第20話 羽毛の待つ王都へ
いよいよ王都へ旅発つ時が来た。
ヘイヴンは一通りの報告書を作成していて、執務室で隊長に最終確認をとっていた。
窓から外を見ると、ニーナが馬車の中や外を隅々チェックし、馬の様子を見たりいしてる。それを見てふっと力が抜ける。
「いよいよだな…、ヘイヴン・フロンデース副隊長、王都への報告頼んだぞ!」
「はっ! では、行って参ります。」
馬車は数名の騎士の見送りの中ゆっくり走り出す。ニーナは目を大きく輝かせ窓の外を見ている、初めて乗る馬車に大興奮だ! 窓から見える景色に一喜一憂して、揺れさえも楽しいようで、大きく揺れるたびに大笑いをしている。
そんなニーナをヘイヴンは近くで見ながら一緒になって大笑いしていた。
そして大興奮が終わってしばらくすると、今度は頭をユラユラし始めた。
ヘイヴンはニーナの隣に移動すると彼女の頭をそっと自分の肩にもたれかかせようとする……。
「ふふ…まるで子供だな。」
「…う~ん…。」
ニーナは起きることなく頭をヘイヴンの肩に預け寝息を立て始める。ニーナの髪の毛がヘイヴンにかかる、手袋の上からでもニーナの髪の毛にくすぐられるような感覚にすでにヘイヴンの心は穏やかではなくなっていた。
「はぁ…、先が思いやられるな……。」
王都に近づくにつれ風景は田舎町から村へ、村から街へ、さらに大きな街へと変わってゆく。ニーナの目は一層輝きを増し、好奇心でいっぱいだ。
彼女の髪の毛が白味を増していた、最近ではヘイヴンがニーナの髪色を魔法で変えていた、すでにこの茶色は覚えたのでお手のものだ。
「ニーナ、髪の毛がまた白くなり始めている、元に戻すか?」
「はい、お願いします。」
ヘイヴンはニーナの髪の毛にそっと触れる、柔らかいその髪の毛の感触に心を奪われる。何回触れようともドキドキしてしまう。
ニーナの肌色も少し血色良い色にするか聞きたいが、ニーナの肌に触れることを想像すると到底出来そうにない。
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