第39話 家族会議

 国王は城の温室に茶を用意していた、家族団欒を味わうつもりらしい。

周りを囲まれている温室ならば少ない護衛で良い、城の中だと誰かに邪魔されるかもしれない。

 

 国王とニーナは仲良く王妃の好きだった花を見ている。


「あの…、お父様とお呼びしても?」


「え、あぁ…、もちろんだよ…父と呼んでくれるのか…。」

「もちろんです。」

「なんだか照れるね…。」


「オホン…。父上、話を進めましょう。

ところで、私のことは兄とは呼ばないのか?」

「フフッ…、セナ…お兄様…?」


「うぅ…、これは…、想像以上だな。」 


三人は席について、ゆっくり話を始める。それは、はたから見るとどこにでもある家族のように。


「カレデニーナ、この国を良い国と言っていたが…。私は国王として常にこの国を良くしようと努めている、私の後はアルデンセナが次期国王として努めることになる。君はその一部になる気はあるか?」


 いきなりの核心を突く質問に少したじろいでしまう。


「それは…、私には荷が重いかと。私の存在はもうここにはないのです、明かすつもりもありません。」

「別に皆に明かさなくても良いじゃないか、ニーナはここにいれば良い。」

「アルデンセナ!分かっておろう!!」

「分かっていますよ、父上。しかし、これではニーナが…。」


「君がこの国にいたいというのなら私は全力で君を守ろう。何があってもね…同じ過ちは犯さない。」

「私がここに留まると決めれば色々と…、それに私はもう自分を隠したくないんです。この色の私を皆が受け入れるでしょうか?」

 

 国王はその問いに答えられない。答えなんてものはない。


「私も前は自分の色を隠さないといけないと思っていました…、でも今はそう思いません。」


 今日は護衛で来ているヘイヴンに目を向ける。遠くからでも分かる、あの優しい眼差し。


「フゥー…、再開したばかりでもう娘を嫁に出す気持ちを味わうとは…これは…、私から姫をさらおうとしている者と話をつけなければな。」

「父上…それはまだ気が早いのでは?」


「アルデンセナよ、こういうのは早い方が良いのだ! ヘイヴンをこちらへ!」



 ヘイヴンは茶の席に呼ばれたが、何が何だか分からない。

一緒に茶を飲めと言われたが、国王とセナの険しい顔に一応席にはついたが、茶を飲む気にはなれない。そんな中ニーナだけは目の前に並んでいるお菓子を薦めて来る。

ニーナが話しかけてくるたびに二人の顔がどんどん険しくなっていくのは気のせいだろうか?


「ヘイヴンよ、お前のことは息子のように思っていたが、まさか…、本当の息子になるとはな…。」


「…は⁈…何のことです?」


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