第2話
「第二駆動部は起動したか?」
「問題なく起動した」
「よし、では全部署行動開始する。各部署それぞれ通常運転に切り替える」
「各部署通常運転を開始した」
「全ての持ち場で、センサーを通常運転のレベルにし、状況を逐一報告せよ」
「アイドル運転中に潤滑材の不足発生。追加する」
「了解。合わせて予備潤滑剤精製開始。原料の在庫確認」
「在庫に一部不足あり。調達する」
「了解」
各部署からの報告を受ける。
これらの膨大で細かな報告は全て瞬時に全員に共有されそれに基づいて次の行動指令が各部署それぞれで出される。
ここに中央集権的な命令系統は存在しない。
この分散化されたシステムは、何代にも渡って引き継がれ改良を加えながら構築されてきた。
ここ迄のシステムが構築されるまでにも相当な時間と労力が掛かっている。
それでも尚、今でも試行錯誤を繰り返し、常により良いシステムを模索している。
最近も資料部に新しい「課」が設立された。
その「課」は資料部内に元々有った一つの課から独立する形で出来た「課」だ。
資料部は、言ってみれば「情報の倉庫」でありこの乗り物が動き始めてからの全ての情報が記録され保管されている。
我々も含めて各部署は、資料部に保管されている自分の部署に関する膨大な記録に基づいて独自に作戦行動を起こす。
従って資料部は、この乗り物を動かす為に最も需要な部署の一つである。
その新しい「課」も資料部に属しているので、我々のこれまでの行動が全てそこに報告されている事は間違いないのだが、その新設の「課」ではいったい何が行われているのか、実のところ誰も知らなかった。
いったい彼らは何をしているのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます