第45話 最終章―虹
帰りの馬車は大量の土産が詰まっている、大半は羽毛布団セットだ…、まるで王都の羽毛を買い占めたような量である。
行きとは違い、ニーナの顔は自信に溢れている。もうフードに隠れることはしない。
ヘイヴンももう自分の瞳を隠すことはしないだろう。お互いが側にいれば本当の色でいられる。
もう恐れはしない。みんなに見てもらいたいくらいだ。
こんなにも多くの人がいる世界で自分を持つことは難しいかもしれない、自分を失って…隠れて、自分をちっぽけな存在に感じたり…。でも誰かがきっと見つけてくれる、本当の色を、内側から輝く色を。
世界はこんなにも輝いている、虹のように様々な色で輝いている。
「ヘイヴン、魔獣の森はどんな色をしているのかしら? どんな色が待っているのか楽しみだわ!」
「そうだね、目をつむる暇もないかもな。」
「そう!全部見たい!!本当の色を!!!」
「どこへでも一緒にいくよ。僕にも教えて、ニーナの新しい世界を。」
「ええ!ちゃんとついて来てね、あなたがいればどんどん行けるわ!」
「ああ、ニーナの望むままに…。」
まずは二人で虹を見に行こう、どこまでも、どこまでも。
―完―
魔獣の森の眠り姫 篠キニコ @Ni_Ko
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