奴らから、生に執着する執念と打たれ強いタフさを買われていた。


 俺はこんな所で死ねない。


 上層世界に住む貴族共に一発ぶっ飛ばすまで、ぜってぇ死んでやるもんか!


 大体の人間は緊急シェルターに避難できたようだ。一番危険なのは、シェルターにたどり着けていない俺だけだ。


「クソッ、今日は厄日かよ」


 俺は自分の周囲にあるゴミ山から丈夫で盾になりそうなゴミを探す。


 そのとき、背後から音が聞こえた。


【コッ……】


 俺はばっと上体だけで振り返ると、そこには旧型の人型ロボットのボディが乱雑に積まれていた。乱雑に積まれたロボットの中から、音が聞こえる。


【コッチデス】


 ロボットをかき分けると、他のロボットより頑丈そうなでかい人型ロボットが現れた。

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