2.6 三島由紀夫『金閣寺』
三島由紀夫の『仮面の告白』で、三島は筋骨隆々の日焼け男に惹かれることを告白している(要出典の確認)。ここから分かることは、三島由紀夫もM男性だったに違いない、ということである。しかし本人がマッチョになったりしたところを見ると、本当は雄々しくなりたいのに内実は滅茶苦茶女々しい自分、という現実をなんとか否定したかったのだろう。となると、ある程度のS性(への憧れ)は持ち合わせていたということになる。
彼の『金閣寺』をSM理論で紐解いてみよう。
主人公は、吃音(障害、引け目に思う部分)乃ち醜、無名、無力、があった。分かりやすいくらいにMである。なんだったらドMと言っても良い。しかし、男であるため、その性質はSであった。なんか妊婦の腹を踏みつけるというS行為により(要出典の確認)自分がSであるということを証明したがった部分もあったため、主人公の本来の性質はSである。
対置されるのは金閣寺である。金閣寺は、権威、美、のSの2要素を備えている。そして何より、主人公にとっては永遠の美でありアイドルであった。主人公はそこに畏怖を感じ、敬服しているのであるから、圧倒的Sである。
主人公が事細かに何をしたのかはもう忘れてしまったが、最後、主人公は金閣寺に火を放つ。そして金閣寺は滅ぶ。そして、生きようと私は思った。
何が起きたのか。(本来Sの)Mである主人公が、圧倒的Sである金閣寺に反逆を行った。つまり、リバである。リバの末に、Sは滅ぶ。結果、主人公がSの立場に移行し、リバは成った、新秩序が完成した。そうして主人公は初めて、鬱屈・抑圧から解放され、「生きようと私は思った」のである。
金閣寺は、三島由紀夫の願望告白のようなものである。彼はMの者であったが、Sになりたいと強く憧れていた。そして、Sになった瞬間が、金閣寺のクライマックスである。仮面の告白でどうしようもなくM男性であることを告白し、現実世界での生活でマッチョ化乃ちSへの憧れを打ち出していた三島由紀夫の、MからSへのリバ小説。それが金閣寺だったのである。
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