第42話 王子の心

 二人で温室へと戻ろうとするとセナがやって来た。

二人の雰囲気を見て、嬉しいような、胸がちくっとするような…初めての感覚。


「うまくいったようだな。でも…まさか親友と妹がくっつくとはな!」

「お兄様…!」


 ニーはは真っ赤になってセナに詰め寄っている。

セナとニーナが笑い合ってるのを見ると、やはり双子だな…と思う。

笑う時の目を細める仕草、口元を少し上げたかと思うと大きく口を開けて笑う。

大輪の花を思わせる笑い方。


「セナ、最近ニーナと同じ様に笑うな。」

「そうか?ま、最近は慣れてきたが…ニーナといると気持ちが流れ込んで来ると言うか…、ほら、ニーナに色が戻った様に、俺には心が戻って来たような…。そんな感じだ。」

「共有してるってことか?二人で一つ…みたいな?」


「違うわよ!私は私、セナはセナ!

最初は一つだったのを分け合ったの、色のことは分けてる途中だったからうまくいかなかったの、で、セナが持っていたの。心はね私が持っていたの、だから今返してるのよ。」


「う~ん…、なかなか難しいね…。」


 ヘイヴンにはニーナの言っていることが理解しがたい…、セナのほうはついに答えが見つかってスッキリした!と言う顔をしている。難解な双子だ。

 ニーナによると、二人分の心はまだニーナが持っていて分けている途中なのそうだ、でも心は繋がっているのでセナはニーナの心で今勉強中。

???心が繋がっている?勉強中?何を??

 意味深な笑みを浮かべるセナにはっとしてニーナが顔を真っ赤にして焦っている。


「ヘイヴン、俺の心を頼むよ。」


「あぁ、彼女が心のままに生きられるように…、俺が全力をつくすよ。」


 二人の進む道は険しいかもしれない、でもこの親友なら大丈夫だろう。大事な片割れの心はこんなにも満たされているのだから。


「ま、またすぐに会えるさ。」

「そうだな、俺たちはみんな自由だ!お前も心が戻ったんなら恋でもしてみるんだな。王太子妃探しがやっと出来るじゃないか!楽しみだな、親友よ!」


「心のままに、か…。」


 彼の心の旅は始まったばかりである、それはまた別のお話し――。

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