第6話古い館の戦い

「え?本当ですか!?」


「ああ本当だ。だがまずはこの話を聞いてくれないか?」


「わかりました。」


「トリックスターの幹部2人、ボニトとギラファは部下を20人ほど連れてこの古い館へやってきた。オロチというモンスターの卵を求めてな。」




─古い館─

「おい!これ見ろよ!お前ら!」


「どうされましたか?ボニトさん。」


「ここ、燃えてるんだよ」


「あ!本当ですね」


「まあ広いからそんなすぐには燃え広がらないと思うが、一応注意しながら探すんだ」


「はい!」


「くっそ、どこにあんだよ卵は、第一にして広すぎんだろこの館。ギラファと別行動にしたのは間違いだったか。」


「うわああああああ!」


「どうしたんだ!」


長い廊下を走って辿り着いた狭いキッチンのような場所にまたもや火がついていた


「どうなってんだよ...」


「おい!誰かこっちにきてくれ!」


「今度はなんだ!!」


少し怒った口調で喋りながら声のする方へまた一生懸命に走っていった。


だが、その景色を見るとその足は一瞬で止まった


「ボニトさん…ギラファさんが…」


「ギラファ…またふざけて倒れているわけではないのか?」


「いいえ、違います。体が冷たいんです」


「そんな、馬鹿な話が…誰だ!誰にやられた?お前は見ていたのか?」


「いいえ、見ていません。」


「クッソ、もういい!お前は早く卵を探し出せ!俺は犯人を探しに行く。邪魔は不要だ」


「はいっ、すいません」


「クッソ!クッソ!誰かがここにいるのか?それとも裏切りか?とにかく、犯人を確実に殺す!」


ボニトは広い館の中を懸命に探した、階段を登り、また降りて...その繰り返しで、息が上がっていた


ボニトはとにかく犯人探しで夢中になった、とにかく、探して、探して、探して。


だが、館の階段を登っていた途中に、とある違和感に気付いた。


「あれ、そういえば、なんでまだ館は燃えていないんだ?なぜ館が燃え広がらない?しかも、俺は階段を登り降りする途中も、各階の部屋を探している時も、誰にも会っていないぞ…?なぜだ。」


「答えは、エスペーズモ。幻想を見せる魔法さ。あの火は全てが幻だったわけだ」


「お前は、」


階段の下に現れたのは当時、運営本部に潜入し、ハッキングをしたとして疑惑のかけられたことで一気に有名なプレイヤーとなった、


「ローカル•サンダーランド!」


「ああ、よくわかったね。俺がこの仮想現実と現実世界を繋ぎ合わせた張本人だ。俺は穴だらけな本部に潜入し、この世界を変えてやった。この世界の新たな常識ルールは仮想現実にいるものは現実世界では見えないということ、そして、仮想現実で起きたことは現実世界でも実際に起こるということ。最後に、この世界で死ねば現実世界でも死体になる、ということだ。」


「お前の部下と、ギラファという幹部は全員残らず消してやったよ!」


「お前、トリックスターに喧嘩を売るつもりか?」


「ああ、お前らのオーガニゼーション、ズタボロに砕いてやるよ。」


「てめえええ!ぶっとべ!キャノンデビエンド!」

「モビメン。」


モビメンは肉眼で見える距離へ指定された人数を強制的にワープさせる魔法。ローカルはこれを使い、館の大広間へとボニトをワープさせた。


「大広間…まさかモビメンでワープさせられた!?俺の魔法が負けたのか?」

「へへっ。そういうこと。俺の方が強いんだわ。残念ながらね」

「なら、これはどうだ!デトナディア!」


ドンドンドンッ!連続爆発魔法。これにより、館の壁はあっという間に消し飛んだ。さらに、それと同時に飛んでいったのかローカルの姿は無かった。


「あーあ。せっかく不意打ちしたのにね。俺にはまったく効かなかったようだね」

「ローカル!上にいたのか…いつのまに!」

「さて、そろそろいっちゃうよ。」

「今度こそ当たれ!キャノンデビエンド!」

「ウィーチャートルネード!」

「がああっ!」


館は広かった。しかし、ローカルの起こした巨大な竜巻によってあっという間に半壊してしまった。そして、その瓦礫やガラスの破片などが一気にボニトを襲った。


「ああっ、痛え。体が、血だらけだ…」


ボニトはなんとか館から這いつくばって出てきた


「俺の魔法がまるで通用しねえじゃねえか…なんだよこれ。」

「あーあ、この間買ったばっかりの服汚れちゃったよ。まあいいか!」

「うわ!くるな!くるな!」

「おいおい、さっきまでの威勢はどこいった?まったく、なにがトリックスターの幹部だ。ただの臆病者じゃないか」

「もうやめてくれ!頼む!許してくれ!」

「あーそうだな。まあ、無理かなwレンドラピオ!」

「ああああっ!」

「ちょっと痛えけど耐えろよ!」


ローカルの足はその時、稲妻のような速さで動いた。ローカルはボニトの頭を掴み、地面に引きずって走った


ボニトは窒息しそうな苦しさと、風圧、さらに、その痛みに必死に耐えていた。ローカルの通った場所にある木は全て倒れた


「はいっ!ゴール!」

「あっあ、、」

「あーあ、やりすぎちゃったかな?」

「あぐかっ…」

「もう何言ってるかもわかんなくなっちゃったか。ならもういい、楽にしてやるよ。」

「今度は幻想じゃねえぞ?しっかり味わえ。ファイアーイフリート!」


羽から発生した炎は瞬く間に館を囲む森を燃やした。


ボニトの死体、さらに、トリックスターの幹部とその部下たちの死体は現実世界でも未だに見つかっていない。


館とその森は全焼した─────────


「ボニト、最後まで録音機器に気付かなかったな。あの小さい録音機器、ほんとに万能だなwありがとよボニト、お前たちの会議丸聞えだったぜ?卵の場所、教えてくれてどうも。」


ローカルはオロチの卵を持ち、燃えていく森を背にどこかへ消えていった

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