司祭ヨセフの手記-3

『子どもの提案に、マタイはほくそ笑んだ。信徒の中では最も敬虔だった彼までもが、悪魔のような邪悪な笑みを浮かべるようになってしまった。

「お前は悪魔だ」と、わたしは子どもを罵った。この子どもが来てからというもの、全ての歯車が狂ったのだ。院で最も若く、高貴な血筋の生まれのヨハネが死んだことで、院は多額の寄付を失った。わたしは司教の穏やかな瞳と微笑を失い、正直者のマタイまでもが堕落した。

 子どもは不思議そうな顔でわたしを見て、にっこりと、聖母のような笑みを浮かべた。その通りだと認めているようにも、わたしが罵る立場にないことを嘲っているようにも見えた。

 張形を挿入したままのアヌスに子どもの小ぶりな性器を迎え入れる形で、わたしは間接的に、マタイにも犯された。マタイの精力は絶大で、そのうち子どもが失神すると、今度はわたしの喉を使って精を吐き出す行為が夕方まで続いた。ようやく満足したマタイの尿を飲まされてから解放されると、わたしはもう疲労困憊で、起き上がることもできなかった。それなのに、マタイは容赦なくわたしの腹を蹴りつけるから、飲まされたものを吐き出しながら、いっそのこと死んでしまいたいと初めて思った。

 数日間、寝込んだあと、わたしは司教を訪れ、「もう限界です」と告げた。あの子どもは悪魔の類に違いないと熱弁し、一刻も早く、修道院から追い出すべきだと忠告した。わたしのような惨めな人間の願いなど、司教には届かないことは薄々わかっていた。わたしはもはや神の足下にさえ跪くことができないほど、穢れきってしまったからだ。

 司教は頷かなかった。それどころか、わたしを哀れなものでも見るかのような瞳で見つめ、「君には失望した」とだけ言った。

 二十年、過ごした修道院だった。神のためではなく、彼が居るから励んできた道だった。わたしの信仰は終わりを告げた。

 暖かい日差しが降り注いだある日の深夜。まだまだ冷え込む夜気を縫って、わたしは院を出た。誰にも別れは告げなかった。すっかり広がってしまった肛門には何も詰めず、きっとすぐに汚してしまうだろう下履きの替えだけを手荷物に、荒れ野へと下った。

 先日、かの司教が亡くなったと聞いた。院でのことは忘れてしまっていたと思っていたが、わたしが知っている彼の面影が妙に脳裏を過ぎるので、こうして書き付けておこうと思った次第である。

 これはわたしの告解で、最期の懺悔だ。

 男としては生きていけなくなったわたしは、ある商人に拾われて、性奴隷のような仕事をさせられた。そこで悪いものをもらってしまったらしく、身体中が爛れ、ここ数ヶ月はほとんど寝たきりで過ごしている。たくさん稼がせてもらったからと、商人はわたしを温情で療養させてくれているが、最期の我儘を聞いてもらい、高価なパピルスを何枚か手に入れてもらった。

 わたしももうすぐ死ぬだろう。自分のことだからよくわかる。

 天国の門へは行けない身体だ。向こうで彼とは再会できないかも知れない。悔いばかりが残る二十年だった。彼と共に生きて来られた二十年が、わたしの人生で最も悦ばしい日々だった。

 主よ──彼の罪も業もわたしが負います。どうか彼だけは、地獄の業火で焼かないで下さい。どうか彼にだけは、安らかな日々が訪れますように。』
















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