第18話 圧倒的な差★
https://kakuyomu.jp/users/Deetwo/news/16817330669758117157
「タスク、向こうを気にしてたら
「わかってるよ!」
魔剣の鞘を払うレ・ミリアに即答する!
わかってるよ!
“
戦闘態勢を採る僕たちの頭上で、“
光り輝く神鎧をまとい優美な “天使” は見る間に、勇猛なる “
https://kakuyomu.jp/users/Deetwo/news/16817330669759738188
よほどの
だから、
「
示し合わせたように僕と “天使” は、同じ
“天使” は僕と同じ、第四位階までの加護を嘆願してくる!
期せずしての “
“天使” は四〇パーセントの確率で魔法を無効化してくるが、やるしかない!
(気合いで通す!)
四〇パーセントの
でも今回の敵は、その四割の魔法無効化能力ではなかった!
“天使” は人間より高次元に生きる生命体!
超高次元の宇宙的規模の “集合意識” ――神には人間よりも遙かに近しい存在で、
接続能力は僕など及びもつかない!
人の身で彼らを上回る接続能力を持つ者は、
“天使” と “その他人間” の接続能力の差が、祝詞の詠唱速度の差になって、如実に表れた!
最高位階の “
――斬っ!!!
「GiGYaaAAAaaaッッッッッッ――!!!」
魔剣 “
迷宮に響き渡る悲鳴を、男神に聞き届けられた僕の “静寂” が掻き消す!
レ・ミリアが軽やかに着地し、僕の前面に立った!
「君はひとり、僕らはふたりだ!」
左の肩口を抑え
キィイーーーーーーンンンンンッッッッ!!!
再び耳鳴りが襲った!
頭の中に響き渡る、沈黙の加護では封じられない “ダイレクトヴォイス” !
「仲間を呼んでる!」
両耳を塞いで叫ぶ僕の前で、レ・ミリアが再度跳躍する!
空間が歪み、顔面を垂直に割られて墜ちた“天使” の代わりに、新手が現れる!
その新手もまた無音で怒号し、声なき声で同族を呼ぶ!
迷宮の
声を封じられた魔物が呼び寄せた仲間もまた、声を封じられている!
「しまった!」
雷光
あの神剣には触れた相手を
加護を封じられた以上、奴らは必ずあの剣で斬りかかってくる!
ぶちまけた話、第四位階までの加護はそれほど戦いの役には立たない!
麻痺を誘発する神剣の一撃に比べたら、何ほどの脅威にもならない!
逆に
僕はその脅威の確率を上げてしまった!
痛感する、圧倒的な経験不足!
魔法はまず封じるという固定観念!
迷宮探索で最も危険な思い込み!
エバさんなら、決してこんなミスはしないだろう!
次々に援軍を呼び寄せる “天使たち” !
麻痺持ちへの魔法封じからの増殖は、実戦では絶対にやっちゃいけなかった!
形勢は互角から圧倒的不利へと、瞬く間に傾く!
◆◇◆
「…… “
エバが驚きと侮蔑のないまぜになった呟きを漏らす。
「こいつが中身空っぽの陶器人形ってやつ?」
「ええ、叩けばよい音がします」
「自分の
啖呵を切って、魔法の
「
「そいつはまた団体さんだ――で、どうするの?」
“
本体と合わせて二八体もの攻撃を
「もちろん分断した上で各個撃破します。向こうから陣形を崩してくれましたから。少しの間、本体を引きつけてください」
「上等!」
エバの揺るぎない言葉が勇気を引き出す!
両脚に力が漲り、弾けるように “
「来い、空っぽ!」
あたしの挑発に “陶器の悪魔像” が、先端に二本の鉤爪のついた禍々しい杖を振り上げる。
回避に徹して、これを躱す。
この時、悪魔像の意識から一瞬、エバの存在が消えている。
それで充分過ぎた。
「
「
「
「
エバが魔法の
玄室の内と外で分断される、本体と二七体の手下。
念動力で扉を開けて真っ先に突入してきた “陶器の悪魔像” は、自ら陣形を崩し、数の優位を捨てていたのだ。
「“
「Yah!」
手下の石像たちは胸当て四枚分の障壁に遮られ、押し合いへし合するしかない。
その隙に本体を叩いて砕く。
戦力差、二対一。
“陶器の悪魔像” は不利を悟ったのか、空っぽの身体から不気味な音を響かせる。
魔術師系第四位階の呪文、“
「慈母なる女神 “ニルダニス” よ――」
間髪入れず、エバがカウンターで
“陶器の悪魔像” のモンスターレベルは10.
呪文無効化能力は四〇パーセント。
対するエバのレベルは13.
さらに
「―― “
当然のように沈黙の加護が通り、“陶器の悪魔像” から響いていた音鳴りが止む。
あたしが短剣で斬りかかる。
撒き餌に食いついた悪魔像が、鉤爪の付いた杖を伸ばして迎撃。
予期していたあたしは、余裕を持って躱す。
伸びきった悪魔像の杖を持つ手に、エバが戦棍を叩き付ける。
砕け散った右手と共に、得物を失う “陶器の悪魔像”
あたしの短剣は、固い陶器人形には分が悪い。
逆に悪魔の石像に聖なる鈍器は、特効も特効だ。
それなら囮に徹するまで。
(呪文は封じた。武器も奪った。手下とも引き離した――状況、絶対有利)
詰将棋を指すように着実に追い詰めていくエバに、今さらながら驚嘆する。
「まだです。油断してはいけません。最大の武器が残っています」
わたしの心を見透かしたように、エバが言う。
その言葉どおり“陶器の悪魔像” が、残された最大の武器を発動する。
両脚と一体化した台座ごと浮き上がり、玄室の外周に沿って加速を始める。
何百キロあるかわからない己の重量を利用し、自分自身を質量兵器と化す。
周回するごとに増す速度。
質量×速度=攻撃力。
あれに体当たりされたら、ダンプカーに轢かれるのと同じだ。
エバは冷静にタイミングを計っている。
そう、これもすべてこの
質量攻撃を仕掛けてくる相手への戦術は確立されていて、エバは熟達している。
わたしも胸の奥で間合いを計る。
“陶器の悪魔像” と壁を激突させて、自滅させる間合いを。
そして――。
「――今!」
わたしは思わず叫んだ。
我ながらここしかないというタイミングで。
しかしエバは動かない。
「エバ、どうして!?」
その時 “神璧” の効果が切れて、二七体の手下が玄室に雪崩れ込んできた!
「――
アカシニア語で今度こそ叫び、突き出した
“
暗闇系の呪文は、
(でも、このタイミングじゃ――そうか!)
方向感覚を失った悪魔像は
粉々に轢き壊しながら玄室の外へと飛び出していく!
入口に群がっていた後続の手下は避けようがない!
まさしくこれ以上ない、絶対絶妙、ドンピシャのタイミングだった!
迷宮を揺るがす衝撃音!
玄室を飛び出た “陶器の悪魔像” が、手下を道連れに回廊の壁に激突!
盛大に自爆したのだ!
迷宮上層のフロアボスですら、赤子の手を捻るが如し。
わたしは改めて戦慄した。
迷宮探索者としての圧倒的な
深さに!
『……わかってないわね。それとも敢えて見えないフリをしてる? あいつの深さに比べたら、わたしなんて雨上がりの水溜まりにもならない……あの深さはまるで……迷宮そのものよ』
リーンガミルの大使館で吐かれた、レ・ミリアの言葉が耳の奥に甦る。
「残敵を掃討し、本体に息があるようならトドメを刺します」
「……」
「ケイコさん?」
「あ……うん、わかった」
近づけたと思っても……遙かに遠い。
それがこの娘……。
本体は沈黙していたが、手下の中には砕けて動けなくなっていても、完全に活動を止めてはいない個体も多かった。
だから、すべてにトドメを刺すのには相応の時間がかかった。
だから、気づくのが遅れた。
タスクとレ・ミリアと連絡が取れなくなっていることに。
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エバさんが大活躍する本編はこちら
https://kakuyomu.jp/works/16816410413873474742
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第一回の配信はこちら
https://kakuyomu.jp/works/16817139558675399757
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第二回の配信はこちら
https://kakuyomu.jp/works/16817330665829292579
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実はエバさん、リアルでダンジョン配信をしてるんです!
エバさんの生の声を聞いてみよう!
https://www.youtube.com/watch?v=k3lqu11-r5U&list=PLLeb4pSfGM47QCStZp5KocWQbnbE8b9Jj
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