第15話
「聞いてくださいよ〜。オークキングのドロップがこれだけですよ?キングですよキング、もっとなんか貯めてるでしょ」
「今日は外れを引いたみたいですね〜」
あの後、俺は鈴木さんとダンジョン食堂に向かって行った。オークキングのことを話すと鈴木さんも同じく外れだと感じているらしい。
「でも普通の人では手が届かないものですからね。それを考えるといいんじゃないですか?」
「でも金や宝石とかは微妙なんですよね…。売りすぎたら相場が安くなってしまうのでなんとかちびちびと売ってはいるんですが…」
「でも、金は貯めといて損はないんじゃないですかね。安定してますし、保管する場所とかは気をつけなければいけないですけど」
「あ、それは大丈夫です」
金や宝石類は家の中にある特殊な金庫の中に入っているからな。指紋認証と魔力認証があるからそういうスキルでもない限り開けることはできないのだ。
「そういえば今日は何食べます?」
「ん〜。八神さんは逆に何を食べますか?」
「僕は前に鈴木さんが食べてたなんとかの唐揚げですかね」
「『ハーブ鳥の唐揚げ』ですね?じゃあ僕は『ジェットサーモンバーガー』食べます。あれ最近気に入ってるんですよ」
「最近?毎日食べてる感じですか?」
「……しゅ、週5は食べてます」
「…探索者をやってたんですからわかるとは思いますけど程々に運動したほうがいいですよ」
「うう…、ぜ、善処します」
まあ大丈夫だとは思うが鈴木さんが体調不良になったらダンジョン協会で話す人がいなくなるのだ。もしも、もしも鈴木さんがいなくなってしまったら俺はこのまま友達を作ることができずにずっとぼっちになるだろう。一応大学にも複数人かは友人と言える関係の人間はいる(田中とか)。しかし、ダンジョンのことで話し合えるような友人が欲しいのだ。しかし友達を作ろうと思ってはや三年。
(ダンジョンで話せる)友達1人もいない。
しかも周りの人間からは『修羅』と言われ遠ざけられている。
しかし、鈴木さんだけは昔から俺と接してくれるので今ではご飯を食べに行く仲になった。
しかし、俺もそろそろソロは飽きてたな。
でも逆にいない方がいいかもしれないし、うーん。
「どうすれば友人って作れるんですかねぇ」
「なんですか急に、大学にいましたよね、確か」
「いやそっちのじゃなくてダンジョンとかの話題を話せる人とか一緒に潜ってくれる人とか」
「あーそれはちょっと難しいんじゃないですかね、中々Sランクの人で仲間とかいる人居ませんし、まぁチームでSランクってところはありますけどね。ついて来れないと思いますよ。文字通り"格"が違うので」
「まぁそうですよね」
「まぁいいじゃないですか。報酬独り占めだし」
「確かに」
◇◆◇◆◇◆
「着きました〜」
「早く先の確保をしましょうか」
俺がそういうと鈴木さんも頷いて良さそうな席を探した。
「お、あそこの席はいいんじゃないですか?」
「少し遠いですけど明るくていいですね。うるさくもないですし」
席に着いたら早速食券を買いに行く。
今回買うのはさっきも言ったが『ハーブ鳥の唐揚げ』だ。500円。ワンコインで買える。
500円、いい響きだ。
そして俺と鈴木さん分の水を入れに行く。基本的にジュースやお酒を頼む時は勿論お金はかかるが水と烏龍茶は無料なのでかなりありがたい。買う手間も省ける。
早速食券を買って席に着く。少し遅れて鈴木さんもやってきた。
「よっこいしょっと。あ、もう買ったんですね。僕も買いましたよ、『ジェットサーモンバーガー』」
「一応鈴木さんの水も持ってきましたよ」
「おー!!ありがとうございます!いやあ、『ジェットサーモンバーガー』は単品で600円もしますけどかなりでかいんですよ」
「どれくらいですか?ビック◯ックぐらいですか?」
「あれの2.5倍ぐらいです」
「ええ…。食べ切れるんですか。すごいですねそれは……。そう考えると安いかもですね」
「でしょう?しかも油の乗ったジェットサーモンが美味いんですよ!………っと、番号が出たので行きますね」
「OKです」
『ジェットサーモンバーガー』か〜。どんな食べものなんだ?
あ、俺の番号もきた。早速食堂のところへ行く。
「1506番の方〜!」
「あ、はい!」
「お待たせしましたこちら、『ハーブ鳥の唐揚げ』でございます。お間違えはないでしょうか?」
「はい、大丈夫です!あ、後マヨネーズってもらえますか?」
「マヨネーズですか?少々お待ちください……はい、お待たせしました!」
「ありがとうございます〜!」
俺はキュー◯ーのマヨネーズを何個かもらい席に着いた。
よし、よし!これがやりたかったんだよ。マヨネーズをかけて食べるっていう食べ方!
「そ、それはまさか…!!」
「フッフッフ。そう!マヨネーズです!」
「犯罪だ!犯罪ですよそれ!」
「なぁに、バレなきゃいいんですよ」
「罪悪感はないのか…」
「いやあんま鈴木さんもかわらないですよ。なんですかそのデカさは、サーモンはみ出てるじゃないですか。しかも野菜がたくさん入ってるし、昼間から食べるものじゃないですよそれ」
「うぐぐ、今回はお互い様ですね。罪悪感を共有しましょう」
「そうですねー」
それじゃあいただきます。
まずは大きい唐揚げをそのまんま食べるか。
あぐ、
「サクぅ」
うんま!これは美味しい。衣がサクサクしててこれだけでもご飯が進むのに中からハーブ鳥のジューシーな肉と油が一気にブワァ!っと口の中で爆発した。そのままご飯と一緒に食べる。
「はあむ、もぐもぐ」
ああ、幸せだ。ご飯のこの安心感と肉の旨みが一致している。米は裏切らない。
このまま2個目も食べる。
「サクぅ!」
美味い。肉の旨みが凝縮されている。若干だがハーブの風味がするのも唐揚げの良さを引き出している。そのおかげか脂っこくなく、さっぱりとしているので何個でも食べられそうだ。
だがただ食べるために『ハーブ鳥の唐揚げ』を買ったわけではない。そう、マヨネーズ!
唐揚げにマヨネーズをかけて食べる。
「サクゥ!!!」
…美味すぎる。すんごく美味い。これにコーラを飲んだら飛んでしまうかもしれない。
特にこのマヨネーズの背徳感がすごい。
唐揚げの肉とマヨネーズの油と旨みが最高にマッチしている。
一気にご飯をかきこむと心の中でホッと安心した自分がいた。
美味い!
それを見ていた鈴木さんは
「背徳感凄そう……。罪悪感ないんですか?」
「いやこっちのセリフですわ」
いつのまにか一口になっていたジェットサーモンバーガーをパクリと口の中に放り込んで幸せそうな顔をしてた鈴木さんに言われた。
いや同類だ。同類。
この後も鈴木さんに見せつけながら食べた。
羨ましそうな顔をしていた。
「今度僕もマヨネーズを貰います」
—————————
作者&作品フォロー、☆レビューしていただけると執筆の励みになります。
よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます