メロディの舞に見惚れる

翌週。

私はトロンボーンの1年で友人の茉莉まりと共に、講座の会場に来ていた。

会場を見渡せば、私の高校の地味な青リボンのブレザーとは大違いな華やかなブレザー、少し茶色味がかったセーラー服など、色とりどりの制服が見える。

どうして公立高校はこんなにも質素な制服なのだろう。

今回の講座では、会場近くの私立高校の生徒が多く来ているようだった。

グレーのブレザーに学年ごと色違いのチェックリボンという可愛らしい制服だ。

トロンボーンとユーフォの練習部屋に向かう途中、私はクラリネットの部屋内が目に入った。

漆黒のクラリネット、何より華のような雰囲気とリュックに吊るされた「かのん」の文字。

あの日、電車で見かけた少女だった。

制服からして近くの私立高校の生徒らしい。

私は改めて彼女の顔を見て一目惚れした。

今までに会ったことのないほどのふわりとした雰囲気と、華のように美しい佇まい。

私は、声を掛けたい気持ちをグッとこらえてトロンボーン、ユーフォの部屋へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る