第81話
メリー、キングゥ、メロンちゃん、アリス、そして俺は第三のダンジョン攻略のため最寄りの村まで来ており、そこで馬を停めていると一人の爺さんに話しかけられた。
「兄ちゃん達第三のダンジョンに行くのかい?悪いことは言わんから今はやめときなさい」
「どうかされましたか?」
と、キングゥが聞く。
「最近この村まで響くくらい凄まじい音が鳴る時があるんじゃ。冒険者が調査のため第三のダンジョンに潜ったんじゃが誰も帰ってこん」
キングゥが爺さんに礼を言うと、爺さんはどこかに行ってしまった。
俺とメロンちゃんは顔を見合わせた。メロンちゃんは首を傾げた。
どうやらゲームには無いイベントの様だ。
「どうする?今日は辞めとくか?」
と、キングゥが言った。
メロンちゃんもいるし大丈夫だとは思うけどなぁ。ここはメロンちゃんの意見を聞くか。
「メロンちゃんはどう思う」
「あ…ヤーナツ君もいるしいけると思う…ます」
俺と同じ考えだ。
「コイツこの前のダンジョンで足を引っ張っていたじゃないか。本当に大丈夫か?」
なんかキングゥってやたら俺に突っかかってくるよな。と、面と向かって言うことはできないので心の中に留めておく。
「私も心配です」
アリスにそう言われると俺も立つ瀬がない。俺ってそんな頼りないかな?
「アリスさんは来れないのか?」
と、キングゥがアリスに言ったので、俺はアリスの前に立ちこれ以上の質問は受け付けませんと言わんばかりに両手をバッと広げた。
「ダメでーす。アリスは連れていきませーん」
「何でヤーナツが答える?」
「もういいからダンジョンに行こうぜほら早く早く」
俺はアリス以外の皆んなの背中を押し村を後にした。
絶壁の中に埋もれる様にして石の門があった。石の門には謎の紋様が描かれておりそれは輝きを放っていた。
これが第三のダンジョンの入り口。ゴクリ、と俺は唾を飲む。きっと第二のダンジョンよりもモンスターが強いはずだ。気を引き締めなければ。フーッと息を吐き俺は、俺達は第三のダンジョンに足を踏み入れた。
どんよりと埃っぽい空間。砂利だらけの石畳。光源はどこにも無いのに妙に視界が明るい。悪魔の石像が等間隔に並んでおり急に動き出すんじゃ無いかとビクビクもんである。
「教科書の通り遺跡みたいな場所だな。よし皆んな行くぞ」
謎に張り切るキングゥを先頭に歩き出す。
俺は怖いからメロンちゃんの後ろにいよ。
やはり第三のダンジョンということだけあって、第二のダンジョンよりかは敵が強くキングゥとメリーは苦戦を強いられていた。メロンちゃんもこれじゃ攻略のできないと思ったのか積極的に攻撃魔法を撃っていた。メロンちゃんが一つ魔法を撃てば一匹の魔物が死ぬ、そんな様子を見たキングゥが
「なんであんなに強いんだ」
と、自信喪失気味で言った。
ちなみに俺も大分余裕で戦えている。何でだろ?転生者能力を発動させてないからかな?いまいち俺の転生者能力の仕様がよく分からん。
そう言うこともあってか、俺とメロンちゃんが前衛でキングゥとメリーが、後衛という構図にいつの間にかなっていた。
キングゥもメリーも息が上がっているのか随分と俺達と距離が空いてる。今のうちにこのダンジョンのボスについて聞いておくか。
「このダンジョンってボスとかいるよね?どんなやつなん?」
コソッとメロンちゃんに話しかける。
「えぇ!知らないの?」
ギョッとメロンちゃんが目を見開いた。
「うん、知らん。俺もとのゲームをやったことないからね」
「じゃあやっぱり…リアさんがヤーナツ君に色々教えてたんだ」
なんかリアが転生者ってバレてる。これ俺のせい?リア、転生者バレ嫌がっていたから俺怒られちゃうかも。
「いやぁリアって子かぁ、誰か分かんないなぁ」
とりあえず素知らぬフリをする
メロンちゃんは口に手を当てふふッと笑った。
「第三のダンジョンのボスはね、スフィンクスみたいなボスだよ。ヤーナツ君と私がいれば勝てる。このダンジョンを攻略すればストーリーの遅れは取り戻せるから、後はメリー達が成長するまで待と」
くぅー俺の知らぬフリにのってくれるだけじゃなくストーリーの事もそこまで考えてるなんて、なんてできた子だ。それに喋り方が流暢になってる。なんか心を開いてくれている気がして嬉しいぜ。
そんな事をしていると、このダンジョンの最奥地の扉前まで着く。キングゥもメリーもへとへとのようなので俺が率先して扉を開け入っていく。
あまりにも広い空間、それに薄暗すぎる。前がほとんど見えない。俺を先頭にみんなで周りを警戒する。
不意に、入ってきた扉が閉まり壁に飾られていた松明が順に灯る。部屋に明かりが灯され何かがいる事に気づく。
白い布を纏いダレンと垂れ下がった赤色の片翼を生やしたのっぺらぼう。鼻だけはしっかりと定位置にあり頭部には沢山の目。よく見れば片翼も人の舌の様に見える。
「何あれ?」
と、メロンちゃんが呟いた。
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