第3話 おとといの面接

今の社会は、優しさに満ちた社会だ。

遠い昔、ファラデーは発電機を発明したとき、とある質問があった。「何の役に立つの」と。ファラデーの回答は、「なら、生まれたばかりの赤ちゃんは、何の役に立つの。」

そう、この時代のAIは、常に人間に潜む可能性を考慮し、常に敗者にもう一度チャンスを与える。

これは社会の優しさだ。


たとえ偏差値20以下の上海学校でも、毎年2割近くの優秀な学生が順調に卒業し、出世して、自決の定めから逃げる。一方、偏差値が高いの崇明大学でも、1割から2割の不運なやつが卒業できず、効用関数がゼロ以降になっている。

彼らは人類共同体のために光栄にも自決し、遺志は長江と共にうたわされ、名前は崇明大学の「永久メモリー」に書き込まれる。


そんな連中の一員にならないように、王真はずっと積極的に、就活をしている。

一般的に、学位論文を完成し、大手企業の内定をもらえれば、それからの3年間、効用関数を心配する必要がない、社会に生き残ることができる。逆に、5月末まで仕事が見つからなかった人は、「名誉自決」の結末を迎えることが多い。



王真は2232年11月に、履歴書を提出し、崇明文芸社の編集ポジションを申請した。一回のキーワード選別、一回の効用関数選別、一回の人事補佐面接、一回のAI初面接を経て、2233年1月の筆記試験に合格した後、王真は再び、崇明文芸社ビルに行った、人事課長面接とAI最終面接を待つ。


2233年2月6日午後2時10分、人事補佐は王真を呼び込まれた。

人事課長の李静は真ん中に座り、各編集課の課長は両側に座った。人事補佐は王真の履歴書を各課長に送った後、後ろの席に座って、記録を準備した。

「自己紹介」と李静は言った。


「私は王真と申します。よろしくお願いします。

「崇明大学文学部卒、今は崇明大学の高等研究所の院生、専攻は近代と現代文学。去年の効用関数は、全研究所の上位20%となりました。中国語は無論、ご覧の通り、日本語も少々存じます。

「私は読書が好きで、授業の余暇に、文芸創作も試しました。一部の短編小説は『崇明文学』に発表され、中編小説『上海 in 2233』は崇明小説中編賞2228を受賞し、自作の同名演劇は2229年11月に崇明大劇場で初演され、好評を受けした。

「また、私も積極的に新時代を受け入れます。メタバースPVは累計で一億を突破し、デザインのフォロワーも約百万人。

「私は優秀な文学鑑賞力を持って、文芸レビューは『長江評論』『崇明文芸批判』『崇明大学学報』などのジャーナルに発表しました。卒業論文のテーマは『現代文学の再政治化傾向試論:22世紀70年代ノヴェル総合研究』となりました。

「編集の仕事にずっと憧れました。新しい作者を発見して、舞台裏で文学の発展に支えてしたいと思います。ご清聴ありがとうございました。以上です。」


「日本語が好きなら、こっちも日本語で質問します。よろしいですか?」と李静は言った。

「はい。よろしくお願いします。」

「えーと、インターンシップ、ありますか?」

「主に読書と創作です。小説を書くのはとても手間がかかるので、ご理解ありがとうございます。」


「えー、王さん……ですよね。王さんの卒業論文は、22世紀70年代文学。」とある編集課長は質問した。

「はい、おしゃった通りです。

「研究所の間に、22世紀70年代の小説を広く読みました。第四次世界大戦後の反省文学は、初代AIを使って、第一、第二次世界大戦後の戦後文学の下手な真似をすることに過ぎない、という批判がよくありますが、それは偏っていると思います。初期の戦後文学データに基づく大量の初代AI創作は、社会現象として、それ自体が社会から、政治抜けた純文学に対する普遍的な不満を表しています。

「第四次世界大戦は重要な社会事件であり、哲学だけでなく、文学にも十分に反映されなければならないと思います。60年代の四戦から、80年代に近藤昭彦が現代AIアーキテクチャを提案し、社会に受け入れられたまで、70年代の小説は、社会思潮の激変の忠実な記録であります。」


「王さん、現代AIに基づいて、小説を書くのは、通称AIGC、どう思う?」もう一人の編集課長は問いた。

「これは時代の発展の必然であり、ライターみんなは新しい科学技術を積極的に受け入れ、学ばなければならないと思います。初代のAIが創作に協力するのは許す限り、なぜ現代AIはダメなのか?近藤昭彦から数十年の豊かな文学成果から言えば、現代AI技術が文芸創作に協力するのメリットはもうたくさん見えました。」


「問題点はそちじゃない。」と李静は言った。「なぜ、インターンシップがいないの?ライターとか、作家とか、私たちのニーズから外れています。募集しているのは編集者、作家ではない。レビューが得意のは加点ですが……」

「わかりました。将来、全力で頑張ります。」

「そして、2228年に小説中編賞受賞……それからどうだ?書かなくなったの?」李静は履歴書を置いて、王真を見つめた。

「すみませんけど、研究所の授業は手間がかかるが、さらに卒業論文もしなければならないので。」

「こちには頑張れる若者たちが必要です。」李静は厳しい顔をした。「ここで、サボりは許しません。頑張れない人は要らない。ここは王さんに合わないと思います。」

「頑張る、勿論、頑張るから。私はただ、一時的に、興味が変わっただけ、書くからレビューへ……」


「メタバースの運営も募集しています。」李静は表情を緩めた。「王さんのPV量はそれほど高くないし、運営のインターンもないけど……物は試しだ。これじゃどう?まず、王さんに1ヶ月の試用期間を与えて、満期後に4ヶ月の正式なインターンをあげよう。審査に合格したら、証明書をもらうこともできます。」

「ご厚意有り難いですが……」王真は眉をひそめた。「やっぱり、編集者になりたい、メタバースの運営はちょっと……それに、卒業論文はまだできませんので、この数ヶ月のインターンは上手くできるのか、ちょっと自信がない。」


「王さんも、崇明に憧れるよね?」李静は話題を変えた。

もうダメだ、あとはジャンクタイムだ。王真はそう思った。「はい。崇明で働きたいです。私自身も崇明人です。」

「ほんとうに?」李静は信じないようだ。

「いや、そのくらい、噓をつく必要があるの?」

「田舎者は田舎者、崇明人と自称して、恥ずかしくない?」

「田舎エリアも崇明の一部。これは法規だろう?大統領さえそれを認めなければならない。」

「上海人。」李静は呟いた……室内全員に聞こえるほどけど。


ほかの課長がたは顔色が悪くなり、人事補佐も記録を中断中断して、頭を上げた。「王さん、お疲れ様です。もう帰っていいです。」とある編集課長は言った。


「てめえ、やる気か?誰が上海人?」王真はその人を無視して、直接に李静と対峙した。「俺が、崇―明―人だ!」

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