第9話:セフレちゃんの元おじさんのことについて。

でもって、僕はアイアイが大学時代・・・20才の時、付き合ってたって

元おじさんのことが気になってしかたがなかった。


その付き合ってたはずのおじさんとは、どこでどうやって知り合ったのか?

その後おじさんとはどうなったのか?


アイアイが話したくないって言ったらしょうがないけど・・・。

アイアイの彼氏としては一応は知っておきたかったから本人に聞いてみた。


「あのさ・・・アイアイ、アイアイが以前、付き合ってたおじさんって、

どこで、どんなふうに知り合ったの? 」


「あ、話したくなかったら無理に話さなくていいからね・・・」


「いいよ、別に隠すことじゃないから・・・」

「え〜とね・・・前のおじさんはね、私が大学一年の時バイト先のお店の

店長さんだったの・・・」


店長さんの名前は「北林 惣右衛門きたばやし そうえもん


「え?、そうえもん?・・・行半な名前?今時の名前じゃないな・・・」


「そうだよね・・・昔のお侍さんみたいな名前でしょ」

「私は、ずっと店長さんって呼んでたけどね」


「でね、チチは私のタイプだけど、店長さんは私のタイプじゃなかったのね、

でも優しくて思いやりのある人でね・・・従業員やお客さんに対する態度なんか

もめちゃ紳士的で好感度よかったの・・・ 」

「だから、ビジュアルじゃなくて人柄に惹かれたのかな・・・」


「で、店長さんはチチと違ってまだ独身だったんだ」

「だから私、自分の気持ちを店長さんに告ったの」

「そしたら、チチみたいに、ほんとに僕なんかの彼女でいいのって言われた 」

「君、付き合ってる彼氏いるでしょって・・・」


「君みたいな若い子が自分みたいな、おじさんのことを好きになるはず

ないんだって・・・」


「そんなだから、なかなか心を開いてくれなくてね」

「デートに誘っても、のらりくらり言い訳して逃げるの」

「だから、私はおじさんしか愛せないんだって言ったら、そんな子いるのか

って疑われて・・・」


「で、私がなかなか諦めないもんだから向こうも根負けしたみたい」

「それで、お付き合いするようになったんだけど、でもとってもデリケート

な人で、だからエッチできたのもずいぶん遅かったかな 」


「ふ〜ん・・・そうなんだ」


(え?やっぱりエッチしたんだ・・・)

(そりゃそうだよな、付き合ってたら普通はそうなったって不思議じゃないわな)

(でもな〜僕たちだってまだエッチまで、こぎ着けてないってのに・・・)


僕は娘くらいの歳の離れた乙女を汚すなんてダメでしょうなんて思ったことが

バカみたいに思えて来た。


「でもね、その店長さん病気で亡くなっちゃったんだ・・・」

「一年くらいお付き合いした時、店長さんがガンだって分かったの」

「体調が悪いって病院へ行った時にはステージ4で末期だった・・・」


「で、私ひとり残して半年経たないうちに亡くなっちゃったんだ」

「それで全部・・・」


「だからチチ、体には気をつけてね、そんなことになったら私泣いちゃうよ」

「また大事な人を失っちゃうの嫌だからね・・・」


「大丈夫だよ、僕はちゃんと生きてるから」

「僕は死なないよ・・・アイアイを残して絶対死なないからね」


「まあ、もし僕が病気になって、もう死ぬかもってなったらアイアイの

前から、さよならするから・・・そしたら僕の死に目に合わなくて済むだろ?」

「辛い思いしなくて済むし・・・」


「ヤダ〜・・・なんでそんなこと言うの?」

「絶対そんなの許さないからね・・・さよならなんて言わせないから」


「大丈夫だよ・・・だいじょうぶ」

「だってさ・・・まだ、そのアイアイとエッチもしてないんだもん・・・」

「ハグもチューもしてないし・・・死ねないでしょ?」


「ああ・・・だね」


そう言ってアイアイはクスッと笑った。

きっとアイアイはこのオヤジはエッチなことしか考えてないんだって思ったかも。


もし肉体だけの関係なら僕とアイアイアはとっくに結ばれていただろう。

だけど僕はそう言った、味気のない関係は彼女とは持ちたくなかった。

それはアイアイも分かってくれていたんだろう。


厳密に言えば僕とアイアイの関係はセックスフレンド「セフレ」って言うより

スピリチアルフレンド「スピフレ」って言ったほうが正しいのかも。


エッチよりも精神的つながりがなにより大事だってこと。


「いいよ・・・チチ・・・来て」

「ハグとチューなら今すぐしてあげる・・・」


そう言うとアイアイは僕を抱きしめて、それからチューしてくれた。

こんな若い子にそんなことされたら、おじさん悶絶&撃沈だよ・・・。


「で、チチ〜、エッチなんだけどぉ・・・そろそろいいかなって

思ってたんだけど・・・今はちょっと無理かも」


「ああ、そうだね、こういうのは心の準備が必要だからね、あはは」

「今すぐって言ってるわけじゃなくて・・・」


「そう言うんじゃなくて、私がその気でもできないの?」


「え?なんで?」


「今はね女の子の日に突入してるの・・・ね無理でしょ?」


「あ〜それは・・・無理だな」


「ね、だから終わったらね・・・しようねエッチ・・・約束するから」


「分かった・・・じゃ〜僕も心の準備しとかなくちゃ」


してもいいって・・・約束もらったよ・・・どうするよおっさん。

どうする?・・・そりゃ妻とは普通にあったけど・・・相手が若いって

だけで、最近ときめいたこともない、おじさんの心が、なんでこんなに

ときめくんだ?


つづく。

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