第11話モンスターダービー③

「俺は妨害じゃねえ…。だけど、お前は別チームの妨害に行く途中だったようだな?」

「お?大当たり。話がわかりそうなやつでよかったよ!とにかくよ、そこ…どけよ。」


なんだこの、溢れ出てくる恐怖…。

レーファンを襲ったのはシルクスクリーンのその愛のない鋭い目だった。

「聞きたいことがあるんだ。ローカルのことでな」

「ローカル?お前まさか、最近アリのように群がっているオーガニゼーションの一つか?」

「違う!やつらは、ただ正義のヒーローの面をしたピエロ!道化だ。金目当てのな!俺たちは違う!俺たちはローカルに会いたいんだ。悪いやつじゃないかもしれないだろ?」

「なんでそんなことがお前に言えるんだ?ローカルは犯罪者。クズだよ」

「現実でもあるだろ?痴漢冤罪だの死刑囚の冤罪だの。死刑囚ですら冤罪だったって場合があるんだぞ?俺たちユナイテッドは金目当てだけでローカルを探してはならないと思ってる。」

「ローカルは!ローカルは俺の仲間を殺した。あのハッキングの影響でこの世界で死んだ奴は数知れない!それとも、お前もそうなりたいか?」

「やだね。死ぬのは嫌だ!だけど、そのハッキングだって事実じゃないこともあるかもしれないじゃないか!」

「お前に話は通じないようだな。ローカルはこのシルクスクリーンが殺す!このようになッ!!!!!」


「デサストッッッ!!!!《土砂崩れ》」


ドッ!ガーンガガ!

「上から!?土砂災害か?やべっ、バリアゴールズ!」

「もういっちょっ、ボヒェル!」


この森を照らす一つの光…満月を、シルクスクリーンが隠し、大きな影が森中にかかった


「そうか!それだ、瞬間移動の天空バージョン!でも、魔法としては初めて見た。まさか、あいつ…」






「そんな嘘だろ…魔法を作成してる!?」




この仮想世界は魔法の作成が可能だが、その条件はとても難しく、世界のどこかにあるという魔法石を10個も集めなければならない。


「スーパーデンセントッッッ!!!!!」


宇宙からやってきた流れ星のように無数の槍が飛んでくる。レーファンは一瞬、たった2秒反応が鈍った


グサッ!!


「あっ!!」

とっさに近くにあった洞窟へ飛び込んだが、1本の槍が腕に刺さった。暗い洞窟の中でもはっきりと分かるのは、己の血の赤さだった。


「ぐっ…痛すぎる。こりゃ本当にゲームじゃねえな、どうなってんだよ。」


あの日ローカルがハッキングをしたとされる日。

あの日から、この世界での数多くのプレイヤーによる犯罪が一瞬で急増した。

今ではこの世界はもはや、現実世界とはほとんど変わりのない謎の世界と化したのだ。

現実世界と違うのは、その自由度と世界の誰とでもあえるというところ。

だがそれは今となってはただの犯罪の道具、きっかけでしかないのだ。


「当たり前だけど、シルクスクリーンは俺を本気で殺すつもりだな…」

「弱すぎる、あまりにも。脆く、つまらない。デトナディア。」


ドンドンドンッ!


「たった一発だ…。たった一発の攻撃が、この世界では命取り…ゲームオーバーへの1番の近道なんだ。」


スキル発動!!!!!!!


「ちっ!」


ドンドンドンッドンドンドンッ!グサッ!ドンッガーンガガ!


「脆い、弱い!?俺がこの程度で死ぬかよ。たった一発の攻撃にお前は全力をかけない、たった一発じゃなくて…

あと一発!!!!なんだよ。」


「はあ…、おもしれえw」

「は?どうなって」

「ステクラスペリカ」


洞窟に大きな波が流れ込んだ。


「溺れろ…沈め!!まったく、お前の攻撃は痒いとこに届いて気持ちいいよw

何にも足りてない!俺を倒すのに値しない!

お前のスキルは、たった一発を意識したスキル。相手の攻撃を3発まで吸い込んで相手に放つことが出来る。だが、このスキルを使うには戦闘中に大きな攻撃を受ける必要がある。だから、そう何発も耐えられないということだよw」


「クッソ!こいつ…硬すぎだろっ!!!」


「さあて、そろそろ終わりにしようか…ぶっ殺してやるよッッッ!!!」


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