第10話:約束のエッチは僕のヤキモチの上に成り立っている。

※軽い性描写があります・・・一応ね。


アイアイの女の子の日がようやく終わって、約束のエッチ。

そういう約束はきっちり覚えてる。

彼女がいいよって言ってくれたけど、考えてみたらアイアイとは初エッチだ、


どうせならマンションじゃなくて高級ホテルにでも予約とって綺麗な都会の

夜景が見える部屋で、って思ったんだけど・・・アイアイがもったいないからって

言うので結局マンションでってことになった。


記念日になるとか思ったんだけど・・・。

まあ夢中になったら、どこでも関係ないけどね。


だけど・・・いざとなると、めっちゃ落ち着かない。

妻とだって普通にしてたことなのに、相手が変わるとこんなに気持ちが

ソワソワする。

アドレナリンがいっぱい出てるよ・・・しかもアイアイはピチピチプリプリ

まるで極上シャトーブリアンときてる。


若い子とエッチするのなんて、後にも先にもないこと?

妻が若かったころを思い出す。


だんだんドキドキしてきた。

テレビ見てても、上の空・・・雑誌見ても読んでないし・・・なにしても

手につかない。

顔は笑ってるけど、内心は笑っていないわけで・・・。


「さっきからなに部屋の中、うろうろしてるのチチ」


「ん〜なんでかな〜、ソワソワする」


「なに?エッチがはじめての人みたいに・・・緊張してるの?」


「いや〜・・・」


アイアイはそんな僕を見てクスクス笑った。


「まあ気持ち、分かんないでもないけど・・・」

「ね、ふたりで一緒にお風呂入ろ、チチ・・・そこから初めてみない?」


でもって、ふたりで一緒に風呂に入った。


風呂から出るとバスタオルに身を包んだ彼女はベッドに座って「明かり消して」

って言った。

でも僕は明かりは煌々とついてないと嫌なんだって言った。

手探りの中で彼女とエッチしたって何が楽しんだよって思わないか?


だから、アイアイに、


「君の全部が見たいから、明かりはつけたままするね」


って言った。


「お互い顔もちゃんと見れない中で手探りなんて楽しくないだろ?」


って・・・。


アイアイは最初恥ずかしがったけど・・・それでも「いいよ」ってふうに、

うなずいた。

そういうことには、オープンであまりこだわらない子のようでよかった。

妙に隠したり、見られることを嫌うような女子だと困るし。

絶対、見ないでとか電気消してなんて言われたら、冷めるし・・・。


でね、いくら相手が若いからって僕だっていざとなったら度胸が座る。

妻との営みを経験してるから今更手こずるなんてアホなことはしない。


優しくね、優しく・・・。

静かな部屋にふたりの吐息だけが行き交った。

めくるめくアイアイとの初エッチは、僕にとってとても新鮮なものだった。

とてもいい感じでめでたく僕たちは結ばれたわけで、疲れ切ったアイアイは

そのまま僕の横で放心状態で肩で息をしていた。


何分経ったかアイアイは自分の息が整うとすぐに俺に抱きついてきた。

僕は彼女の髪を優しく撫でてクチビルにキスした。


「あのさ、デリカシーのない話してごめんだけど・・・アイアイって、

男経験って?」


「前も言ったけど大学一年の時、店長さんとだけ・・・」


「ああ、それ聞いたね・・・」


その店長さんとの間でエッチがあったからちゃんとエクスタシーを感じる

くらいの体にはなってたんだ。

もう過ぎた過去の話とは言え僕は店長さんにめちゃジェラシーを感じた。


切ないよ・・・アイアイ・・・今の僕はとても切ない。


「なんだか、嫌だな・・・昔の話だって言ってもその時アイアイが本気で

店長さんを愛してラブラブしてたんだって思うと・・・」


「うそ、チチ、店長さんにヤキモチ妬いてるの?」


「ヤキモチなんか焼いてないよ・・・」


「もうバカね・・・そんなこと・・・今はチチだけだよ、本当だよ」

「その時はその時・・・誰だってその時は真剣に生きてるじゃない?」


「そうだけど・・・」


「もう、今はチチだけだよ」


そう言ってアイアイは僕をハグして、いっぱいチューしてくれた。


でも、やっぱり僕は切ない・・・アイアイ・・・たとえ過去は戻って

来なくても君の記憶から店長さんとの思い出が消えることは決して

ないんだから・・・。


つづく。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る