第2話

ダンジョン協会にやってきた。

見た目は巨大なビルで中は多くのカウンターがあり、EランクからBランクまでとAランクとSランク専用のカウンターがある。なぜ分けられているかというと持ってくるドロップ品が大体高値で取引されるものばかりで、たまに未発見のものも持ってくるので精算にも時間がかかるかららしい。

入ってみるといつも通りガヤガヤしているが俺がくると少しだけ静かになるのはいつも通りだ。



「おい、あれ見ろよ」

「ああ、『修羅』だ。奴はまた潜るのか。前回も死にかけていただろう?なのにもう回復していやがる....。本当に人間なのか怪しいぜ」

「おい静かにしろ!目をつけられたらやばいぞ」


気のせいじゃないな。ばっちり聞こえてるが攻撃されない限りはいつも無視している。最初の頃は変人扱いされていることにショックを受けたが今ではもう何も思わない。やはり、Sランク探索者は変人になる運命でもあるのだろうか。

受付の方へ行きたいがカウンターに並ぶ人が多く、行列ができていて自動ドア付近まで続いている。しかもEからBランクのカウンターは何十ヶ所にも連なってるから通れない。仕方がないが言うしかないか。


「すまない。あそこのカウンターに行きたいんだが間を通っていいだろうか?」


「ったく横入りか……って『修羅』⁈わ、わかった。通りな。」

  

「すまない、恩に切る。」


男が大声で俺の名前をいったからか注目が集まり俺の前にあった列が前と後ろに分かれて前に道ができた。申し訳ない気持ちもあるが自分が築き上げてきた名声で楽ができるのはありがたい。あまりこういうことはしたくはないがな。

俺が向かった先には誰一人として並んでいなく他のカウンターより豪華な作りとなっているカウンターがある。そこがAランクからSランクの探索者だけが使えるカウンターである。そこにはEランクからお世話になってきた鈴木さんがいた。

「鈴木さんおはようございます。早速ですがダンジョンの依頼は今はありますか?」

「八神さん!おはようございます。そうですねえ。昨日はありましたけどついさっきAランク冒険者のチームが依頼を取っていきましたので今はないです」

「そうですか.......わかりました。じゃあ今日はダンジョン内をぶらぶらしてます」

「すみませんねえ。最近は高難易度の依頼があまり来ないんですよ。そうだ!今日の仕事は早めに切り上げて他の人に任せるのでダンジョンから帰ってきたら一緒にご飯食べませんか?勿論僕が奢ります。」 

「いやいや悪いですよそれは」

「いやいやあ。Sランク探索者のカウンターで働けるのも八神さんのおかげですので、ちょっとした恩返しってことで、ね?」

そう言われると何も言い返せなくなる。やはり鈴木さんは俺の性格をよくご存知にのようだ。

それにお世話になったのはこちらだと言うのに。

「ではご馳走になります。」

「ええ、ではダンジョン探索頑張ってください。」

「はい、行ってきます」


ダンジョンに行きますか。




◇◆◇◆◇◆




ダンジョンにやってきた。

以前説明したと思うがもう一度おさらいしておこう。ダンジョンは人工物であるが殆どは洞窟だ。だが洞窟といっても入り口はちゃんと整備されていてかなりでかい。

……にしても随分混んでるな?何かあったのか?鈴木さんに聞いておけばよかった。

では、早速ダンジョンに入ってみよう。

ダンジョンに入ると何個かの転移陣があり、全て一層に繋がっている。

じゃあ入りますか。

転移陣の上に乗ると視界が真っ白になり目を開けるとあたり一面青々とした緑の草原が広がっていた。親の顔より見た景色である。

仮説ではダンジョンは別の世界と繋がっていると聞くが太陽があるのをみると、本当かもしれないな。

あたりを見渡すと、ポツポツと探索者なりたてっぽい人たちがいる。

「キュ、キュ〜ン」

「やった!やったぞ〜!ホーンラビット倒したぞ〜!」

ホーンラビットか。確か俺も試験以外で初めて倒した魔物がホーンラビットだったな。

ラビットという魔物は見た目は真っ白のウサギなのだが普通のウサギよりも攻撃的でツノが額から生えており、タックルをしてくるが大きさも通常のウサギと一緒なのでツノに注意すれば問題ない。

やはり大体の人はホーンラビットから通るんだな。


「キュー!」

「キュー!」

「キュー!」

おっと、こっちにもやってきたな。だが無駄な殺傷はしない主義なんだ。


ギロ!!

「「「キュ、キュ〜」」」


格下の相手には睨みで返せるのは良いな。

だが、たまに実力の差がわからないモンスターもいるから厄介だがな。

そろそろ戦いたくなってきたし、ここからは一気に50階層まで突っ走っていくか。




◇◆◇◆◇◆



よし、ついた。

途中何かを吹き飛ばした気がするがきっと気のせいだろう。

50階層からは下層と呼ばれていてAランクからSランクの探索者がいる場所だ。そして敵の強さも段違いになり低層と中層とは訳が違う。

その代わりと言ってはなんだがドロップするアイテムも高価になり宝箱からは金銀財宝が出たりする。一発でも当てれば億万長者になれるので突っ込んで死ぬ人間は後をたたない。下層で死ぬ人間は自分の実力を過信してるか運が悪かったかの二択だ。勿論例外もあるがな。そもそも下層まで来れる人間も少ないが。


「「「「「ぐるるるるるるー!!」」」」」」


早速ブラックウルフがおでましか

俺は背中に担いでいた大太刀を取り出す。


「さあ、暇つぶしと行きますか。」


まあ……楽しませてくれ。



——————————


 作者&作品フォロー、☆レビューしていただけると執筆の励みになります。

 よろしくお願いいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る