第23話 バラ園

 ニーナはバラ園に入るとその香りに圧倒される。 大振りなバラ、小さく可愛らしいバラ、きっと色も様々なのだろうと想像しながら一輪の大きなバラを手に取り匂いを嗅いでみる。


 その時、一陣の風が吹きバラの花びらを舞い上げる。なにか不思議な気配もあってニーナは顔を上げる。

花びらが舞うその中心に男が立っている、こんな近くに来るまで気付かなかったのにこの男は今凄まじいオーラを放っている。

 男もニーナがじっと見ているのに気づく、目が合った瞬間頭の中にキーンという感覚…頭を支配する。男の目になにか光るものが見えたかと思うと同時にニーナの目に光が飛び込んでくる…その光はどんどん色を帯びていき、今や色の洪水となってニーナの目に流れ込んでくる…色・色・色……!!!

様々なバラの色に目が霞んでくる…体が浮くような感覚の中、バラのむせ返るような香りの中に体が沈んでいく…。


「おい!!!…」 


という叫びを共にその男が駆け寄り地面に倒れる前にニーナを受け止めた、それと同時にニーナの意識はなくなった。



 ヘイヴンがバラ園に着くと地面に倒れているニーナを親友のセナが支えていた。それを見た瞬間ヘイヴンの心はカッと熱くなる。


「なにがあった?」

「分からん、地面に倒れる前に受け止めた、頭は打っていない、息はある。」

「…とにかく!彼女を部屋へ…。」


「彼女が例の?」 


ヘイヴンはニーナを抱き抱え急いで部屋に向かおうする。

歩きながら淡々と聞いてくるセナにヘイヴンはイラつきを隠せない。


「…おまえなぁ。手紙の意味ないだろ、前もってというのはなぁ…とにかく!

今日は一旦城にお戻りください!後ほど報告に参りますのでっ!!」


 


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