クソ台VS引き強

 その後も俺は遠隔クソアマとダシマッセ倶楽部度々顔を合わせ、顔を合わせるたびに遠隔クソアマが隣の席をバシバシ叩いて座るように促すため、自然と並び打ちをすることが多くなっていった。しかし、俺の勝率はあまり芳しくなく、勝っても数千円で、負ける時はタコ負けという結果が多くなってきた。そして負けるたびに遠隔クソアマに何かしらの菓子を貰うのが日課になっていた。菓子をくれるたびに勝ち誇った顔をするのが非常に腹が立つ。しかもこいつが負けた所を俺は一度も見たことがない、こいつが負ける様子を絶対見てやりたい。俺は遠隔クソアマを負けさせるとある作戦を思いついた。


 作戦はこうである。

1俺が先にクソ台の隣の台に座る。

2遠隔クソアマが来た時に隣のクソ台に誘導する。

3遠隔クソアマがタコ負けする。

4俺が気持ちよくなる。


 これ以上にない完璧な作戦である。作戦の決行は休みである明日である。遠隔クソアマは少女戦記以外の台をほとんど打ったことがないようで、YOUエリートビジネスマン桂を打っている時も新鮮に驚いている反応が何回かあった。なのでおそらく、スロットのクソ台とかをよくわかってないことが予想できる。明日が楽しみだ。


 翌日・・・


 俺はいつものダシマッセ倶楽部に12時ごろに向かい、見事クソ台の隣にある、「モンキーハンターファイアバー」に座ることができた。まあ、そんなに人気ない台なので朝から並ばなくても取れると思ったが、案の定とれた。この台は大人気ゲームのタイアップ機であり、なかなか吸い込みは激しいが当たってしまえばモンスターをゲーム感覚で討伐している間にいつのまにか出玉が増えているという中々打っていて面白い台である。


1時間後・・・。


 (めちゃくちゃ調子がいいぞ)

 俺は85Gで初当たりを取り、その勢いのままどんどんモンスターを討伐し、出玉を伸ばしていた。なんだか危ない場面があるものの、レア役で強引に当たりを引き寄せてうまく連チャンさせていた。気がつけば出玉が1500枚を超えており、普通に勝ちといった状況である。1500枚を超えたところでハンターがやられたためラッシュは終わったが、万々歳と言った結果だ。


 (というか腹減ったな)


 俺は昼飯を食べるために店員を呼び出し麺を啜る動作をして、昼食休憩を取ることにした。


 そしていつも食べている牛丼屋に向かうとそこには遠隔クソアマの姿があった。遠隔クソアマは焼き魚の定食をもそもそと満足そうに頬張っていた。


 「お前のこの牛丼屋に来てるんだな。」


 俺は遠隔クソアマの隣に座り牛丼を頼むだ後に声をかける。


 「・・・!」


 遠隔クソアマは俺の方を向き、右手の親指をグッと立て会釈をした。

 

 「てか、牛丼屋に来たんなら牛丼頼めよ。」


 遠隔クソアマはムッとした表情をして、焼き魚を一口サイズに切り俺の方に差し出した。


 「食べてみろってか?まずかったらキレるぞ」


 遠隔クソアマはコクコクと頷いて会釈をした。俺は鮭を箸でつまみそれを口に運んだ。


 !?


 めちゃくちゃ丁度いい塩加減だし、しまっていて身がずっしりと入っている。焼き加減も完璧である。牛丼屋のくせにめちゃくちゃうまい。


 思ったより美味くて目を見開いている俺を見てムフフとドヤ顔で遠隔クソアマは頷いている。腹が立つ。てか、こいつより早く食い終わらなきゃ作戦が実行できない!


 「牛丼並でーす」


 店員から牛丼を受け取った俺は牛丼を掻き込み、急いで2人分の会計を出して店を出る準備をした。


 遠隔クソアマはなぜそんなに早く食べるのだろうとポカンとした顔をしていた。


 「焼き魚思ったより美味くてびびったわ、ここの会計は俺が出しとくから後でダシマッセ倶楽部に来いよ!!」


 遠隔クソアマは困惑しながらも首を縦に振っていた。


 その後俺はモンキーハンターファイアバーに座り、ふたたびリールを回していた。するといきなり強レア役を引き、当たりのチャンスになる前兆が走り出した。これはツモったかもな。


 「うおぁ!?」


 したり顔で画面を見ていたら首筋にめちゃくちゃ冷たいものが当たった。後ろを見ると遠隔クソアマがニマニマ笑いながらエナジードリンクをおれの首筋に当てていた。


 「感謝はするが渡し方を考えろよ。今日こそは勝たせてもらうぜ。」


 俺はエナジードリンクを奪い取り一気飲みして遠隔クソアマに空き缶を突き返した。その後隣のクソ台の椅子をバシバシと叩いた。


 「!・・・」


 遠隔クソアマは俺の肩をバシンと殴り俺のスロットのボトルホルダーにそれを無理やり入れて俺の台の隣に座った。


 

 クソ台とは、何か、クソ台はやらない感が強い、出ない、荒すぎる、面白くない等の様々な理由からユーザーから二度と打ちたくないと思われて、クソと呼ばれる台である。俺が遠隔クソアマに斡旋した台は「リブイン奈落」というクソ台である。この台はアニメとのタイアップ機であり、出る前は原作ファンから期待されていたが、あまりにも内容がクソでしかもどうやっても出ないためすぐにユーザーが離れ、クソ台の角印を押された台である。俺も何度か打ったことがあるがまじで出ない。最強特化ゾーンを引いても500枚とかありがちな話である。恐らく遠隔クソアマのバグった引きを持ったとしても勝つことは難しいだろう。


 遠隔クソアマかサンドに1万円を入れ、遠隔クソアマのバグった引き対クソ台との対決が今始まった。


 


 


 


 


 


 


 



 


 


 


 


 


 

 

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