第12話 謎の女性
暫し沈黙の後、意を決したように球体内へ足を踏み入れる
しかし、
「少し驚いたけど、瓦礫に埋もれてたって事は人間じゃなく機械ってことだよね」
球体内はうっすらと霧が漂うも、目の前の光景は意外にもはっきりとしていた。これにより、
「――えっ!?」
女性の掌に触れた瞬間、突然にも声を発する
「温かいって……どういうこと?」
周りの光景から判断すれば、人の型をした機械のようにも思える。ところが、触れた感触からは温もりがあり、どうやら生きている様子である。
「状況が呑み込めないけど……もしかして、この人はコールドスリープによって眠らされているんじゃないの?」
コールドスリープとは、人体を低温状態に保ち冷凍睡眠させる処置のことである。このように特殊な装置を用いることで、数百年もの間眠り続けることが可能とされた。
ただ、これには高額な費用が必要であり、一般人が簡単に行えるものではなかった。ましてや、このような惑星にコールドスリープを行う施設があるとも思えない。
「いや……まてよ、それだと肌から温もりは感じられないはず」
「ひょっとして、この霧は……」
「これって……コールドスリープじゃなく、停滞フィールドだよね!」
つまりは、目の前の女性は何かしらの理由で意図的に眠らされていたのである。その証拠に、ポッド内の空間には特殊な装置が設置されており、そこから微弱な電磁波が発せられていた。
「ということは……この女性は機械じゃなくて人間なの?」
――と同時に、ゆっくり開かれる瞳。やがて徐々に晴れていく霧とともに、女性は虚ろな表情で辺りを見渡す。
「どうして、ここに…………様がいるのですか?」
女性は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます