第9話
ピピピピ ピピピピ
「ん〜!起きるか〜」
いつもと変わらない朝が今日もやってきた。
さてと、今日はシンプルに卵かけご飯にするか。
俺はおぼつかない足取りで台所へ行き、冷蔵庫から3日前にスーパーの特売で買った卵を出し、昨日残しておいたご飯を電子レンジで温め直す。600Wで1分半ぐらいだ。
その間に余っていたプラスチック容器を軽く洗って卵を割って入れ、麺つゆを足して、ひたすら混ぜる。
カシャカシャカシャカシャカシャ……
チーン。
ご飯が温められたようなので電子レンジから出して、カシャカシャと混ぜておいた卵を入れれば卵かけご飯、略してTKGの完成だ。
少し物足りないから納豆も追加しよう。
あと緑茶も入れなきゃな。よし、
「いただきます」
うん。安定の旨さ。
それにスルスルと食べることができる。そして、納豆も入れてっと、
ズルズル
少々はしたないが1人だからこそできる食べ方だな。やはりTKGは朝にはもってこいだ。
最後に緑茶を飲んで
「ッゴク、ゴク、ゴク、ぷはあ!ふう、ごちそうさまでした」
期待通りの旨さだった。また明後日食べよう。
さて、今日は大学はないし、ダンジョンに行くか。
◇◆◇
「あ!八神さん!いいところに来てくれました」
「なんかあったんですか?」
「はい。Sランク依頼が入ってきました」
「Sランク依頼ですか…。ちなみにどんなものか見せてもらっても?」
「はい、こちらです」
鈴木さんは一枚の紙を渡してきた。
〜中層で起きている異変について〜
中層で活動していた我が社のB〜Aランク探索者の何人かの連絡がつかなくなった。逃げてきたBランク冒険者の1人が見たことがない人型の魔物を見たとの情報が入ったので、中層で何が起こっているのかを確かめてほしい。何もなければそのまま報告をお願いします
報酬 『魔力香炉』 『スキルロール』
『ステータスアップポーション10本』
『ステータスアップポーション』だと?!
『ステータスアップポーション』とは自分のステータスを永久に上げるポーションだ。
デメリットもなく、高ランク冒険者なら喉から手が出るほどほしい逸品だ。
下層ですら中々手に入らないのに…。
そんな貴重なポーションを10本も報酬にするのを見ると会社の本気が伺える。
それほど今回の依頼はやばいということなのか?
「今回の依頼はかなりの高難易度なんですかね?」
「うーん。多分モンスターの姿が今まで見たことがないというのとBランクからAランクの人たちがやられてるからじゃないですかね?
八神さんは受けますか?」
「もちろんですよ。『ステータスアップポーション』は魅力的ですからね」
「ぶっちゃけ八神さんにはいらないと思いますけどね。上がっても微々たるものじゃないですか、まあ「その微々たるもので勝負が分かれるんですよ」…そうでした。Sランク探索者になれる人間はこういう人たちでしたね」
「では行ってきます」
「ええ、行ってらっしゃい」
『ステータスアップポーション』は何としても欲しい。
それにもしかしたら久々に激戦になるかもしれないな。
◇◆◇
中層にやってきた。
ここは40階層である。
しかし、中層で今のところ異変というのは起こっていない。
勘違いではないだろうが、見つけられなかった場合はそのまま報告でいいのだろうか?ちょっとやるせない気持ちになる。
「ブヒいいいい!!」
「……」
次々とやってくるハイオークをバサバサと切っていく。
そしてたまに蹴り、殴りをしていき体術を高めていく。日々の積み重ねが強者へと至っていく近道だからな。
オークを50体ほど軽く葬ったところでドロップ品を確認する。
『ハイオーク肉』
ハイオークを討伐するとドロップする。
筋肉質な見た目からは想像できないほど柔らかくしっとりしている。硬い部位もあるがそこまで気にならなく、臭みもない
『ハイオークの皮』
ハイオークを討伐するとドロップする。
防具の材料に使うと、一定確率で中級魔法以下を無効化する効果を持つ。
デメリットは足が遅くなる。
『ハイオークの首飾り』
ハイオークを討伐するとドロップする。
首にかけると魔力量が少し増え、自分の得意魔法の威力が1.3倍になる。
デメリットはない
『ハイオークの睾丸』
ハイオークを討伐するとドロップする。
精力剤として使われ、上流階級の人間がよく使っているため高値で取引される。
『ハイオークの斧』
ハイオークを討伐するとドロップする。
並の人間では持ち上げることすらままならないが持ち上げることができたものはしばらくその武器のお世話になるだろう。
相手に擦りでもすると相手が流血しやすくなる。また、斧から一定確率で振ると衝撃波が生まれる
俺の周りにドロップ品が多く残されている。
ある程度時間が経つと消滅してしまうのでチャチャっとアイテムボックスに閉まっていく。
………やっと終わった。
さて、次の階層に進むためにボスを倒すか。
◇◆◇
しばらく歩くと馬鹿でかい扉が見えてきた。
もう何度も下層に行く度にお世話になっているボス、ゴブリンキングを倒していく。
ギギギギギ…
扉が開いていくと毎度毎度玉座にふんぞり返っているゴブリンキングはいなかった。
そこにいたのはゴブリンキングではなく、
「んー??誰だい君は?」
不気味な雰囲気を漂わせる青年だった。
いや待て、それはおかしい
ダンジョンにはルールがあり、その一つにボス部屋の扉が開いた時には、探索者が死んだか出現したテレポートで帰ったかまたは次の階層に進んだ時にだけ扉が開く。
それが常識だ。
だったら何故扉は開いた?
つまりこいつは人間ではなく、
「おおお!君はゴブリンキングの代わりのおもちゃになってくれそうだ!ああ大丈夫、生きてる間は体をいじらないよ、僕は寛大だからね!」
『未来視発動』
俺の脳内に映ったものは
上半身が消し飛ばされた俺の姿だった。
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