ふわりと舞う蝶
それから数週間。
教室には他の楽器の音色をも想像させるようなマーチ「エイプリル・リーフ」が響いていた。
しかし、私はまだマーチを演奏できずにいた。
簡単なところは出来ても、やはりと言うべきか指の動きが追いつかないのである。
それでも練習している教室に規則正しいリズムのマーチが響くのは、隣の奏瀬先輩のせいなのだ。
逆に隣で完璧に吹かれてしまうと情けなさと惨めな気持ちで練習しづらくなってしまうのだけど…と思いつつ再び譜面と向き合った。
その日の練習終わり。
私は怜奈先輩に声をかけられた。
「来週ね?高校から吹奏楽を始めた人向けの講座があるのだけど…どう?トロンボーンとユーフォは同じ先生にまとめて教えてもらえるみたい。私の後輩と行ってきたらどうかなって」
「講座…ですか」
正直、校外で学んでみるなんて考えもしなかったが、他の学校の子とも会えるのならいい刺激になるかもしれない。
私は、トロンボーンの1年生と共にその講座を受けてみることにした。
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