第4話新組織、ユナイテッド

「やっとこれた、組織募集所!」


今度はワープに成功したのだろう、景色を見ればすぐわかる!


俺は静かに喜びを噛み締めた。



周りには多くのプレイヤーがおり、なぜかはわからないがお祭り騒ぎのようだ。

俺は人をなんとか避けながらゆっくり進んでいった


「あ、やっとついた!」


「あの!組織入りたいんですが!」


「あなた、その見た目で初心者なんですか?不思議ですね。ここでは組織をオーガニゼーションと言います。それでは、何かこのようなオーガニゼーションに入りたいというような条件はありますか?」


「ローカル•サンダーランド!サンダーランドを追いたいです!サンダーランドに関するオーガニゼーションに入らせてください!」


そう俺が言うと、ため息をついてから、嫌そうな顔をされた。そして、こう言われた。


「最近よくいるんですよ。あなたみたいにローカルを追う、ただの無駄足ですよ。やつによってこの世界も現実世界もなにもかも変えられたと言われています…そんなローカルを追う、これほど命をドブに捨てるような行為はないですよ、まったく。」


「いいですか!死ぬんです!この世界は、もう、死ぬんですよ!だから、ローカルを追うなんてことは考えないことです!普通はですよ。普通は、あなたのような初心者は巨大なオーガニゼーションに入るのが妥当なのです。まさか、それも知らないとは言わないですよね?」


「知りません…」


「本当に死にますよあなた。まず1つは、アサシンと言われる、オーガニゼーションです。そして、トリックスター。最後に、アストラルアルカディア、この3つです。ですが、最初の2つはおすすめしません、最後の一つアストラルアルカディアに入ってください。アストラルアルカディアに入るのが一番の選択なのです」


「いや、俺は、ローカルを!」


「もういいですよ、この3つのオーガニゼーションにはあなたは適してない。そこら辺の小さなオーガニゼーションにでも自分で探して入ってくださいね」


「ちょっと!待って!」


俺はまたもや無理やり引っ張られ、組織募集所を追い出されてしまった…


なんだよ!あいつ、冷たいやつ!それに、ローカルはまだ疑惑の段階なんだろ?なら追うくらいいいじゃねえか!まあ会っても捕まえたりはしないけど…


「はあ、どうにかオーガニゼーションとやらに入んないと、情報が無さすぎて時期に死ぬぞ?」


「ぐああああああああ!」


「もう、どうなってんだよ…組織募集所だけじゃねえのかよ。」


なにやらどこかに繋がりそうな暗闇があり、そこから獣のような大声がした。


昔、獣の声は聞いたことがあるような気がするが、相当小さい頃だったと思う、ほとんど記憶がない。


不思議と、恐怖は感じない、なんなら安心感さえ感じる。


「あああああああっ!」


「苦しんでる!助けないと!」


なぜか、行かなければいけないような気がして俺は必死に足を動かして、その暗闇の中に走って入っていった


「なんでだ、俺、なにしてんだろ。ていうか、案外暗くないかも…?」


外から見ると暗闇だったがいざ中に入ってみると電球のようなものがぶら下がっていて意外に明るかった


カンカン!ドン!


何かを叩くような音が聞こえるが、俺はとにかく獣の存在を必死に探した。


「あっ!なんだこれ…!」


曲がり角を曲がったあたりに男の死体が転がっていたのだ──────


「どうなってんだよ…」


死体から血が溢れ出していた。もしかしたらついさっき死んだばっかりなのか?


俺は死体を跨いでまた先に進もうとした、その時だった


「ぐああああああああああ!」

「あ!獣!」


ゴリラのような、熊のような、とにかく凶暴な動物が死体を踏み込んでこっちに近付いてきた…!


「があああ!」

「あぶね!まじで死ぬって!」

「なんで俺こんなとこ来たんだろ…!」


少しどころかめちゃくちゃ後悔した、だが今はとにかくこの獣をどうにかしなければならない。獣は俺に爪を立てて攻撃を繰り返してきた。


「なんとか壁で避けれてるけど、時期に死ぬぞ!」


「そうだ、リュックに装備が!」


俺は急いで装備を身につけた


「いやっでも、やっぱり、避けないと!死ぬ気がする!」


「ニュートン!止まれ!」

「君!しゃがんで!」

「えっ、はいっ!」



「スルータ!!!」


ドンッ!


「ニュートン!そろそろだろ?獣から直ってくれ!」


そう言って獣に心配そうに近付いたのは俺より少し年上の青年と同い年くらいの少年、この2人だった。


獣は痺れて動けないようだ


「ごめんね、突然叫んだりして、魔法使わないと止められないと思ったんだ」


「別にいいんですけど、それ、魔法の杖かなんかですか?」


「杖?ああ違うよ。これは鳥の羽、バリタって言われてる。このゲームならではさ」


「というか、その赤い装備、その装備だったら爪で引っ掻かれても大丈夫そうだったな。」


「いや、俺初心者で、戦い方すらよくわかってないんですよ!」


「え?そうだったのか。それは驚きだ」


「でもさ、レーファン、とにかくこの人が無事で良かったよね」


「そうだな、本当に良かった」


「うっ。う、ごめん。みんな、また迷惑かけた」


「ニュートン!大丈夫、誰も怪我してない。」


「よかった、」


「あ、でも、壁に引っ掻いた跡がある。人は襲っちゃった?」


「うん、今そこにいる少年を」


「君!本当にごめん。怪我はなかった?あ、でも、その装備だったら大丈夫かな?」


「全然大丈夫です!平気なので!」


「それなら、良かった」


「ん、てかこれ。君がつけてる装備、」

「ニュートン!これ見て!」


そう言って青年が見せたのはやけに分厚い本だった


「君、ローカル•サンダーランドとなにか関係があったりする?君がつけてるその装備、ローカルと同じかもしれない。しかも、超レア」


「前まではローカルがつけていたとされる装備、最近はつけなくなったらしいが、それをなんで?」


「それが、わかんないんです、さっぱり。この装備とあとリュックの中にも色々あるんですが、全部初めてこの世界に入ってからあったものです。」


「なあ、勧誘なんだけど、君、入らないか?俺たちのオーガニゼーションに。」


「え!いいんですか!丁度探してたんです!俺もローカルを追いたいんです!」


「やった!新しい仲間だ!名前は?」


「グラハム•サンダーランド!」


「ええええ!またサンダーランド?やっぱり何か関係があるよきっと…。一緒にローカルを探そう!」


「ほらほら、そんな慌てるなよトニー。まあ、サンダーランド、よろしくな!」


「はい!お願いします!」


「それじゃ、早くこの暗闇を抜けるぞっ!」


「わかってるよニュートン!」


「じゃあ行こ!サンダーランド!」


「えっ、どこ行くの?」


「まずは、サンダーランドについて調査を行う!」


「わかった!」


「あ、あと、俺たちのオーガニゼーションの名前をよく覚えておくんだぞ?誰かに言われてすぐ答えられるように!」


「名前、なに?」


「新組織、オーガニゼーション、ユナイテッドだ!」


「ユナイテッド!」


暗闇を抜けた。視界は一面青い空に変わり、太陽が暑く感じた!


まさに、冒険の始まり!そんな予感がした



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