第5話

 十月三十日。僕は夢乃に呼ばれて、彼女の家に行くことになった。ハロウィンだから何かしでかすのでは? と思いつつ、どんな格好をして待っているのか楽しみにしている自分がいた。



ピンポーン



 三十秒くらい待ったが反応が無い。



ピンポー(ガチャ)ン



「トラックのアスリート!!」


(トリックオアトリートだ)



「健次、遅かったじゃん。さ、中に入って」

「おう」


 僕は石橋家に入り、誰もいないことに疑問に思った。


「夢乃」

「何?」

「誰もいないけど、もしかして夢乃と二人きり?」

「そうだよ」


(おいおい。二人きりって、「イタズラするぞ」っておっぱい揉まれるかもしれないじゃん。ん?)


「夢乃。何で制服姿なんだ?」

「へへぇ。似合う? このコスプレかわいいでしょ♪」


(どゆこと? 女子高生が女子高生のコスプレをする? ああ、コンビニおにぎりの具材がおにぎりみたいな感じね)


「カワイイよ、似合っている。ところでさ、今日は友達とか家族とかと過ごさなくていいの?」

「うん。友達はハロウィンを楽しむために東京に行った! 家族もそうだよ」


(すごいよ。石橋家。エネルギーがあるね)


「じゃあ、二人だけなんだね」

「あっ、イタズラするぞっておっぱい揉む気でいるでしょ」


(うーむ)


『どさくさに紛れて体触ってくるなんて、マジ超キモイんですけど。おっぱい揉んだら、すぐに警察呼ぶから』


(ってなったら不登校になる自信がある)



「ほれ」


(下着を見せて誘惑するな)


「なあ、夢乃。誘っているのか?」

「ううん。反応を見て楽しんでいるだけ」


(イタズラか。どこかにカメラあるだろ。からかうために)


「そうだ! 健次」

「ん?」

「この前宝くじ買ってみたの」


(期待値、買った値段の半分だぞ)


「絶対に負けられない!」


(ポジティブシンキング)


「絶対に負けられない試合がそこにある!」


(テレビに影響されているな)


 僕らはネットで当選番号を確認する。


(マジかっ!)


「健次。これって当たってるよね?」

「ちょっと待ってもう一度確認する」


(数字合っているな)


「合っている。百万円だね」

「やったー! 百万円♪百万円♪」


(すごい強運だな)


「夢乃、よかったじゃん!」

「うん! 課金のためにクレジットカード使ったの親に内緒にしていたら、これで怒られなくてすむ!」


(あああ、もう! 何してんだよ!)


 こうして僕らは二人だけの素敵な? ハロウィンを楽しんだ。

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