何も知らない

白いドレスを纏った女たちが暗闇を歩く

みな同じ格好をしていた

顔はヴェールで覆われていてよく見えなかった

彼女たちは何かに絶望しているように見えたし、

その先にある光を見つめているようでもあった

足元は水面で向こうの世界は明るくて

彼女たちはどれだけ歩いてもそっちにはいけないのがわかっているのに

どうして同じ方向を向いて歩けるのだろう

わからないから私は違う道をゆくと決めた

ヴェールを剥ぎ取りドレスを脱いで

反対に向かって走り出した

向こうには何かがあるはずと信じて、

キャミソールのワンピースを翻して走る

そこには私と同じ格好をした女の子がたくさんいた

口に手を当てて、笑い声をあげながら、

こっちにおいでと手招きしている



















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回廊蝶々 松原凛 @tomopopn

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