第43話 誓い

 ニーナの希望で王都を発つ前に結婚式を挙げることにした。

どうしてもミレーヌの眠る場所で家族揃っての結婚式がしたかったのだ。

 

 神父もいない家族だけの結婚式。


 ニーナは真っ白なドレスに身を包んでいる、頭にのせた花の冠だけが色を放っている。

まるで輝く虹のように。

ヘイヴンも正装でいつに増して凛々しい。


「お母様、しばしのお別れです…、私は、この愛する人と共に私の生きる道を行きます。」


 ニーナは墓前に王妃の愛する花を添える。

ヘイヴンは片膝をつく。


「王妃様、私、ヘイヴン・フロンデースは命ある限りカレデニーナ姫を愛し、一緒に長い人生を歩むことをここに誓います。

カレデニーナをこの世界に与えてくださったこと…感謝いたします。」


 国王は見つめ合う二人を前に、愛しき妻ミレーヌが今ここに一緒にいて微笑んでいるのが見えた気がした。彼女もまた二人を見守っている。


「ヘイヴン・フロンデース…

我が娘、カレデニーナを頼んだぞ。ここに誓いを立てよ、夫として永遠の愛を誓うか?」


「私、ヘイヴン・フロンデースはカレデニーナ・ルナ・ファンデーヌを妻として、永遠の愛を誓います。」


「カレデニーナ・ルナ・ファンデーヌ…妻として永遠の愛を誓うか?」


「私、カレデニーナ・ルナ・ファンデーヌはヘイブン・フロンデースを夫として、

永遠の愛を誓います。」


「ファンデーヌ王国国王アルフォンドがここに二人を夫婦となることを認める、

神の祝福があらんことを!」


 二人は愛する家族の前にて誓いのキスをした。


 風が吹き、王妃の愛した花の花びらを舞い上げる、まるで彼女が祝福の花びらを撒いているかのように…。

そこにいた全員が彼女の存在と愛の暖かさを感じた。


 二人はここに夫婦となった。

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