第2話 名前決めないとね

店を閉めて商店街に向かったセツ


「セツちゃ〜ん!!また今度包丁研いで

くれない?」

「いいわよまたうちへ持って来てね」

「わかったその時ついでにうちの野菜

持ってくわね」

「ありがたいわ!!」


野菜屋のおばちゃんとだべりながら買い物を

すませ、その帰り道


オギャァ


薄暗い路地裏その奥そこでバスケットに

入れられた赤子を見つけた


「こんなところに赤ちゃんがでもこんな

ところに来る人はいないはず」

「オギャァ~オギャァ~」

「放置するのは心が痛いわね」


赤子の入ったバスケットを拾い上げ

その子の顔を覗き見た


その赤子は生後約1ヶ月程で手足は動く

ようだが喋りはしない

容姿は綺麗な金髪が薄らと生えており

瞳の色は湖のような深い青色の女の子だった


「あなたは今日からうちの子よアタシが

あなたを自立できるまでに育てるわ」

「…?」


セツは赤子を連れ帰り念の為新しい毛布に

包んで寝かせた見たところ病気や怪我も

していないようだった


「あっ、そうだ名前どうしようかしら?」

「そうねぇ」

「湖のような青色の瞳だから《セレス》

いいじゃい!!これからあなたの名前は

セレスよ!!よろしくね」


そして月日が経ちセレスも10歳になった


「お母さん!!お客さんだよ!!」

「はいはい今行くわ!!」


10歳になったセレスは看板娘として店を

手伝うようになったちなみにセレスが

お母さんと呼ぶことで店に来た冒険者達が

混乱するようになったのは言わずもがなで

ある


「なぁセツお前せめてセレスにお父さん呼びを

させてくれよ」

「あの子が好きでお母さんって呼んでるのよ」

「ここに来た冒険者達が混乱するんだよ!!」

「あなたもはじめは勘違いしてたじゃない」

「やめろそれは俺の黒歴史だ一生思い出したくもないやつだ!!」

「付き合ってって言ってたじゃないのよ!!」

「ぎゃあああ!!やめろぉ!!また人間不信になりかける、、、」

「ケイトさんお母さんは見た目は女性でも

恋愛対象は女の人だよ?」

「やめろセレスそれは俺が君のお母さん(?)を好きだと言ってるようなものなんだよ!!」

「違うの?」

「あらやだケイトったらアタシ狙い?

ごめんねアタシホモじゃないのよ」

「おいコラ勝手にフルなそして色々と違う!!」

「お母さんこれってツンデレってやつかな?」

「そうよこんなツンツンしてるけど内心は

好き好き言ってるのよ」

「話を聞け!!っと言うかそもそも今回来たのは生成のためだよ生成!!」

「アタシの心を弄んだの、、、?」

「あ〜あお母さんが傷ついた〜」

「え?俺のせいなの?ってか仕事しろ!!」

「ちぇはいはいわかりましたよ〜」

「拗ねるな」

「セレスアタシが作業してる間の店番は任したわよ生成、精錬の依頼は別の日に予約させてね」

「わかってるよお母さん」

「っていうか生成でしょさっさと素材渡しなさいよ」

「あんたらがふざけるから出しそびれてたん

だよ!!」

「ケイトあんた昔に比べて元気になったわね

昔は淡々と話してたのに」

「色々と吹っ切れたんだよそうしないとあの

黒歴史から逃れる方法がなかったんだ」

「アタシへの告白を黒歴史だなんて失礼し

ちゃうわ」

「当たり前だろ」


そしてケイトが取り出したのは火竜の火石、

宝石龍ジュエルドラゴンの結晶だった


「あら宝石龍ジュエルドラゴンなんて珍しいわね」

「まぁ見つけたのは偶然だけどな」

「綺麗だねどんなモンスターなの?」

「見た目は火竜に宝石の結晶がへばりついてるような感じだなまぁ実際は火竜の亜種と

言うか突然変異みたいなもんだ火竜の中でも

かなり魔力が多いやつにしかならない現象だな魔力が結晶として皮膚を貫通して外に

出てくるんだその結晶が大きければ大きい

ほど魔力が強く強力になるまぁドラゴンだけに言えた話じゃない他のモンスターも稀に起こる現象だこの現象のことをジュエル化と

言われている」

「そうそしてジュエル化したモンスターの得意な属性が付与されてることが多いわ」

「へぇそうなんだじゃあこの魔石が大きいのは強いモンスターだったってことなのね」

「そうちなみに色んなドラゴンがいるが

ジュエル化したら総称で宝石龍ジュエルドラゴンって呼ばれて

るんだよ」

「すごいんだね!!」

「そうよでも危険だから近づかないようにね」

「はーい!!」

「そんじゃセツとりあえずこの2つで何か

作れないか?」

「ん〜そうねぇ2つとも宝石だから付与、

それかアクセサリーにして耐性を付ける

のもいいんじゃないかしら?」

「じゃあ火石の方は売ろうかな結晶は

首飾りにしてくれ」

「了解じゃあ結晶のアクセサリー1つ

4万ゴールドそこから火竜の火石の

2000ゴールドを引いて3万8000ゴールドよ」

「あぁじゃあよろしく」

「アタシはこれからアクセサリー作って

くるわ店番よろしくねセレス」

「わかった行ってらっしゃい」

「いつもありがとねケイト」

「おう」


セツが工房へ入るのを見送った2人

この後の予定は無いと言うケイトを

引き止めセレスが話し始めた


「ねぇケイトさんってお母さんのこと昔から

知ってるのよね?」

「あぁそうだな俺が冒険者やり始めた時から

世話になってるからな」

「へぇそれじゃあ初めて買った装備とかって

ここで買ったの?」

「いやセツは元々冒険者だったんだよまぁ

すぐにやめて鍛冶師になったけどな」

「え?そうだったの?ってことはお母さん

って実は強かったりして」

「強いとてつもなく」

「嘘でしょ?」

「よく考えてみなここで扱ってる武器や装備

その材料はとても品質が高いそして始めたての冒険者でも買えるほどの値段だ」

「鉱山の方に知り合いがいて安く仕入れてる

からじゃないの?」

「知り合いがいるってのも確かなんだが

鉱山には稀に魔物が発生し始めて数が増え

続けるダンジョン化ってのがあるんだよ」

「そんなことがあるんだ」

「まぁ珍しい話じゃないどこに行っても危険は付き物だからな」

「そっかでそれがどうしたの?」

「セツがいつも材料を取りに行く鉱山は

なんて言う鉱山か知ってるか?」

「えっと確かスルーチ鉱山だったよね?」

「そうそしてそこはダンジョン化された場所

なんだよ」

「そうだったんだ」

「そうそしてスルーチ鉱山別名

【ゴーレム工場】その名の通りゴーレム

が多いダンジョンだその中でも冒険者は

見向きもしないスチールゴーレムってのを

材料に使ってここの装備を作ってるんだ」

「そうなんだ見向きもしないってことは

弱いの?」

「そんなことは無い鋼の身体をしているあの

ゴーレムに傷を付けることすら難しい」

「大剣とかハンマーとか重量系の武器なら

傷付けることはできるでしょ?」

「確かにそれが出来ればいいんだが場所が

問題なんだ鉱山だからあんまり道が広くは

無いんだそれに近場ならかなり補強されては

いるけど深く潜れば潜るほど衝撃で崩れたりするんだ」

「そっかでもお母さんは取って来てるんじゃ

ないの?」

「そうセツはナックルつまりは拳で砕いて核を潰してるんだよ」

「え?嘘でしょ?」

「実際目の前で見たらわかるよまたいつか

連れて行ってもらいな」

「ちょうど明日行くって言ってたから聞いて

みる」

「危険だからどうかと思うけど」


その時工房から作業を終えたセツが出てきた


「あらケイトまだいたの?」

「まだいたのって結構失礼じゃないか!?」

「だっていつもすぐに出て行っちゃう

じゃないの」

「ったくいつもは買い物行ったり明日の依頼

に行くための準備があるんだよ」

「ねぇお母さん」

「どうしたの?セレス」

「明日鉱山に行くのよね?」

「えぇ材料が少なくなってきたからね」

「私も一緒に行きたいんだけどいいかな?」

「えぇいいわよ汚れてもいい服着用意しとい

てね」

「はーい」

「ちょっと待てセツ」

「え?」

「あそこはダンジョンだぞ!?そんなホイホイ

連れて行っていい場所じゃないだろ!?」

「あ、そっか冒険者ギルドに登録させとかないとねありがとう思い出させてくれて」

「違うそういう問題じゃ無いんだ…」

「あの子はアタシが守ればいいもの」

「イケメンか?」

「いや美人よ♡」

「どっちでもいいわ!!」

「行くのはダンジョンなんだいつ突然変異

した魔物が出るかわからないんだぞ?」

「あ、そういえばこれ完成したアクセサリーね効果は耐火で多少暑さにも耐性がつくわ」

「おうありがとうって話を逸らすんじゃない!!」


色々とあってセツ、セレス、ケイトの3人で

鉱山に行くこととなった

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オカマが鍛冶師やっててもいいじゃない ルゥイ @Ruui3066

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