第10話



俺のスキル、『未来視』に写った光景は上半身が吹き飛ばされている光景だった。



は?いややばい!

瞬時にそこから離れた次の瞬間



……ヴォン!!



見えない何かは俺のいた場所を通り、消えていった。



「?!…へえ、中々やるじゃないか。この『消滅の魔法』を避けるとは。初見殺しをよく見抜いたね〜。どうやって見抜いたのかもっと僕に見せてくれよ!」



そういうと、そいつは次々と上級魔法を繰り出してきた。


火の上級魔法『インフェルノ』

氷雪系上級魔法『デスアイス』

雷の上級魔法『ジャッジメントサンダー』



普通は魔力量が足らずに一発打てたら一人前と言われる魔法をそいつは一度に何十発も打ってきた。



「ッチイ!!」

「ほらほらほら〜!もっと見せてくれよ!」



大太刀を使って必死に捌いていく。『インフェルノ』を切り捨て『デスアイス』を避け、『ジャッジメントサンダー』を大太刀で逸らしていく。


キリがないな。



「そうかそうか足りないか〜!じゃあもっと追加しよう!さぁ早く『スキル』を見せてくれ!」



「ッチイ!」



『未来視』を発動させながら必死に攻撃を捌いていく。優に捌いた魔法は100を超えた。しかし奴の魔力が尽きる様子はない。



埒が開かない。


これは『スキル』を使うしかない。


大太刀を握り直して集中する。

 


  いくぞ!!

 


「『桜吹雪』!!」  



俺が放った『スキル』 『桜吹雪』は超高速で魔力の斬撃を周囲飛ばす攻撃だ。


何故桜なのかというと見栄えがいいのと相手が油断しやすいというのがある。


このスキルは桜の花びらが周りに吹き荒れるように見える。



一見なんてことない普通の桜の花びらかと思うが花びら一枚が中級魔法を軽く吹き飛ばす程の威力を持っている。


なので、100を超える上級魔法は一瞬で相殺され、奴にもダメージが入った。



「ほう!僕に傷をつけるとは!中々素晴らしい『スキル』を持っているじゃあないか!

それこそ僕に相応しい。ふむ、こうか?

…『桜吹雪』」



あいつ…!俺のスキルをコピーしやがったのか!!  


しかもよりにもよって『桜吹雪』をコピーされるとは…!



迂闊に使わなければよかった。


自分で言うのも何だが『桜吹雪』は斬撃の頂点に君臨しているといっても過言ではない。



上級魔法すらも超えるこの『スキル』を使われたら相当厄介だ。


 


「うおおおおおお!!」



力を込めて大太刀を振り下ろす。


それで『桜吹雪』の七割は相殺した。


だが残りの三割が俺の体を何箇所か引き裂いた。



「ク…!」


「あっはっはっは!いいねえこの『スキル』。これでまた成長することができるよ!

まだまだ見たい『スキル』がいっぱいあるんだ!もっと見させてくれ!」



俺には自然治癒能力があるので少し時間稼ぎをしよう。


「お前は何なんだ?」


「あ?ああ、そういえば自己紹介を忘れていたね。僕の名前は『Arrogance 』さ!中々いい名前だろう?君の名前も教えてくれないかい?」


「……八神だ」


「八神か!僕ほどではないけどいい名前だねえ」


「何故スキルをコピーできるんだ?」


「えーそれ普通敵に聞く?まあ僕は寛大だからいいけどさ。これは元々持っている大罪スキル『傲慢』のおかげさ!この能力は相手のスキルを完全にコピーすることができるんだ!すばらしいだろう?お陰で人間の『スキル』を多くコピーすることができた!」

「その人間たちは?」


「…?殺したに決まってるじゃないか」


「なるほどな…!」


「ッガハア!」



魔力を瞬間的に高め『身体強化』で思いっきり鳩尾を蹴り飛ばした。


手応えはかなりあった。

 


「ゲホ、ゲホ、ぐうう。中々やるねえ。おもちゃにしてやろうかと思ったけどや〜めた。殺してやるよ。八神!!」


「やれるもんならやってみろ」



『Arrogance』がおちゃらけた雰囲気をやめた。



あれは…『桜吹雪』と『デスアイス』を融合している?



「あっはっはっは!これは『桜吹雪』と『デスアイス』を融合した新魔法、『デスブリザード』さ。−273度の絶対零度では分子すらも凍りつく!触れれでもしたらお前は凍りつきお陀仏だ!さあどうする?」




これは少し、いやかなりやばいかもな。

すうううううう、はあああああ。



よし、俺のなかで最も得意で、最強に近『スキル』を使おう。



「『身体強化』リミッター解除!」

「…何?」



『身体強化』は基本的に身体を強化するだけの魔法だが、常に死と巡り合わせだった迷宮では、1年足らずでリミッター解除というおそらく俺だけが自由に扱える力を手に入れた。



最初の頃はうまく制御も出来ずに骨がバキバキになり、筋肉もズタズタになり、まともに腕が使えないといった状況も珍しくはなかった。その度にポーションにお世話になったのはいい思い出だ。



だが、精神をコントロールし、交感神経(自動車でいうアクセル)の活動を活性化させ、アドレナリンを爆発的に脳に分泌させるとことに成功した。


痛みは感じないだけでなく力を制御することもでき、ある程度だったらその力のままで戦うこともできるので切り札の一つだ。



そして、『デスブリザード』を完全に消すためには魔力を拳に一点集中させる。基本的に魔法はその魔法に使われている魔力よりも多ければ相殺することができる。




「すう……ハアアァ!!」




空手の基本の技である「正拳突き」を放ったあとに遅れて発生した轟音と共に魔力の暴風が発生した。そして、その魔力の暴風は『デスブリザード』を吹き飛ばすだけでなく、『Arrogance』にも少なくないダメージを与えた。



「グアああああああ!!!!」




  さぁ、畳み掛けようか!!



コイツを地獄に落とさないと、散って行った人たちの魂が報われないからな……!!





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