第29話スパイ

 ◆

「ケラー、トニーとサンダーランドがいないんだが知らないか?」


「モレノ師団。それが…私も朝から見てないんです。」


「はて…」


 ◆


ドカドカドカッ


「えっと、ここにワープ券…」


「こっちじゃね?」


「無いんだけど!!」


「どこに置いたっけ。。」


「早く行かないとスキャロップス達にバレる、急げ急げ!」




「ゾーン30?何それ?」


「ゾーン30っていうのは、条件付きの範囲が広いバリアだよ。バリア?バリケードかな。わかんないけど、そういう感じ。」


「条件って何?」


「私がいる場所の条件は、建物の破壊が不可能でプレイヤーを殺すことが出来ず、そして…人数制限。」


「人数って、」


「レオナドフ教の信徒が教会には数えきれないほどいる。それはもちろんバリア内の話。つまり、既に信徒でバリアの人数制限はギリギリなの。残り入れる人数は2人。」


「2人!?まじかよ…さすがに厳しくないか?」


「厳しいと思う。でも、バリアを解除すれば全部チャラ。…バリアを解除するにはバリアを魔法で維持している信徒から杖を奪ったりして、強引に解除させる」


「ちなみにさ、人数がもしオーバーした場合は?」


「なんらかの想定していない事態が起きると思う。」


「わかった」




「あったあああああああ!」


「あんま叫ぶなって!」


「ごめんトニー。でもほら!見つかったぞ!」


「よし!」


トッ


「さあ行くよ!」


「なんか2人で行くのは久々だな!」


「しっかり腕掴んでろよ!ワアアアアアアアアプ!」



ドンッ


「うぇ!」


「いきなり尻から落下したし…いってえ!」


「役割、ちゃんと覚えてるかトニー」


「俺が信徒になって侵入すりゃいいんだよな…。こわいよ!!」


「大丈夫だよ。何かあったらすぐ駆けつける!」


「信じるからねサンダーランド…」


サササッ


ゾーンに入るには…信徒のフリ、、信徒のフリ…


「お、君。」


「ひゃい!」


「なぜそんなに緊張してるのかわからないが、新しい信徒かな?よくこの教会に来てくれた。この宗教は誰だって入れる、お互いを認めている素晴らしい宗教だ。さあ教会へお入り」


ふう、案外簡単に潜入出来たな…。


頼むぞ、サンダーランド…!



「これから教祖のマチルダ様に会いにいく。くれぐれも失礼のないよう、注意することです。」


「はい、」



コンコン


ガー


これが教祖マチルダ…


教会とは思えないようなその異様な雰囲気、違和感。それを作り出しているのが、赤い幕だった。


その赤い幕がゆっくりと開き、中から出てきたのはまるでピエロのような派手な格好をしたマチルダという教祖だった。


ピンクの髪に、服は真っ赤。靴下は長く、虹色。そして、靴はヒールという今までに見たことがないほどの派手さ、この割に教祖なんてやっているなんて…少し怖くなった。


「あなたは、何のためにこのレオナドフ教の信徒になるの?」


「え、っと」


ドンッ


うっ、!


「ねえなんで?そんな小さな声で話されちゃわかんないよぉ?」


顔が近い…!


「俺は、レオナドフ教に入って人生を変えたいです。」


「ほぉ?」


「日常が全く楽しくないのです。そのくだらない日常をこのレオナドフ教のために使い、有意義な人生にしたいと思いました」


「そうか!ならいい、行きなさい」


「失礼しました。」


ガチャン


「新しい信徒にしてはよく出来ていたと思います。これからも続けてくださいね。」


「はい。」


「それでは、集会まで自由にしていてください。」


男は微笑みながら自分の部屋のような場所に戻って行った。


「さて…」


教会内のどこかに必ずバリアを維持している信徒がいるはず。


タタタタ


魔法は使えない…下手に使えば、終わり。


まさか、教会内に居ないなんてことはないよな…もしそれがあったら、あの大量のビルの中から探さなければなくなるぞ。


ビビ


ミリアって子の推測では、魔法室ってとこが可能性が高いらしいが…


「反逆がこの下で捕まってるらしいよw」


おおっ!と、、


誰か話してる…


「ああそうみたい、だな。」


いまだ!


タタタ


「この先の曲がり角!」


あった!魔法室!


ギーッ


「お、誰もいない…!おいおい、杖だけ放置とは警備が甘いなぁ。」


「おい貴様。」


「わっ…!!」


「ただの信徒がここで何をしている?役職のないような信徒はここには絶対に入ってはならないのだぞ?当然、わかっているだろうな?」


「実はですね、道に迷っていまして!道案内お願いしたいんですけど…」


「……無理に決まっとるだろうが!!」


「やばっ!」


トンッ


「レンドラピオ!!!!」


「ちっ、杖の回収を優先したか!」


これで外まで逃げれば…!


ゾーン30解除


よしできた!これでサンダーランドが入れる!


ビービー


「警告。侵入者発見、侵入者発見。」


魔法を使ったからか。でも、もう関係ないもんね!


「にがすかあああああああああ!」


「え!?もう目の前に!?」


「キャノンデビエンドッッ!!」


バアアアアアアアアアアアン


「ぐっ!」


「まだまだ叩いてやる…!」


「ファイアーイフリート!」


「無駄な抵抗を…!!」

「バリアゴールズ」


ズサアアアアアアア


「なに、、バリアが!!」


「デトナディアアアアアアアアア!」


ドガドカドカッ!!!










 

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