第3話 アイドルの過去

「助けてくださりありがとうございます!私は人間のニアです!」

人間の女を助けて一晩が経ち、彼女は目覚めた。

「そうか。俺はリスタだ」

「よろしくお願いします…えーと。王様?社長?」

あぁ。部下とは言ったが何のとは言ってないもんな。

「王様だ。お前は今日から俺の部下だ。…人間」

いや人間だとしても。こいつは多分性格の良い馬鹿だ。命の危機だったとはいえ今まで虐めてきた天使の部下になるとは。

「ニア」

「は…はい!」

「早速だけど…早速だが、お前は何で追われてたんだ?」

「あ…はい。私は、数ヶ月前までアイドルをしてました」

「アイドル?」

「はい。割と人気なアイドルだったと思います。ファン…サイン会に来てくれる方々も一日五百は見たと思います」

「五百!?」

「はい……あれはちょうどサイン会の日でした」

「…あぁ」

「…クジラ…群馬県の王がやってきました」

TVが映る。まるで話を聞いていたように。

「あっ…あれです」

「ニュースの時間です。本日は群馬県から王クジラ様をお呼びしております」

テレビには真面目そうなスーツを着た男が、笑顔で話していた。

「どうもクジラです。群馬県の王をしております」

「早速ですがクジラさんの王としての行き方を教えて頂いてもらっても宜しいですか?」

「はい。私はこの国を楽園に変えたいと思っております。天使や悪い人には奴隷となってもらいそれ以外の皆様には奴隷が仕事をしている間に楽をして頂きます。美味しい食事や、楽しい遊戯。皆様に楽しんで頂きたい。それが私の行き方です」

「なんと良い言葉!ありがとうございます」

「…あの男がなんだって?」

「あの男は……私の人生をめちゃくちゃ…いえパパママを」

ニアが泣き始める。

「…説明しろニア」

「…はい。クジラは、私のママとパパを…殺しました。そして私を…アイドルだった私の夢を壊したんです!」

「どうもニアさん」

「…こんにちはクジラさん。サイン会来てくれたんですね」

「えぇ…見てくださいこれ」

「…それは…契約書?」

「えぇ…皆さぁぁぁぁぁん!?ここに奴隷が居ますよぉぉぉぉぉ!?」

「「「何!?ニアちゃんが奴隷?そんな訳ないだろ!?」」」

「クルトン?」

「かしこまりました…Repair悪魔の洗脳」

「「「たとえ王だろうと許さ!………ニアは奴隷!ニアは奴隷!!」」」

「へ…!?皆!?」

「クルトン」

「Burst…!悪魔の致傷剣撃」

「!?指が切れ」

「はい…拇印ありがとうございます…いえ…ありがとよニアちゃん…俺の性奴隷にしてやるよ」

「あんたの…性奴隷になるわけないでしょう!!」

「…逃げやがった…皆さぁぁぁぁん!奴隷が逃げましたよ!!つぅかまぇぇてぇぇ!!」

「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

ニアの過去の話が終わり、ニアの目が少し赤くなる。

「そして私は追われる者となりました。そして追われてる最中、貴方様に…そういえばお名前は?」

「リスタ・タキ。天使だ」

「あっ…そうでした。何故天使が私達人間を?」

「…ある人間に救われた。王の夢も引き継がれた。だから俺は、お前を部下にした」

「…私は部下になります。ですがもう一つお願いしたいことがあります」

「…?」

「私を…いえ私達を壊したクジラを…!倒してください!!」

「……あぁ。俺は」

ニュースを思い出す。「前王に託されたんです」

「俺は」

ハルマに夢は託された。しかし王になるには一人枠を減らさなければ。

「俺はクジラから王を奪う。その為にお前を助ける」

「あり…ありがとうございます!…ニア・サガミ。リスタ様の部下になります!!」

ニア・サガミはリスタの部下となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る