第11話


ダメージを負った『Arrogance』を確実に倒すために八神は接近した。肉弾戦を仕掛けるつもりである。


まずは鳩尾に一発、そして、膝関節に間接蹴りを三発。もちろん魔力を込めて。


ドゴオ!ガッガッガ!



「アガア!た…立てなぃ」



膝の間接を壊したことで奴は足を使えなくなった。自然治癒でいずれ治るだろうが時間がかかるだろう。そのまま『Arroganceの顔面に飛び膝蹴りをして、そのまま組み伏せマウントポジションを取った。


「ぐうううぅぅ!やめろおおおおお!」


「今まで同じようなことを言ってきた人たちのいうことを聞いたか?」


「クソがああああ!この僕に向かってえ!ごほお!ボぐにむガってえ!」



『Arrogance』は至近距離から『ヘルフレイム』や『ジャッジメントサンダーを繰り出してくるが今の俺はアドレナリンがドバドバ出ているので痛みがない。それにリミッターが解除された『身体強化』では上級魔法といえどかすり傷程度だ。



「ち…!なぜコピーできない!『身体強化』のスキルではあるには間違いないはずだが、げほ、…それにしてはスキルの限界を超えている!」



「さあな。自分で考えろ」



「ぐハア!」



マウントポジションからパウンドを打ちまくっているが思ったよりも自然治癒が早く、中々倒すことができない。


『未来視発動』


!?


なっ…こいつ!



「死ね!『消滅の魔法』!」



俺は今マウントポジションを取っているから咄嗟にその場から避難したが、完全には避けられなかった。


「左腕一本か…。ゲホ、ゲホ、まあまあかな」


「………」


左腕があった場所を見ると腕がごっそりと持っていかれ、魔法の効果か分からないが血が出ていなかった。しまったな。左腕を失うのは痛い。流石に欠損部分を修復するほどの自然治癒能力はないぞ。一応ポーションはバッグの中に入っているが取り出そうとすると確実に隙が生まれてしまうから取れないだろう。つまりこれから左腕無しで戦うことになる。


また、『消滅の魔法』を使われたらかなり厄介だ。

ん?いや、待て。


ふと考えると、とある疑問が頭の中で浮かび上がってきた。


…何故『Arrogance』は『消滅の魔法』を連発してこなかったんだ?

考えてみるとますます意味がわからない。

……もしかしたらクールタイムがあったのかもしれないな。だとしたら今がチャンスだ。

一気に畳み掛ける。


八神は大太刀を抜いて一気に近づいた。


「ッチ!『防御結界』発動!」

「無駄だ。『桜吹雪』ィ!」


『Arrogance』が展開した『防御結界』に全力の魔力が込められていたが『桜吹雪』によってあっさりと砕け散った。


そして、八神は大太刀を振り下し、斬撃を飛ばした。『Arrogance』に避けられたが八神はとっくに回復していた『Arrogance』の足を切り飛ばし、自分の中で最高の奥義を発動した。


「秘剣 『燕返し』」


俺は全身の筋肉に力を入れ、勢いよく振り上げた。


このスキルは下から上に振り上げる技でかの伝説の剣士である佐々木小次郎の技を独学で磨いた技だ。斬撃系の技の中では一対一にこそ真価を発揮する斬撃の技術の頂点と言っても過言ではない。威力は凄まじく、特に振り下ろしから燕返しのスキルを使うと威力も素早さも桁違いになる。

当然、この技を受けた『Arrogance』は切られていることすら気づいてなかった。


「…今何をした?」


「自分の身体を見てみろ」


「これは……。してやられたね。いいよ。今回は君の勝ちだ。次は僕が勝つ……必ず、必ず、"カナラズ"だ」


最後にそう言い残して、『Arrogance』は消滅した。

しかし、やっぱり文身体だったか。おそらく『消滅の魔法』が2回しか使わなかったのはおそらくクールタイムではなく、その体が『消滅の魔法』に耐えられなかったからだろう。おそらく完全な肉体を持ったら『消滅の魔法』を使ってくるだろうな。


「ぐううううううう」


くう…しまったな。

『燕返し』は確かに斬撃系の頂点とも言える技なんだが肉体的にもかなりキツいんだよな。1発だけでもかなりキツい。『桜吹雪』でもかなり体力を使ったから正直明日は筋肉痛だな。


八神は急いでバッグの中に入れておいた『ハイポーション』を使用した。


ふう、うん。いつもの左腕だ。なんの支障もない。

しかしあの『消滅の魔法』。いったいどういう原理なんだ?帰ったら少し魔力の波長を調べてみよう。


ドロップアイテムは………流石にないか?いや。ドロップアイテムというよりこれは…

やられた冒険者の遺品だな。

手を合わせて祈る。ご冥福をお祈りします。

仇は次こそ取ります。だから少しだけ待っていてください。



さて、かなり疲れて足もフラフラしているから帰ろう。




◇◆◇◆◇◆





「八神さん!大丈夫でしたか?!」


「ええ。まあ一応この通り生きています。そのことについて少し、ダンジョン協会の会長と話したいので伝えてもらっていいですか?」


「ええもちろんです。案内します」


そうして、俺と鈴木さんは応接室に案内された。案内されたここは本来なら国のトップ層相手にしか使わないような場所だが、Sランク冒険者はここを使うことができる。



「少し待っていてください。すぐに呼んできます」


「はい。わかりました」


さて、久しぶりに会長と話すのか。楽しみというかなんというか…





—————————


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星が来たら3に次話投稿します。

って言いたいところなんですがテストが近いのでしばらく休みます。おそらく来週末には再開できると思うので楽しみに待っててください。

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