短編「孤独ノ東京」(完)

不可世

一話完結

ブルーなホリデーナイト

ただ気休めに

クラッチを上げて

高速の向こうまで飛ばした


なんたって

ここは俺だけの世界

俺だけ

俺だけだ


寂しさなんていう

ママ欲しさはない

ただブラックなスタンスで

孤独とかいう

安い黒に染まってる


なんとも無礼で

それとなくレイニー

サイレンもアルコールも

ただのお遊び


この夜もやがて消える

だったら星が消えるまで

コンティニュー


ああ、血が騒ぐ

まだ見ぬ魅惑に

飢えている


俺に正義は似合わない

そんなポリシーで

ポーカーフェイスを使い

検問を超える


ああ、今日も

ビックシティーが

輝いてる


吹き荒れるエンジンで

キルスイッチに手を伸ばし

煙草をつける


ああ霧が深い

まぁ見たい顔もないから

それとなく気分がいい

深く帽子をかぶって

虚空と相まっていく


そうしてチルアウトして

ただ消える星々を追いながら

9番街を進んで


そこで

待ち受ける東京タワーが

まだ仁王立ちしている

俺にはいささか、まぶしすぎる


早いとこ群衆に慣れないとな

なんて険悪そうに月を見上げ

俺はそっと

アクセルを踏んだ


まぁ今日はそこそこのナイトかな

じゃ、グッバイ

東京


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