第28話
リア達が冒険者学校に行ってついに一年。
兄であるラウドは偶に帰ってくるが、リアはこの一年間一度も帰ってきてない。
何故リアが帰って来ないのかと母が兄に聞くと、どうやら向こうで男を作ったらしくそれを聞いた母は大層怒った。
ついでにリアを連れてきた俺にも怒ってきた。
とんだとばっちりだ。
というかリアは兄の事が好きだったんじゃないのか?こうも早い鞍替えとは女心マジで分からなし。
このままじゃリアは学校辞めさせられるだろうし、ちょっと心配だよ。
と、俺は俺で人の事を心配している暇はない。どうも俺の体、食事を充分に摂ってないからか筋肉がなかなかつかない。日々の素振りや筋トレ決して無駄ではないだろうが、もう少し目に見えた変化が欲しいものだ。
そういう訳で今日も今日とて全裸筋トレ。今日はアリスが来ないから躊躇なく全裸になれる。
腕立てを終わらせ血管がビキビキに浮き出た上腕二頭筋を見てると、やっぱり多少は筋肉がついてきてる筈だと思うと同時に、この血管に注射ぶっ刺されたら俺の血管破裂しちゃわね?と恐怖していたその時、「おい」と足元から声がかかる。
見てみるとウツツがそこにいた。
「ぎゃぁぁあぁぁ」
当然の如く俺は叫んだ。そして当然の如くウツツは頭だけだ。
「なんでお前何も着てねーんだよ」
「お前こそなんで来たんだよ。どうやって来たんだよ。魔法使えないんじゃないのか?」
「魔力消費の少ないやつは使えんだよ。数回しか使えねーけどな」
「へーそうなんだ。でもどうやってここへ来たん?」
確かルードラは行きたい場所を思い浮かべてなければいけなかった筈。アリスは俺の部屋を見た事があったらしいがウツツはどうやってこの部屋に来たんだ?
「そういう事が出来る奴がいてな」
ルードラじゃないんだ。
そこへ母が扉を開けやってくる。
「何事で────」
母が生首ウツツを見て固まる。
「それは一体…」
ピクピクピクと震えながらウツツを指さす。
ウツツを見られちゃったか。
仕方ないあの作戦で行くか。
「母は何を指差してるの?ここに何かいるの?俺には見えないよ」
俺がそう言うと母はその場で気絶した。
ごめんよ。また怖い思いをさせて。
「俺、母を母の部屋まで運ぶから」
ウツツにそう言うと俺は服を着、母を担いで部屋まで送りそして自分の部屋に戻る。
「で、何か用かい。正直怖いから早く帰って欲しいんだけど」
一年ぶりの再会である。何か話があると言うなら聞こうではないか。
「その前にいいか。頭痒くてよ。掻いてくれよ」
「たく、仕方ない奴だなぁ。どこら辺を掻いて欲しいんだ?」
「てっぺんだ」
俺はウツツの頭頂部に手を伸ばし掻いてあげる。
痒いのを我慢するのはなかなかきついからな。思う存分掻いてやろう。
「ルードラ」
俺は部屋から一瞬で違う場所に移動させられた。
薄暗い森の中。
ゾワッと恐怖に体が震える。
やられた。完全に油断してた。コイツ俺を殺す気だ。死にたくねー。
「誰かー助けてくれ!!戦える人呼んでくれー!」
俺は咄嗟に走り出し大声で助けを呼んだ。
近くに人がいるか分からないが一か八かだ。
「別に何かしようって気はねーよ。戻ってこい」
「え、そうなの。怖くておしっこちょっとちびっちゃったよ。恐怖で失禁、て本当にあるんだね」
「知らねーよ」
ブリーフの被害状況を確認する。
よし、着替え直す必要がありそうだな。早く帰ろう。
「こんな悪戯してないでさ、俺をお家に帰しておくれよ」
「いやお前にはやってもらう事がある。あれを見ろ」
どれどれっとウツツの見てる方を俺もみる。
そこには服がビリビリに破けた頭部の無い体が立っていた。
破けた服からは所々地肌が見えており、その中でも目立つのが完全に露出してしまった片乳だ。
なんととんでもなくデカいのだ。ネット上でしかお目にかかる事がないレベルのデカさ。流石に大きすぎるのか、重力に負けてちょっと垂れてるがそれでも若々しさのある綺麗な乳房だ。
「あれもしかしてウツツの体?」
俺は頭部の無い体を指差しながら言った。
「そうだ。あの体、仲間にはばれたくねーんだよ」
「よくあんなビックボイン今まで隠し通せてたね。乳輪もすげーでけーや。俺には刺激が強すぎるよ」
「言うじゃねぇ。ぶち殺すぞ」
「でもウツツは悪魔の姫と結ばれたいんでしょ?なら隠してても仕方なくね」
「ウッセー。余計なお世話だ」
ちょっと待てよ。おっぱいに気を取られて気がつかなかったがズボンもビリビリであそこがほぼ丸見えじゃ無いか。
なんなんだアレは。なんだってあんな
「でけー!ちんこでけー!3本目の足かと思っちゃったよ。マジででけーや。こりゃ姫さんも苦労しますぜ」
「いちいち言うんじゃねぇつってんだろ!マジでぶち殺すぞ」
ちんこデカすぎて羨ましさ通り越して笑っちゃいそうだよ。ま、笑わないけど。
「よし!なんかいいもん拝めた気がするし帰るか。ウツツ君ルードラだ」
俺はポンとウツツの頭に手を置いた。
「いや、お前は今から俺の体を無力化すんだよ」
「は?無理だよ。出来る訳ないじゃん」
ウツツの体、魔法とか使って来るんだよな。一瞬で消し炭だよ。ウツツ自身それはわかってる筈だ。
「いや今は寝てる。お前なら出来る筈だ」
寝てるんだ。ぱっと見分かんないや。
「そもそも無力化って、どうすんの?」
「近づいてぶん殴ってやれ」
何言ってんだコイツ。正気かよ。
「死にたくないからやだよ。もう帰ろうぜ」
「帰んねーよ。お前が俺の体を無力化するまで帰んねー」
「じゃあいいよ徒歩で帰る」
俺は方角も分からないまま歩き出した。
「ここら辺魔物彷徨いてるから気をつけろよ」
ウツツのその言葉にピタッと歩みを止めてウツツに泣きつく。
「頼むよウツツさん俺を帰しておくれよ。意地悪しないでくれよー」
「チッ。本当使えねー奴だな。しゃあねー。あまり見られたくなかったがアリスに頼むか」
アリスって俺の唯一の話し相手のあのアリスの事だよな。マジか。
ウツツとアリスが戦っていた時の事を思い出す。確かにアリスは圧倒していた。していたが、血を吐いて苦しそうにしていた姿も思い出す。
「分かったよ。やってみるよ。お前の体ボコボコにしてやる」
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