第19話宝庫2000番

ピーッ


「…ふ、また1人あんたのチームがやられたみたい。」


「まじかよwやっべえ」


「そろそろ私もお遊びはやめようかな?」


「なーんだ、遊んでたからこんな弱かったのか!」


「は!?本気でぶっ倒してやる!サンダーランド!」


「こいよ!」


とか言って、ぶっちゃけこいつ強すぎて無理なんだけど…


俺は城のすぐ近くの街で、同い年くらいの少女のような見た目をしたプレイヤーと戦っている。ようなというか見るからに少女だ。長い髪に毛一つない肌と鼻筋の通った顔、女子って感じの女子。だから負けたらクソ恥ずい!


「キャノンデビエンド!」


ブォン!バァン!


「いった!なんだよ威力バグだろ。あ、いっけね家の壁壊しちゃった。」


「壁なんて気にしないでよ。ここはちゃんとバリアで守られてるから、壊れてるように見えると思うけど、本当は壊れてないの。」


「な、なるほど。」


ポーカ


シュー


「なんも見え」


衝撃波ソニックブーム!!」


ブウウウウン!


重低音!?


「うあああああああっ!!は!?空に飛ばされた!?」


「モビメン、終わりだあああああ!」


スキル発動


「杖が光った?」


「きたああああ!痺れ《スルータ》ッ」


「空中でスルータっ??やばっ」


「やっべ、2人とも落ちる!」


「…レビテーションっ。」


「!それだ!レビテーションッ!」


ヒューッ


「空中浮遊魔法…。」


カレス・ケラー脱落


「ギリギリ…勝てた。後もう1人、」


「すごいね!勝ったんだ!新団員なかなかやるね。」


「あ、あなたは」


「ブロード・ビーク。覚えてくれたかな?」


「覚えやすくて助かるよ!」


「それはよかった。さて…、」


「はあっ、はあ…」


「息切れてるけど、大丈夫?」


「こい!」


加速レンドラピオ!」


グッ


「ッ裏だな!くらえ、竜巻ウィーチャートルネード!」



「へへっ!動きをよんだか、面白い!だけどそれだけじゃ無理だよッデトナディア!」


ドカンドカン


家が1、2軒と倒れていく。壁を貫いて爆発で柱を割り。


「まだまだいくぜええええ!こいよ。」


スキル発動

同時使用が可能になりました


「ファイアーイフリートと、ソニックブームを同時使用ッーー!!」


「スキル!?やべマジで死ぬ!杖、どうにかしろっ!」


スキル発動

魔法杖自動操作


「きたああああああ!」


「あばよおおおお!」


ドカアアアアアアアン


「はあ、はあっ!さすがに疲れたなぁ。」


「ん?影!?」

「上か!」


「くたばれ、ファイアーイフリートッー!!!!!」


「バリアゴールズ!」


「割れろ!割れろー!」


パリンッ


「割れた!?」


「モビメン、ポーカ!」


「や、なんも見えねえ!」


高速弓矢パラインバグ!」


グッ、ドン


「落ちたか。」


「あ……」


グラハム・サンダーランド脱落


「勝った。」


ビオンッ


試合終了


 ◆

「ごめんな、俺が先にやられちまったから。」


「トニーは悪くねえよ」


「俺だ。俺がリーダーとしてもっと戦えればよかったんだ。」


「まあ言ってもしゃーないっしょ!でもそのおかげで宿舎の部屋まで同じになれたんだからさ!」


「確かに…」


「あ、そういえば草薙剣の場所がわかったらしい。」


「へー。どこにあったの?」


「宝庫2000番だよ。」


「2000!?そんなに宝あんの?」


「いや無いと思う。多分部屋があるだけ」


「まあそんなに部屋があるだけすごいけどな。」


「まあ確かに…」


ドンっ!


「ん?」


「おい!お前ら、特にスキャロップス!」


「へ?どうしたんだよビーク、そんな急にドカドカと部屋に入ってきて。」


「よくもまあそんなに平気な顔で嘘がつけるもんだな!お前が盗ったんだろ?草薙剣を!」


「は?俺はここにずっと居た。」


「ビークさん!俺たちと一緒にずっとここに居たよ!」


陽は落ち、既に外は真っ暗。そんな時間に部屋から出るなんて負けた俺たちが思うわけがない。だが、草薙剣が無いとすると俺たちを疑ってしまうのも無理はない。


当然、俺たちは宝庫2000番になど行っていない。つまり他の誰かが企み盗んだのか?誰が?どうやって。


「宝庫2000番には鍵が無いと入れないって聞いたぞ?俺たちは鍵を持ってない。わかるだろ?」


「ちっ、わかったよ。」


「疑うなら他を疑ってくれ。」


ドンッ


「どうなってんだ?誰が盗んだんだよ。」


「うーん…」


「とりあえず寝ようぜ」


「うん。」


スキャロップスが立ち、電気を消すと俺たちは疲れのせいかすぐに眠ってしまった。暗い中を彷徨うような終わりのない深い眠り。その夢のような空間に、突然謎の光がやってきた。


「ん…なんだぁ」


寝ぼけているのだろうか、俺たちの部屋の前に謎の気配を感じる。気配どころかさっき侵入してきた青色の光すら見える。もしかしてこれこそ夢なのだろうか?


「ん…いや、待てよ。違う、」


ピュン!


ドンッ!


俺はドアを開けて廊下へと飛び出した。青い光がドアの向こうで動き出したのを感じたその瞬間だった。


「追わなきゃ。追わなきゃ。」


トットッ


魔法の杖すらもたないままに走り出した。青い光はまだ目視できる距離にいる。


「待て!待て!お前だな、盗んだのは!」


入団初日の見学の時に見た、あの謎の黒い影こそが今回の事件の犯人なのではないか?証拠はないが、逆にこれ以上怪しいものもいない。気がかりなのは青い光になっていることだった。


「おい!止まれ!まっ」


「ここ…。」


宝庫2000番、金色の壁に黒いインクでそう書かれていた。知らぬ間に俺は宝庫に入ってしまっていたようだ。


「鍵…持ってねえけど開かないかな。」


ガチャン


重い扉を押すと確かに音が鳴った。そして、


「開いた!すげえ…」


「この奥に…いるんだな。待ってろよ…」


本棚から本が複数床に落ちていた。それを踏まないように避けて、1歩1歩その謎の光に近付いていった。

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