第4話

「………ゴクッ」


「いよいよだね、ゆきちゃん」


「あぁ」


 現在時刻は、朝の6時59分。あと一分もすれば、カケヨメのランキングが更新される。


 あの日、胡春の絵を見て改めて決意を決め、新作を投稿してからおよそ二週間が経過していた。


 現在の俺の順位は三位。ここまでは順調────いや、順調すぎる流れが来ている。


 初日のPV数は500。次の日は2000人と、明らかに初動の伸びが違う。現在の星の数は3500を超えており、フォロワー数も8000人を超えた。


 コメントでも、「いつも面白いが今回は桁外れにおもろい」「これはついに書籍化来たか……?」「書籍化RTAきたな」などなど、たくさんの期待が篭っている声が数多くあった。


「………!ゆきちゃん!」


「っ、よろしくおねがいしまーーーーす!!!」


 気合を入れて右クリック。グルグルとページが更新されて、最新のカケヨメランキングが────!!


「二位きちゃーーーー!!!!」


「きゃーーー!!!」


 よっし!!!よっっっっっし!!!!!


 グッ!と何度も拳を握り、感極まった胡春が抱きついてきた。


 ついに、因縁である3の呪いに打ち勝つことが出来た。この伸びだったら、週間一位も射程圏内だろう。


「やったね!やったねゆきちゃん!」


「本当に……ほんっっっっっとうに長かった………!」


 ここまで苦節三年と半年かかった。ぷへー、と全身から力が抜けて、抱きついている胡春も巻き込んでからベッドへと倒れ込む。


「後は、どっかのレーベルから打診が来るだけだな……来るかな、本当に」


 あ、なんかそう思った瞬間一気に不安になってきた。そうだよな、別に一位なったからと言って絶対に打診が来るわけじゃないからな。


 い、いや!大丈夫!俺が俺の作品を信じれなくてどうするんだマジで。きっと来るんだよ!来ると思えば来る。


「今日はお祝いだね、ケーキ買う?」


「それは一位になってから食おうぜ……はー、本当に良かった」


 胡春のイラストに合うように。それ以上に胡春のことを想って書いた小説だ。俺の胡春に対する想いが読者に伝わった結果だと思うと、いつも以上に嬉しい。


「なんか、今日大学行くのめんどくさくなっちゃったね。サボる」


「賛成。なんか今日は何もしたくないわ。書きだめはあるし、もうゆっくりしたい」


 まだ起きて30分程度しか経ってないが、もう疲れた。今は、胡春の温かさを感じて、二度寝を決めよう。










 ピコン


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