第3話廃れた町
「あーもう本当にここはどこなんだよ」
謎の落ち着きを取り戻して周りをゆっくり見渡す。何度見渡しても、やはり景色は変わらない。
「こんなの嫌だよ、こんな廃れた町...」
俺の想像していた理想の景色とはまったくの反対で思わず現実逃避をしてしまう。
俺の前に広がっていた景色は、ボロボロの今にも崩れそうないかにもな家々と中途半端な砂漠─────
「さっそく積みゲーかよ...」
ため息が溢れた
「おい!お前!なんでこんなところにいる!」
後ろから走ってくる音が聞こえる
「いや!違うんですよ!」
ズササササ...
そんな言葉は聞かずに、あの老人よりも少し若いであろう男が俺を、ボロい家に引っ張っていく。
中途半端な砂漠だから痛いんだよ...!
「もうちょっと優しくなりませんかね、」
「お前!なぜここにいる!夜になってみろ、死ぬぞ!」
「フル無視...だからね、違うんですよ!ワープをミスったんです!」
「ワープをミスったって、その格好で何を言ってるんだ。お前は最近のニュースを見てないのか?ここを知らないのか!」
「見れないんですよ!」
「ここは大事な地帯でな、ほとんどのプレイヤーは入り込まないんだ!だが、たまにここを犯罪者集団が入ってくるんだよ!最近な、この世界で犯罪が起こりまくってるんだ。ハッキングやそれを利用した殺人だ。」
「そうは言われても...」
「そうだ!お前の背負ってるバックを見せろ!身元チェックと持ち物チェックをする!」
何か閃いた顔をして俺の背負っていたリュックを取った
「プライバシーの侵害ってこのことかな。」
「プライバシーの問題なんてことはいいんだ!これは必要なんだ!」
そういえばこの人、さっき案内してくれた人と同じバッチつけてる...
「お前...やたらと金を持ってるな。むしろ金しかないんじゃないか?」
「お金もよくわからないんですけど。」
「この世界でのお金は、この紙1つで100キャノン、2つで200キャノンだ。それをお前は3000キャノンも持っている。まあいいが。」
「えープレイヤー名が...」
「グラハム•サンダーランドです!」
「サンダーランド?お前...まさかあの、ローカル・サンダーランドと関係があったりしないだろうな?」
俺は首を傾げた
「ローカル・サンダーランド...俺が生まれる前に父は亡くなったと言われて育ちました。なぜか名前すら残ってないし教えてすらもらえないのです。思い当たる節としたらそれくらい?です。」
「いいや、お前の父かどうかなどはいい、お前との関係がもしあるとするならば、即刻本部に連行になるからな。」
「ええ、それ先に言ってくださいよ。」
「言ってどうする。とにかくな、行きたい場所を言え、どこに行こうとしてたんだ、早くここから出るんだよ」
「いや、実はもうこのゲームすぐやめようと思ってたんですよ。早く脱出しないとまた虐待されちゃいます。」
「虐待?まさか虐待受けてるのか?だからニュースもこのゲーム世界のこともまったく知らないのか?」
珍しく反応が良いので全てを話すことにした
「監禁されてるんです、巨大な城だと思うんですが...出口がどこかわからなくて...それに、檻に閉じ込められる時もあるし。」
「それこそクソゲーじゃないか。なぜ戻る必要がある?」
「掃除を頼まれてるんですよ!早く戻んないと、しばらくご飯が食べられなくなる!」
「なら、戻らなくてもいいんじゃないか?行き先を変更しろ!このゲームで1人で生きていくのは困難だ、組織に入るんだ!そうすればいずれ必ず仲間ができる、飯だって食えるはずだ。」
「いいですよ、別にそれでも。ですが、その場合、俺は、ローカル・サンダーランドを探します。」
ドンッ!ボロい机が崩れそうなのをメキメキと音を立ててなんとか耐えている。
「それはダメだ!やつはハッキングをし、この世界を変えてしまった犯罪者だ!その疑惑がかかってる!」
「接触するのは危険だ!」
「そうだとしても!俺はその人に会いたい。もしかしたら、それは俺の父親かもしれないんです!優しい父親かも。」
「奴は悪だ、優しくなんてない。死ぬだけだ」
「なら、俺はもう行きます。もう、この世界には戻りませんから...」
「そうだ、出て行け。もし接触するというのが本気なら今すぐにこの世界から出ることだ。」
「俺はもう知らんぞ。何があろうが関わらん。お前は危険すぎる!」
「じゃあワープするんで離れてください」
俺はポケットから黒い玉を手に取り出した。
「それじゃあな!」
そう言って今にも倒れそうな意味がないドアを開けて出ていった
「あ!そういえばー!組織に入るためにはどこに行けばいいんですかー?」
俺は大声で叫んだ
「組織募集所だ」
「はーい。」
「ん、ん!?お前、ログアウトするにはユーザ管理所だぞ!行くな!」
「組織募集所へ!ワープッ!!!」
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