第68話

 アリスの家が所有する別荘に来てはや五日目。なかなかアリスのモン娘化がなおらず俺達はこの別荘で足止めを食らっていた。

 ついでに言うと俺が怪我してアリスに治療されている間ずっと寝たきりだったらしい。なんとその時間というよりかは日にちになるのだが二日にも及ぶらしい。

 つまり俺たちは六日間も失踪状態という事になる。今頃アリスの親はパニックだろうな。


「人の状態を保てそう?」


 やっとアリスが人の姿に戻り、学校に帰ろうと確認の段階である。アリスはギュッと目を瞑っている。


「ナツ君の声を聞くと…あ、駄目」


 スーッと白い髪と白い肌が青く変色していく。それと同時に腹部がぷっくら膨らむ。服の上からだが、複乳が膨らむ様はとてもえっちだ。


「帰れなさそうだね」


 にしても声を聞くだけでモン娘化するとはこれはかなり手強そうだ。


「ごめんなさい」


 アリスが謝罪し項垂れる。

 でも、こうなったのも元凶を辿れば俺なんだよな。




 そう、あれはこの別荘に来てすぐのことだった。アリスが風呂行くと言ってどこかに行った後、俺はどうにかアリスのえっちな姿を忘れようと試みたが結局無理だった。俺を陰に隠れ発散しようとした。病み上がりだというのにパワフルなモンだと今になって思う。

 発散している最中俺はアリスの名前を頻りに呟いていた。冷静に考えて気持ち悪いと今になって思う。

 そんな俺の気持ち悪い姿をばっちりアリスに見られてしまった。どうやら急に俺がいなくなったため焦って俺を探し始めたらしい。見られた瞬間頭が真っ白になったね。実は兄と姉にも見られた事があるのだが、その時の比じゃないぐらい焦ったね。それこそキョウに刺された時並みにヤバいと思ってしまった。

 その日俺は野宿しようとしたのだが、そんな俺の前にアリスが現れ


『その…さっきのが目に焼き付いて人の姿に戻れないかもしれません』


 と、言うので俺は


『なら致し方なし荒療治だ』


 と、言ってスッポンポンでアリスと過ごす事にした。そしたらその日のうちに俺はアリスと致してしまったというわけである。

 



 つまりある意味俺のせいでアリスはなかなか人に戻れないのだ。


「俺の方こそごめんよ。俺があんな行為を見せてしまったばかりに」


 しょんぼりとする俺を見てアリスはふふっと笑った。


「お互い謝ってばかりです。幸せ気持ちですいっぱいなのに」


「確かに。謝る必要なんてどこにもないや。だって俺達ただ好き合ってただけじゃないか。アリスどうせだから当分二人で過ごすべ。ここで」


 当分と言っても学校もあるのでそんな長い期間いるつもりはない。アリスが人に戻れるまでの間だ。


「はい!」


 元気よく同意してくれたので俺は両手を広げた。そんな俺に応える様にアリスが俺の胸に飛び込んでくる。がっちり掴んで柔らかな体を堪能する。


「でもお父様とお母様には心配をかけたくないです」


「置き手紙でもするか。ヤーナツと旅行中ですって」


「そうですね。人と会わない様に深夜にしましょう」


 居場所は書かない様にしよう。万が一会いに来られたらアリスの姿を見られかねない。ご両親には見られても問題ないとは思うが、結局はアリスの気持ち次第だ。


「よっしゃそうと決まればさっそく書くぜ。アリスの両親に向けて書くんだよな。あれ、そう思うとなんだか緊張してきたや」


 ふふっとアリスが笑う。


「ナツ君が書いてくれるんですか?」


「そのつもりだったけど、何故だか緊張がすごいや」


「ナツ君からの手紙をお父様はどう思うでしょうか?」


 なんだかアリスが俺の反応を見て楽しんでいる。


「やっぱ怒るかな?」


「どうでしょう?」


 惚けた顔でアリスが答える。

 アリスが意地悪をしてくるのでとりあえずこちょこちょをしといた。



 

 その日のど深夜。転移魔法でアリスの部屋に二人で手紙を置きに行ったのだが、深夜だというのにやたらとアリス邸は騒がしかった。きっと学校の寮からアリスが消えたので家中騒然としているんだろうな、とあまり気にも留めなかった。


 

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