第76話
アリス一家の悪魔問題がひと段落し、いつも通り平穏な日々を取り戻しつつあった。そんな日々は送らせまいと一人の人物が俺の部屋をノックすることもなく入ってくる。
「ヤーナツダンジョン行こ」
抑揚のない声でそう言ってくるのはメリーだ。隣にはもちろんメロンちゃんもいる。
一時期のメリーは元気がなさそうと言うか落ち込んでいそうと言うか、メロンちゃんとも距離をおいてそうだったし俺にも一切喋りかけてこようとしなかったから、いつも通りに戻ってくれて嬉しい限りだ。
だが、それとこれとは話が別だ。俺はダンジョンになんて行く気はない。
「嫌だよ。だって怖いもん」
俺はこれ以上話す事は無いと言わんばかりに毛布に包まった。
ここ最近はよく俺の部屋に押しかけて来ては遊びに誘う感覚でダンジョンに行こうと言ってくる。
無論俺だってメリーがダンジョンに行かなければこの世界が危ないって事ぐらい理解できている。が、正直今は部屋に篭っていたい。
理由は単純、キョウが怖いからだ。ダンジョンに行けばキョウもしくはイチカさんにバッタリ会うかもしれない。そしたら今度こそ死ぬかもしれない。だからダンジョンなんて行きたく無い。後、普通にダンジョンに行くのが怖い。
「学校最強も形無し」
無表情なのに何処か呆れた様子が伝わってくる感じでメリーが言った。
学校最強と言ってもオウミを倒しただけでなんかそんな風に言われるようになっただけだ。根が臆病なのでそんな風に持ち上げられるのは気が引ける。それに俺より全然アリスの方が強いから別に学校最強ってわけでも無い。
なんか井の中の蛙感あって恥ずかしいだよな。まぁ、授業免除になりそうだし、母がめちゃくちゃ喜んでくれているみたいだし、ここは最強の地位を受け入れるのもやぶさかでは無い。ダンジョンには行かんけど。
「今日はアリスさん来る?」
メリーが尋ねてくる。
「多分来るんじゃね」
ほとんど百パー来る確信があったが、あたかも来るかどうかは定かでは無いと言ったスタンスで答える。
「お菓子持ってくる?」
コイツ、人見知り発動してアリスと全然喋らん癖にアリスが持って来た食いもんだけはバクバク食うんだよな。しかも眠いとか言って空いてるベットで眠り始めるし。自由奔放すぎていっつもメロンちゃんが困り果ててるんだよな。
「まさか今日も俺の部屋に居座る気か?」
「うん。居座る」
あっけからんとアリスが答える。
「いや帰ってよ」
俺がそう言った瞬間、コンコンと部屋の扉学校ノックされる。多分アリスだ。俺がどうぞと言う前にメリーが部屋の扉を開けた。
「あ、メリーさん、それにメロンさんもいらしてたんですね。こんにちは」
挨拶をするアリスに、メリーは軽く頭を下げるとすぐにメロンちゃんの隣に戻った。そしてジロジロと何も持って来てないアリスを見て残念そうな顔をする。
「残念だったなメリー。ほら帰った帰った」
「ヤーナツやたら私達を帰らせようとする」
一瞬、間をあけて何かを閃いたようにメリーが手を打った。
「アリスさんとエッチなことする気だ」
と、全くの無表情でメリーが言った。
思わぬ発言に俺は吹き出す。アリスとついでにメロンちゃんも顔をボンッと真っ赤にする。よく見るとアリスに至っては肌の色が青色に変色しかかっている。まさか今のメリーの発言でモン娘化か?これはヤバい。
俺はすぐさま毛布をアリスに被せた。でもこの毛布だけじゃ体全体までは隠せない。ここは一か八かだ。俺はアリスを抱え上げベットに直行する。
「俺は今からアリスとムフフな事をする。もう止められないんだ。だからこの部屋から退室してくれ!」
頼むこれでどっか行ってくれ。
「エッチな事したくば私を倒せ」
俺の懇願虚しくメリーは拒否した。しかも謎のポーズをとって。
俺は万事休すと内心諦めかけていたが、メロンちゃんが空気を読んでメリーの腕を引っ張りながら退室してくれたので、事なきを得る事ができた。
毛布をめくりアリスの状態を確認する、今まさにモン娘化している最中だった。
「ごめんなさい」
と、申し訳なさそうにアリスが呟く。
「気にしなくていいよ。そんな事よりも上体を起こして背中を反らせてくれないか」
「え?わ、分かりました、やってみます」
アリスがググッと背中を反らせるとピタッと服が腹に密着しへその部分が軽く凹む。これでも既にエッチだったが俺にはみたい光景があった。
ジッ腹を凝視する。
「恥ずかしいです」
アリスが頬を赤らめる。
「ごめんよ」
と、謝ってはみるもののアリスの腹からは目を離さなかった。
ぷくーっとアリスの腹が段々に膨らみ始める。上腹部は大きく膨らみ下腹部になるに連れ膨らみが小さくなっていく。まるでおっぱいの進化論だ。思わず拍手をしていた。
何度も見ても複乳が膨らむ様は素晴らしい。
俺は恥ずかしがるアリスを他所におっぱいに称賛の拍手を送り続けた。
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