やはり遠隔か

 休みの日にもかかわらず、次の日の朝に早起きした俺はダシマッセ倶楽部に向かった。こんな過疎店に朝イチで座るやつは訳のわからん老人しかいないと思うが、爆だしできる少女戦記をツモるためにも早起きをした。過疎ホールのため、抽選ではなく、早いもの順で台を選べるようになっている。


 開店20分前についた俺は自動ドアの前に立っていた。周りにチョボチョボ老人集まるぐらいで恐らく山物語の島で見かけた人も何人かいた。とても少女戦記に座るような面子ではない。


 開店後危なげなく少女戦記の台に座ることができた俺は財布から一万円を取り出しサンドに入れた。どうせ戻ってくるので一万円程度痛くも痒くもない。


 数時間後・・・・


 結論から言うと現時点で4万負けている。この台はATつまりラッシュに入りにくい代わりに初当たりが軽いという機種だが、当たっては単発当たっては単発というふうに続いており気がついたら4万負けていた。なんであの女が座った時は爆発して俺が座ると吸い込むんだ。腕時計は午後2時を刺していた、腹も減ってるし、流れが悪いので何か飯でも食べにいこう。


 俺は店員に麺を啜る動作をして昼食休憩をすることにした。


☆☆☆☆☆☆☆☆


 昼食を牛丼屋で軽くすませた俺はふたたびダシマッセ倶楽部に向かった。中に入ると少女戦記の台の前にいつも爆出ししている女性がいた。スロットの台を見ながら少し不機嫌そうにしている。狙い台は取りました。今日は俺と心中してください。との意を込めながらは軽く会釈し、少女戦記の台に座った。女性はコクリと会釈を返し、俺の隣の台の「YOU!エリートビジネスマン桂」に座った。


 数十分後


 (おっとこれはいったんじゃないか・・・。)

4回目のボーナスを引いた俺はラッシュに入るためのジャッジ演出に入っていた。タイトルは赤である。基本的にスロットの赤はパチンコよりも強くなっているのでとってもらわなきゃ困る。ジャッジのレバーを叩構えに軽くその場で伸びをする。


 (よし。ん?)


 視線を感じ、隣を見ると女性も俺の台をガン見していた。ふと目があってしまって気まずい。とりあえず俺はグッと右手の親指を突き立てた。女性は呆気に取られポカンとしていたが、軽くグットポーズを返してくれた。案外ノリがいいのかな。


 そして俺は女性に目配せをしながら立てた親指のままレバーを押した。


 バリン!


 が、画面にヒビが入る演出が走り砂嵐のような画面になった。赤タイトルなのに外した。え?なんで?


 「ブフォ!」


 女性は吹き出した。その後ハッとし、ニヤニヤしながら右手でごめんの仕草をした後に自分の台のレバーを押した。


 デュデュデュデュリュデュ!


 妙な音がしたので、女性の方を向くと左リールの中段にチェリーが止まっていた。中段チェリーだ。


 中段チェリーとは、中段チェリーは、大体の台でボーナス確定プラスアルファの恩恵をもつ最強の子役である。確率は16384分の1とかはっきり言ってほぼ引くことができない。


 女性は一瞬びっくりした顔をした後に涼しい顔でボーナス図柄を揃えていく。


 いただきライジング!!!!!デューワン!!!!


 台からこの世のものとは思えないような音があり、最強特化ゾーンに入っていた。


 それを見た女性はムフフといった顔で俺の肩をポンポンと叩き、席を立った。


 なんでこの女が座った台が出るんだよ。やっぱ遠隔か、俺は監視カメラを睨みつけた。釘を刺しておいたからこれでもう遠隔はできんやろ。


 数分後戻ってきたら女性はお茶とエナジードリンクを持っていた。女性は台に座ると俺の方に向かって2つの飲み物を差し出して、首を傾げた。


 「え?くれるってことですか?ありがとうございます。」


コクコク


 女性はコクコクと頷いた。俺はエナジードリンクに指を刺した。なんだか知らんがありがたい。


数時間後・・・


 やはり俺は負けていた。隣の女性の台からなるえげつない音を聞きながらただただ通常時を消化していた。気がついたら野口が一枚しかなく、今まさにそれを入れようとしているところだ。


 最後のメダルが、40枚、30枚と減っていく、ほぼ諦めかけていたその時。


 チャンスだ!!


 強チェリーが揃った。しかも、強めの演出とともにきた。


 (よし!!)


 俺は着々と前兆を消化していく。その後☆4のリーチに発展した。しかも赤タイトルだ。つまりほぼ当たりである。


 女性も俺の台を気付けばガン見しており、拳を握っていた。


 連続演出を消化しているその時にメダルが尽きてしまった。あとちょっとなのに種が切れてしまった。こんなことってあるのか・・・。


 すると隣から10枚ぐらいメダルが飛んできた。隣を見ると女性が親指をグッと立てていた。


 「まじでありがとう!!」


俺もグッと親指立て、メダルを入れた。そして運命のレバーオン。


 ボーナス確定!!!


 よし!!!!


 俺はボーナス図柄を揃える指示が出るのを待ちながら回す。


 7を狙え!!


 すると青7を狙えという指示が出た。青7はボーナスプラスラッシュ濃厚であり、ボーナスのうちの数%しかない薄いところを引いたということになる。


 俺は嬉々として7を揃えた。


 投資は6万、一世一代の大捲りを見せるとするか。女性からもらったリアルゴールドを飲み干した俺は台のレバーを押した。


数分後・・・。


 俺は3連で終わった。つまりゴミである。帰ってきたのは100枚程度。つまり論外である。少ないが交換をしよう。俺は店員を呼び、メダルを交換した。


 ふと女性の方を見ると女性の方もリザルトが出ており、5480枚という表示が出ていた。ほんとうにに腹が立つ。


 その後ムフフと満足げ女性は店員を呼びカチモリしていたドル箱の中身を交換してもらっていた。店員が運びにくいかカチモリすんなハゲ。ふと目が合い、俺が見ていることに気がついた女性はクイクイと手招きをした。怪しいが、もしかしたらおこぼれがもらえるかも知らないと俺は女性の方についていった。


 その後カウンターで景品を交換をした。凄まじい数の特殊景品を手にした女性は、余り玉で残ったメダル使ってじゃがりーこを購入した。その後そのじゃがりーこを俺に満足げに差し出した。


 「一応ありがとう。」


女性はコクコクと頷き、俺に向かって手を振り帰って行った。俺の隣で爆だししてきたことをこんなんでは許さん。なんなんだあの遠隔クソアマは。俺は少ない特殊景品を手に取り、交換所に向かった。


 

 


 






 


 


 



 


 


 


 


 


 

 

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