第14話 いざ、ファンデーヌ王国へ!
旅の準備が整うと二人はファンデーヌ王国へと出発した。
ヘイヴンは新調したシンプルなシャツとパンツとブーツ。騎士の服は全てダメになってしまった、討伐に出る際に着ていた鎧については森のどこかで失くしていて、彼を騎士だと証明するのは剣だけだった。死にそうになっていても騎士の誇りである剣だけは手放していなかった。
ニーナは動きやすそうなパンツスタイルにフードのついたコートを羽織っている、髪は三つ編みにしてある、背中に弓矢を背負いショルダーバッグを掛けている。
「何が入っているんだ?」
「あぁ、薬草と…調味料…、後は髪染めも…」
「髪を染めるのか⁈」
「はい…、やっぱりこの色は目立つでしょう?じじ様に調合分量を教えて貰ってるので普通の髪色になるはずです。 ただ、3日くらいしか持たないので…ファンデーヌに着く直前に染めようかなと…。」
「そうか…」
自由に行動するニーナだが、さすがに初めて行く国だ、思うこともたくさんあるだろう…、ヘイヴンは自分がしっかりとニーナを守らなくてはと思いを固める。
「ふふふ…、前に魔法で自分の髪の色を変えようとしたことがあったんです、そしたらじじ様がすぐに髪の染料を調合してくれて…、どんな色だったかいまだに気になるんですよ、ヘイヴン見てみます?」
と言ってニーナは自分の髪を触って魔法をかけるような仕草をしている。
「…いや、まずはじじ様が作ったニーナに似合う色というのを見てみたいな、楽しみだ。」
ニーナはあまり自分の髪の色は変えない、どんな色なのか分からない…と言うのもあるが、気にならない…と言った方が当てはまる。それでもジロジロと見られるのは居心地が悪い…、なのでフードを被るのだが…。
でも、誰かと一緒にいる時にその誰かに恥ずかしく思って欲しくない。そんな思いがあってヘイヴンといる時は目立たないようにしたいのだ、彼の迷惑にならないように。
ニーナの案内は実に的確だった。森のことはもちろん、魔獣の通り道、習性を熟知している。どこを通ってどこで休むかも全部頭に入っているようだ。
案内を頼んで良かったと思う、ただ一つ困ったことはヘイヴンの剣を見ては目をキラキラさせているという点だ。やっと剣を振るうことが難ではなくなってきたヘイヴンは初めてニーナの前で剣を腰に差している。
「剣を教える気はない? もっと軽いものもあるのでしょう? それなら私にも扱えるんじゃない?」
ことあるごとに聞いてくる…、ヘイヴンは弓の腕前は到底ニーナに敵わない、剣の腕前まで上回っては困るのである。何とか理由をつけてこの問題はすり抜けなくてはならないと密かにヘイヴンは決めるのであった。
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