08 猫とネコミミ

 ネットで買ったものが届いた。俺はそれを持っていそいそと瞬の部屋に行った。


「よう瞬! しらす! 元気かー!」

「うわぁ……悪い予感する」


 瞬はベッドの上でしらすを撫でながら俺を睨みつけた。


「何だよ瞬、ノリ悪いな」

「兄さんのテンションが高い時はろくなことがないんだよ」


 しらすは瞬の腕の中から出てきて俺の足元にまとわりついた。


「しらすぅ」


 よしよし、最近はすっかり俺に甘えてくれるようになったな。俺はしらすの背を撫でた。


「色々持ってきたぞ、瞬。まずはロールケーキな」

「あっ、クリーム増量のやつだ! ありがとう兄さん!」


 コーヒーをいれてもらい、ロールケーキを食べた。甘いものは元々好きな俺だが、瞬と一緒に過ごすようになって余計にお菓子を食べるようになってしまった。太らないよう後でしっかり筋トレしないとな。


「で、兄さん。色々って何」

「次はこれ! ネコミミ!」

「はぁ……」


 白いふわふわとしたネコミミのカチューシャを取り出した。しらすとお揃いだ。


「まあ、それくらいならつけてあげる」


 耳の生えた瞬を撫で回した。


「うーん、これだけでも可愛いなぁ可愛いなぁ」

「まさか、まだあるの?」

「あるんだよなぁ」


 俺は白い尻尾を取り出した。


「えっ……まさか……そのシリコンみたいなところって……」

「ほら脱げ脱げ、猫は裸だろ」

「やだよ! 結局やらしーことするんじゃないか!」


 俺はベッドに瞬を追い詰めた。


「つけるだけでいいから! なっ!」

「ちょっとだけだからね!」


 瞬はするすると服を脱いだ。相変わらず可愛らしい身体だ。俺は四つん這いにさせて尻尾をとりつけた。


「ん……んんっ……」

「俺の入るんだからこれくらい入るだろ」

「そうなんだけどさぁ……」


 お尻をつけて座ることができなくなったので、瞬は手足をベッドにつけたままだ。


「よーし、これで完全に猫になったな。喋っちゃダメだぞ瞬。鳴くのならいい」

「……にゃー」

「最後にこれもつけような」


 俺は鈴のついた赤い首輪を瞬につけた。


「にゃっ……」


 瞬が動く度に鈴がシャランと鳴る。いい。凄くいい。しらすが瞬に近付いてきて、瞬の尻尾を前足で叩き出した。


「にゃー! にゃー!」


 瞬はドタドタとベッドをおりて逃げようとするのだが、すぐにしらすに追いつかれて尻尾をいじくられていた。


「にゃにゃっ!」


 涙目で俺に訴えてきたが、面白い展開なので放置である。そうだ、動画撮ろう。


「にゃー!」


 怒っているみたいだが、それでも猫を崩さないので大したものだと思う。しらすが飽きるまで、瞬との攻防は続いた。


「にゃっ……にゃっ……」

「あーごめんやりすぎた?」

「にゃぁ……」


 瞬の尻尾を抜いてやり、ぎゅっと抱き締めた。


「お尻がむずむずする……」

「どうする? 俺の部屋来る?」

「うん……」


 遊び疲れたのか、しらすはベッドに丸くなってあくびをしていた。

 

「じゃあしらす、すぐ帰ってくるからね」

「もしかしたら遅くなるかもしれないぞ?」

「一回したら終わりだからね?」


 そして俺は瞬をじらしまくってやった。


「兄さんお願い、いじわるしないでっ……」

「してるつもりないけどー?」

「早くしてよぉ……」

「何を?」

「うう……」


 直接的な言葉を使って何をしてほしいのか吐かせた。そんなことをしていたら、すっかり遅くなってしまい、瞬は慌てて服を着た。


「もう、しらすにご飯あげなきゃいけないのに! 兄さん今夜はこっち来ないでね!」


 さすがにやりすぎたか。まあ、たっぷり楽しめたからいいか。

 

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