第10話 再会
船があり、貿易が発展すれば海賊が横行するもの。
それはこの世界でも通用する法則だ。
ただ、船も海賊も空を飛び回るだけ。
その中でも三本の指に入る有名海賊「ブラッディティアラ」。
出身も本名も不明、そして本拠地の位置も不明。
ただ知られているのは、海賊にしては規模のある集団を率いるということと、宝物に対する執着が龍王に匹敵する水準だということ、一度の略奪で想像以上の殺戮と拉致が行われるということだけ。
「隊長。こいつらが今回捕まえた捕虜たちです。」
この世界で海賊と商船の戦闘はかなり独特な方法で行われる。
海賊も商船も船の上に設置する十分な艦隊戦用の魔力兵器など備えることはできない。
魔力を投射する武器は値段が高いだけでなく、持続的な魔力注入を要求するので、これを設置するためには船の中に(主に下段部に)魔力流倉庫を建て、そこに保存された魔力流を汲み上げるように利用しなければならない。 魔力投射兵器自体も高いが、船内に戦闘用の魔力流貯蔵所を設けることも、よほどの富裕国でない限り不可能だ。
海賊団に金が多くても、ただの成金水準の財力に過ぎないだけで、魔導学者や船舶製造専門家を通じた研究およびオーダーメード建造をして、船舶に魔力投射装置を設けることは、国家が予算をかけてしなければならないことだ。 海賊が持っている船はすべて、ある腐敗貴族が賄賂を代価として渡したり、商船を拉致して改造したり、あるいは自分たちが粗雑にさせた中途半端な船を集めたものだ。
反面、商船は商船を運用する前に国家から護衛艦を貸与され航海することを勧告されているが、その貸与料が想像以上に高かった。
事実、大部分の国家では護衛艦の貸与費用を法で定めているが、大部分の官吏がこれを軽く越えて数倍にもなる価格を受け取る。
ぼったくられることを知りながらも抗議の一言もできない理由は、商船を運用するのは平民だが、護衛艦を貸与する官僚と海軍の将校は、少なくとも男爵以上の中高級貴族だからだ。
もちろん、彼らは受け取った金のうち、国家が定めた費用を国に出した後、残りを「ごくり」するようなずるいことをしてきた。
おかげで「護衛艦」を貸与されるよりは傭兵や冒険者を雇用し「護衛兵」を船に乗せて出港する場合が大部分だ。
護衛艦の支援を受けずに海賊との白兵戦を想定しなければならない商船は、建造段階で彼らの船に大きな段を作り、有事の際にその上に上がって戦うことで、事実上空の上で「攻城戦」を繰り広げるも同然だった。
このような戦闘方式はかなり効果があるが、ブラッディティアラをはじめとする規模と経験が豊富な海賊を相手には苦戦を強いられる。
もちろん、ブラッディティアラでさえ完璧な勝利を収めることができない場合もしばしばあった。 しかし、そのような場合にも、ブラッディティアという最大限の宝物と捕虜を持って逃げることを選んだ。
それで彼女の帰還の道にはいつも宝物と捕虜が一緒にいた。
宝物は持って、捕虜は売り渡したり、ポーターとして使うのに······
「今回もそこ?」
いつからか捕虜の新しい仕入れ地が浮かび始めた。
そこはまさに···
「はい、ドラゴンズネストです。」
.
.
.
久しぶりに見る顔たち。
アウグストゥスはボルト族を出迎えた。
ボルト族が丸ごと来た理由は、最も強い戦士であり族長であるアイルをはじめ、ネアなど核心戦力がここにある以上、部族に残る者の安全を保障することが難しかったためだ。
「お久しぶり…です…」
おどおどするアイル。
「ぎこちないです、おじさん」
立場が変わって再会したらぎこちなかった。
「アイスブレーキングにはお酒が必要でしょう」
まずは臨時国賓所に案内した。
「臨時」と称した理由は、まだ都市の再建が完了していないためであった。
竜人の体力から出る労働力と、もう少し悪毒になった龍仁上段から来る収入を注ぎ込んだ結果、思ったより進展があったが、
中世風の村が破壊されたついでに、むしろ新しい形の都市に再建しようとする皇帝の欲があって、少し遅くなった。
そこで、ヘパイストスルームの破壊されていない部屋一つを臨時国賓所に決めた。
皆が入ってくることはできないので、その時アウグストゥス、いや、ヤグトを迎える席にいた者だけをそこに座らせ、残りの部族員はヘパイストスルームの外に用意された大きな臨時テントに案内した。
多少差別する感じがしたが、仕方なかった。
遊牧民の食の好みに合わせて最大限肉類を中心に用意した。
調味料を使わずに血を除去しなかった彼らの食卓を考えた時、今回もそうするのが正しいかと思ったが、結局竜人のやり方で料理した肉類だった。
本来、招待をしたなら、客を受ける者のやり方で料理をするのが正しいと考えたためだ。
また、アウグストゥスがそうだったように、新しい場所に来たら新しい料理を食べるのが当然なのだ。 彼らがずっと食べてきたからといって、こちらでも調味料を使わない臭みのある肉料理を出さなければならない理由はなかった。
そして、一緒に飲むお酒は白青酒。 どこかエルフの地から出るという噂のあるブドウで作った蒸留酒を薄めたもの。
そのブドウがそんなに貴重なせいだという。 この薄めた酒さえも人間たちの国でかなり高級品として扱われると、これを求めてきた上段が言った。
「では、単刀直入に言います。'
アウグストゥスが言った。
遊牧民たちは酒が混ざった唾をごくりと飲み込んで集中した。」
「皆さん、私の部下になってくれませんか?」
遊牧民たちが、特にアイルの目が爆発しそうに大きくなった。
「いや、余が命をする。 みんな余の部下になりなさい。 余が君たちを守ってくれる。」
これから部下になる者たちだと思って、部下に使う言い方を選んだ。
「あの、アグド······いや、龍族皇帝陛下、それはどういうこと…」
「その草原に特別な愛情があるのか?」
一ヶ所に住む者ならともかく、遊牧民にとって今住む所とは、文字通り「今住む所」に過ぎなかった。
その土地が自分たちを支えてくれなければ、いくらでも離れて他のところに定着し、そこに新しく定着する。
しかし、「その地域」だから自分たちが歩き回るその範囲自体を故郷と認識し、愛する面はあった。
「でも…···新しい定着地を建てるたびに採取所を建てるのも大変だし…」
この世界の遊牧民たちは定着地を建てる初日に魔力流採取所を建てる。
採取所を建てるにはおよそ一日程度がかかり、それも遊牧民が使うのが非常に簡素化されたバージョンなので、一日で建てられるものだという。
怪物たちに毎日のように苦しめられながら、定住文明都市に命綱をつけて生きながら、彼らの領土拡張で近いうちに衝突が発生すると見られる今、どうにかして脱出できるならしたかった。 その上、龍族皇帝と初めて接した自分たちに、前日の調査団のように何かを調べられてくる者たちが来るかもしれないことだった。
その生徒たちは若くて純真な子供たちだったので, あっけらかんと見過ごすことができた しても、帝国級国家で本格的に調査しようとすれば、さらに不快な形の接触になり、その過程で流血事態に広がる恐れもあった。
だから······
「…陛…下が住む所をご用意いただければ恐縮で…すが…」
ネミールは宮廷式言語使用も使用するが、同時に「アグド君」にそのような表現を使うということがぎこちなかったようだった。
「何···故か······」
「余はこれから偉大な帝国を建設しようとする。」
気持ちとしては気楽に話せ」と話したかった。
前世の人格がまだ残っていた彼も、年長者(前世の自分より年長者なのかは不明だが)に敬語をもらうのが不便でもあった。
前と同じような言い方をすることを許そうかとも思ったが、
護衛兵と侍女たちが出入りする今はだめだ。
彼らの中には竜人だけでなく、人間もいるからだ。
世の中の皆が例外なく皇帝を敬う姿を見せなければ、アウグストゥスが知らないある種の形で支配体系に亀裂が来るかもしれないことだった。
実際、彼らがいなかったとしても、彼らと結んだ以前の関係を完全に精算し、上下関係を確立しておかないと、疲れることが起きるかもしれない。
例外は設けないことにした。
「そして、その過程で守るための戦争も、持つための戦争も行うしかないだろう。 しかし、今余には不幸にも人的資源がない」
「だから、ご飯を食べて戦争ばかりした者たちが必要なんだ」
「あなた、いや族長!」
「···ですね。」
アイルはやっと敬語を完成させた。
自分の父親にも敬語をあまり使わない彼は、敬語自体がぎこちなかった。
「小···臣は賛成でござい···ます。」
ネバーは最初に言った。
「もうこの老人は野生も夕闇も飽きた。 ただ文明国で楽に暮らせるようにしてください。」
「私も同じ理由で賛成です!」
ネアが言ったけど、
「いや、君は楽に暮らせない」
「え?どうしてですか?」
「君が余の臣民になろうとするなら、現時間から帝国の弓手として活躍してくれなければならない。」
「...私に拒否権がないんでしょう?」
アウグストゥスはうなずいた。
「はい...」
彼女には悪いけど、彼女は必ず戦場で活躍しなければならなかった。
「娘が定着するというのに、父がついていくしかないですね。」
「族長アイル、族長位を放棄することができますか?」
「俺にも拒否権はないでしょう。 まあ、もう俺も大きな責任を負って生きていくのに飽きました。」
「そう?それは悪いんだけど…」
「何がですか?」
アウグストゥスは皮肉っぽく笑った。
「この子がこういう性格だったのかな」と 思ったんだけど···
「あなたは執政官となり、もう一人の執政官であるエイヘリア、アマテリンヌと共に帝国の国政を論じなければならない。」
「えっ?私のような者がどうやって国を治めるのですか!」
「余が皇帝になるよりは変ではない。 あなたはすでに部族を立派に導いた経験があると判断します。 この帝国の規模もまだ小さい。 この帝国の規模とともに、あなたの持つ指導力の規模も増やしてみてはどうですか?」
「かしこ···まりました···?これで合ってるか?」
ぎこちなく思う彼にうなずいた後
「アイル騎兵隊、ネア、五つ子すべてをドラゴンナイト化する。」
やはり短い時間苦しんだ後、無事に連結と力付与に成功した。
赤黒の髪はドラゴンナイトのトレードマークなのか、全ての者の髪にその色が染まった。
「小臣…には?」
アイルが尋ねた。 アイルが連れてきた騎兵隊には力を与えたが、アイルには何もしなかった。
「これから貴公が戦場に立つことはないだろう。 貴公の役割は戦士ではなく統治者になる。 もちろん黄道で敵を迎える状況も想定できるが、そうならないようにするのが皇帝の役割。余は兵士たちとは別の領域の戦場に立つことになるだろう。 その戦場にも戦士が必要。
貴公はその戦場に一緒に行ってほしい。」
何よりも、龍王であるアマテリンヌと竜人であるエイヘリアが全て自分の精神的統制を受ける者だった。
彼らの意識はすべて自分の意識に基づいていた。
白い絵の具にいくら色を混ぜても結局「白い系列」から抜け出せないのだ。
事実上、自分が国政をすべて統制するのと同様だった。
自分の統制を受けない者の視線が必要だと思った。
.
.
.
偉大なパリの王ベルゼブブは、顔が半分も焼けて消えた見苦しい姿で泣き叫んだ。
天上の攻撃と息子の覚醒エネルギーによって灰になってしまった顔があった穴から、その醜い体を動かす行動原理(生体組織)が丸見えになり、地獄、以外の表現がなく惜しいほどの姿になった。 再生をしているとはいえ、神聖エネルギーと息子の力が二重に再生を妨害していた。
口と声が消えてまともな声が出ず、さらに凄絶で醜悪だった。
多くの軍隊を一度に失ったことが問題ではない。 ベルゼブブブの軍隊は数字が主な武器。 その程度の数字はあっという間に復旧できる。
自分がけがをしたのも問題ではない。 ただ分別のない子供が親の手を噛んだようなものだ。
ただ、息子を連れて来られなかったことだけが悔しかった。
息子がよりによってその時に覚醒したために侵攻が失敗した。
息子は今、物事の分別ができない子供同然の状態。 その状態だと今後も連れてくるのが難しくなるだろう。
しかし、不可能だからといってあきらめる彼ではなかった。 親がどうやって子をあきらめるのか。 もう一度侵攻計画を練る彼だった。
.
.
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イスリオン王国第二都市ベルク。
都市三つの国でなんと首都に次ぐ大都市というポジションを持っている。
この都市にあるイリオン王立魔法大学が都市よりも有名だ。 王国では都市の片隅を大学所有の領地として与え、総長にその領主を兼任させたが、その規模が相当な水準だった。
その上、国が相当な支援金を与え、大学の領地が都市の残りの部分よりもはるかに賑やかな風景を持っていた。
ここに赤黒い肌と黒い枠を持った赤い瞳孔、黒い虹彩を持った、変な形の少年が歩いていた。
アウグストゥスだった。
もちろん、いかなる入国審査も受けなかった。
ここに至るまで誰も知らなかった理由は、まさに「認識阻害」のためだった。
タリキロンが都市の上空を飛んでも何の騒ぎもないのと同じイチロー、魔法ではなく竜族が持つ特殊能力だった。
アウグストゥスが地面に着く直前までも誰も知らなかった。
静かなところに降りた後、歩いていく龍族皇帝。
ルオンは頭を抱えていた。
レシリスは一緒に事務所に座っていた。
ヘロンがあれほど気にしていた最大の魔力源の正体は、まさに龍族皇帝だったのだろう。
自分が安逸だったことをしきりに嘆いた。
「……いったいどんなに強い個体だろうか。」
龍族皇帝の存在によって社会的に大きな騒ぎは起きなかった。
世の中に強い龍がもう一つあるのが何がそんなにおかしいのかと市民たちも政府も考えた。
しかし、ルオンの考えでは少し違った。
「最大魔力院」が観測された時点から、龍族皇帝が世にその姿を現すまでにかかった多少の時間、そして空間の変化。
もし、龍族皇帝という個体が火山龍王より強い怪物なら、狂ったように暴れ、とっくに大きな騒ぎが起きてもおかしくないはずだが、不思議なほど静かに乗り越えた。
ルオンでさえ判断ミスをするほどだった。
さらに、覚醒後に続くもう一つの平和の時間。
その時間が、平和がルオンにはなんとなく気になった。
わざと?それともある種の事情があったのだろうか?
答えが出ない質問で頭を絞っている時···
突然、総長室のドアが開いた。 入ってきたのは赤黒の肌をした、小学校から中学校に移りそうな年齢に見える少年。
「チビ、誰? なんでここに来たの? 早く···」
レシリスが優しい言葉で言ったが···
少年は黙ってドアを閉めて入ってきた。
「今、俺のことを考えているようでね」
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