水筒の詩

水筒を肩にかけて夜、自転車を漕ぐ

水筒には飲み物ではないものも入っているんだよ、と言ったのは図書館でいつも新聞を読んでいるおじさんだった

何が入っているのだろうと思いながらお墓の前で水筒の熱いお茶を飲んだ

君は泣いていなかった

まだ怒ってるのかな

昔ここで肝試しをしたとき、何も持たずに行ったのに帰りは大きなリュックを持っていましたね

暗闇で誰かの懐中電灯が灯り、揺れ動き、やがて消えた

服の下はじっとりと汗ばんでいる

そろそろ帰ろう。

そうだね。

水筒の蓋を閉める

夜の森が母親のようにわたしたちを包み込む

家に近づくたびに私たちは少しずつ温もりを失っていった

水筒のお茶はぬるくてほんのり砂の味がした


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