第5話
お夜食も今日の朝食もきっちり頂き、なんなら綺麗に食べ尽くし、料理長からお礼を言われたほどだ。舐めるな庶民の食い意地を。
「いつも食の細いお嬢様がこんなに沢山召し上がるなんで!感動いたしました!今晩もお嬢様のお好きなお料理沢山ご用意いたします!」
だってさ、涙ぐんでたよ料理長。いっつもどんだけ食べないのさー某さん。
そんなんだからこんなに体がほっそいんだよ〜
晩御飯楽しみだな〜せっかくだし沢山食べて
某さんの体を少しは肉感付けといてあげよっと
もうちょっとお肉ついてた方が可愛いと思うよ
せっかく見た目は綺麗なんだし!
うんうん、親切親切〜
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
と、そうこうしているうちに学園に着く。
馬車で行きも帰りも送迎してくれるなんて、貴族っていいな〜ほんとに
と、馬車の窓から外を見ていると
必死でよたよた歩いてくる私の姿が見えた
私の姿、ということは、あれは某さんである。
「おー、某さーん!おはよ〜」
「おはようございます、小娘。今日も元気ですわね。……!って違いますわ!小娘!待ちなさい!小娘!」
「また学校でね〜」
「ー!、!ーーーー、」
必死に何やら叫びながら追いかけてくるが
こちらは馬車、あちらは徒歩、だんだん某さんが豆粒のように遠ざかっていく。
ま、後でどうせ会うし。
学校到着。馬車から降りるなり、偉そうな金髪が近づいてくる。悪役令嬢だ
「おはよう。サラ、昨日は色々ありましたが、その後問題はなくて?」
そう挨拶されて、昨日の出来事と今自分が某さんの体だということをしっかりと思い出す。
「おはようございます。昨日は大変お騒がせいたしました。全て私の不徳のいたすところでございます。その後に関してはご安心を、イザベラ様。」
脳内シュミレーション(某さんの口調の真似)は完璧だったのでスラスラと会話ができる。
「それは良かったですわ。昨日はあなたらしくない様子ばかりでしたから心配してましたの。何はともあれ、まあ教室に参りましょうか」
怪しまれていないあたり、やっぱり某さんの口調を完コピしたということ。さすが私。
「ーー!ー、!!、!、ーー」
走行してるうちに先程遠ざかっていった豆粒
間違えた、私の体に入った某さんが
近づいてきた。
「あら、ミリアムさんですわ。昨日あんなことがありましたのに、お元気ですわね。」
偉そうに金髪が言う。
某さん(私)の事を待っているつもりらしい。
少なくとも今私は某さん、つまり悪役令嬢の取り巻きなので、悪役令嬢と一緒に立ち止まって私のことを待つ、、
「ええ、あの後救護室に行って、適切に処置いたしましたので、あの様に元気に走っているのですわ」
実際のところ、某さんが「なんでですの」botをしている間に勝手に冷やしてみたり包帯を巻いてみたりしただけなので適切な処置かどうかは分かり兼ねるが。
少なくとも私の体なのでできるだけ丁寧に頑張ったつもりではある。うん。
「、、、ハァ、、ハァ、、ふぅ、、」
息を切らして某さんがやってきた、
「……イザベラ様おはようございます。
みなさんもおはようございます、」
えらい!某さんはちゃんと今の自分の立場を理解しているのか、極力いつもの
若干いつもの私の挨拶よりも丁寧な気がするけど、
「あら、ミリアムさんおはようございます。
今日はご挨拶がいつもより丁寧ですのね」
ほら偉そうな金髪がこんなこと言うじゃないか。
某さんったら、私はあなたを完コピしてるってのに
見習って欲しいね全く
さてと、どうせみんな同じ教室なので固まって同じ方向に歩いていく
今日はどんな一日になるかな!
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