第8話 HELL MARCH II
レウグートとシフルがご先祖様に乗ってドラゴンズネストに向かう頃、ボルト族のテント。
「まずい…」
イスリオン王立魔法大学の優秀な人材、ジェニーがつぶやいた。
彼女だけではなかった。 生徒たち全員が自分が野生動物になったような気がした。
スープを一口飲んだだけでも、頭の中で動物が生きている動くドキュメンタリーーが繰り広げられる味。
目の前にあるのは、いつものように血を抜いていない肉と、同じ獣の腸のような塊がいっぱい入ったスープ。
どんな調味料も、香辛料も、調味料も入っていない、まさに「野生の味」だった。
このような食べ物を食べ続けるようになった理由は···
「だからどうして今戦争をしているんだ!」
レストリア帝国軍が思ったより速すぎて足止めされてしまったのだった。
もちろん、この時点では戦争はすでに終わったが、戦争をしているという知らせも、終わったという知らせも一歩遅れて受け取ることができるこの草原で、彼らは限りなく世の中で一番恐ろしい肉汁だけを食べるようになったのだった。 彼らは両帝国が戦争をするという話だけ聞いて、どこをどのように攻撃するのか分からなかった。 イスリオン王国の隣国である両国は、もしかしたら、3国の国境が接する場所の近くで戦っているかもしれない。 だから、もしかしたらという気持ちでここにあと数日泊まることにしたんだけど···生徒たちは次第に疲れていた。
何よりも、まずいものを食べながらも文句の一言も言えないのが嫌だった。
なぜなら···この料理をもてなす遊牧民たちがあまりにも親切だったからだ。
普段、野生に住む人々に対する偏見があった。
文明離れして動物を狩る原始人。
喧嘩以外は何もできない野蛮人。
ところが、実際に会ってみた遊牧民という者たちは笑みを浮かべながら、自分が狩ったものを喜んで配る、むしろ文明人よりも優しい者たちだった。
そのような偏見が申し訳なくて、食べ物の味に対する不平を言うことができなかった。
ただ一人、レシリス·アルテミルだけはこの見慣れない食べ物が心から気に入ったように恐ろしい勢いで食べた。
生徒たちが残した食べ物を処理するのも彼女の役目だった。
純白の鎧と視野を遮った敬虔な姿勢、そしていつも親切で優しい彼女のイメージに荒々しい遊牧民とお腹いっぱいのおじさんのイメージが一さじずつ載せられる気分だった。
その代わり、レシリスは自分の分としてきたライ麦パンをすべて生徒たちに配った。
「…本当においしいから食べるんですか?」
食事を持ってきてくれた遊牧民たちがテントを出た隙に乗じて、静かに尋ねた。
「はい、おいしいですね? 動物の味がそのまま感じられていいです」
間違いなく正常ではない。 生徒たちがこの食べ物を忌避する理由と同じ理由でこの食べ物を好んでいた。そして···食事の時間にも欠かせない 目隠し物、バイザー。
その物がどんな役割をするのかは分からないが、彼女は甚だしくは薄紅色に銀色が漂う美しい髪を表わし、兜と鎧を脱いで柔らかい布に着替えた後にも、そのバイザーだけは欠かさなかった。 遊牧民たちもその姿だけは多少変なようで、不思議そうに眺めていた。もしかして本当に目に異常があるのかと思ったりもしたが、彼女に痛い傷になることもありうるので、聞きたくなかった。食べ物の好みを除けば、美しい宝石のような彼女の気性に爪ほども傷をつけたくなかった。
とにかく、その「極大魔力院」に対して何か特別なことを知ったことがあれば、このまずい食事をしてもここに来た価値があっただろうが、不幸にも何の成果もなかった。
遊牧民に聞いてみると、ただごまかすだけで、真実を語ろうとしなかった。
情報を隠す者から真実を突き止めるためには、拷問をしたり、精神操作系の魔法を利用して本音を吐かせなければならないが、そうすることはできなかった。
精神系の魔法を使える者がいないこともあり、この集団が国家権力を代行する集団ならともかく、ただ学校に代わって見学に来た生徒たちにその権利などなかった。何よりも、親切な笑いの後に凶悪な獣に乗った殺伐とした戦闘マシーンが隠れている者たちを喧嘩一度もしたことのない生徒たちがどのように拷問するのか。
こちらにレシリスがいるが、彼女がどれほど強いかは未知数であり、彼女自体がそれだけの性格を持つ者ではなかった。
そして、この集団の主要構成員は、そのような考えは最初からしたことのない純真な生徒たちだった。 生徒たちは彼らがたちが何かを隠していることに気づく者さえまれだった。
校長のルオンが低速通信魔法「エクストラレンジスピーカー(Extra Range Speaker)」を通じて戦争の終結とレストリア軍の敗退を知らせた。
通信魔法はいくつかあるが、エクストラレンジスピーカーは最も広い範囲を誇る代わりに通信保安も、通信品質も、速度も全て劣る魔法だった。
甚だしくは専用通信機が必要な一方向通信なので、ここで本国に何かを尋ねたり要請することもできない低性能魔法だった。
このような文明と離れた地域でなければ、よほどのことはないが、その遠く離れた本国から魔力通信局が一つもないここに通信するためには、これ以外に使える魔法がなかった。
「ご好意、ありがとうございます。」
レシリスが族長のエールとネミール一行に別れの挨拶をするその瞬間、空が赤く染まるのが見えた。
ここでは見えないどこかを中心にその赤い光が拡張される感じと共に強力な魔力の波動が感じられた。
「何?何?」
慌てた学生たちと遊牧民たち、そしてレシリス。
レシリスはすぐに剣を抜いて地面に突き刺した後、防御魔法「クリスタルキャッスル(Crystal Castle)」を発動した。
その直後、巨大な領域に半透明のレンガが積み上げられて作られた城壁が地面から湧き上がった。
この魔法は壁そのものの防御力も優れているが,「キャッスル」という言葉にふさわしく能動的な防御,すなわち守城りもできた。
使用者の魔力に依存して一時的に生まれる知性のない生命体、「スパーク(Spark)」が城壁の上から上がって戦闘態勢を整えた。
龍馬に乗ってきた遊牧民たちと見張り小屋に上がって弓を握っているネア、合体が完了した5人分規模の巨人まで、皆が各自それなりに戦闘準備を急いでいた。
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竜人が徐々に疲れ、敗北の空気が少しずつ戦場を蚕食していったその時、凶物を押し出して登場した青い波。
主に青色に属する色を様々に誇り、まるで玉の炎から生じる不快な光さえも宝石のように神聖に輝かせる美しい鱗からなる海龍、
主に青色に属する色を様々に誇り、地獄の炎から生じる不快な光さえも宝石のように神聖に輝かせる美しい鱗からなる海龍、
「大洋龍王」のアトリオンだった。
長い記憶の中を回って目の前に降臨したもう一つの龍王。
竜人は熱狂した。
青い光の闘魂が彼らの心臓を揺るがした。
剣を振り回す速度も、砲の威力も、魔法の範囲も格段に増えた。
「小臣の遅い参戦を罰しますように…···龍族皇帝陛下」
厳かな男性の声で静かにささやいた。
ヘパイストスルーム近くに撒き散らした火山灰が、溶岩が、炎がいくらかわからない。
その方がいる神聖な場所に入ることができるすべての場所を飛び回りながら、卑しいものを溶かす火山龍王アマテリンヌ。
おぞましい三層人塔の参戦はすでに予想していた。
どんなに巨大であれ、アマテリンヌの図体には及ばない。
切られても、突き抜けても近寄ろうと思ったら溶かして無くしてしまえばいい。
そのまま明るく潰して動けないハッシュドポテトにすればいい。
ただ…「数字の暴力」だけが怖かった。
殺しても、殺しても、殺しても集まってくるゴミたち。
人間なら、前で仲間がそれだけ死んでいけば、闘志が落ち、士気が落ちて逃げる者が出て、裏切る者が出て、自殺する者まで出てきて軍団が分裂し、結局全滅したり後退する。 人間が敵なら、敵軍に属する皆を殺さなければならない理由はない。
しかし、この狂人地獄軍団は違う。
知能が低いのか、忠誠心が高いのか、目の前で何が起きても、さらに自分の肉体に何が起きても気にせず黙々と押し寄せてくる地獄の軍団は、皆を殺さなければ攻撃が中断されない。
そして、「虫の王」ベルゼブブは、守備者に必要な殺傷力を強制的に増やさせ、疲れた瞬間、より強い者たちを相手に同じことを繰り返させる。
ヘパイストスルームの中には、アマテリンヌを除けば、ドラゴンズネストの最も強力な防御者が構えている。
しかし、この数字だとそれさえも完璧な防御を保証できない。
その防御が破られれば、アマテリンヌが世の中で最も愛する者にこの不快な者たちが至ることになる。
目の前に見える者の中で一つでもそれに至れば、その罪はこの惑星のすべての命を捧げても許されなくなる。
慈悲深いあの方は許すかも知れないが、アマテリンヌの中にいる自我は決して許さない。
そのことを考えると、巨大な体が震えてきた。
そしてそのような考えをさせたこの状況に、この無頼輩たちに火山ほど、いや太陽ほど熱い怒りを吐き出すのだ。
だが…ここを防御するためにアマテリンヌが集中する間に竜人が次第に押されていた。
けがをして、首になって、死ぬ者が続出した。
竜人が死んだら、竜人が取っておいた数字がここに集まってくる。
そしてついにすべての竜人が死んで、アマテリンヌ一人で彼ら全員を相手にする瞬間が来たら…···ハエの王は、自分の醜い空間で嘲笑して転がるだろう。
アマテリンヌが世の中で一番嫌いなこと2つは、愛する者に生じる損害と嫌悪感のある虫の王が享受する喜びだ。
その考えをしながら自ら意欲を燃やしたその瞬間、「あいつ」の気配が感じられた。
遠くから波の音が聞こえた。 青い光の魔法陣が多数投影された。 竜人たちが喜んで暴れていた。
「…遅れたじゃないか。 貴様…」
山と海、溶岩と水、翼とヒレ···
どれ一つ対峙しないことがない二人の龍王は、皆の記憶が始まるその前の時代から対立してきた。
さらに、このドラゴンズネストが天空島になった理由が、アマテリンヌとアトリオンがお互いを嫌って離れたかったためだという俗説まである。
ハエ大王を嫌う程度とは比べものにならないが、大洋龍王はただ嫌いだった。
「殺してしまいたい者」と「遠くしたい者」程度の差だった。
しかし、今はその長い間の憎しみも終結するただ一つの理由があったのだ。
しかし、二人の龍王が会っておしゃべりをしている時間はなかった。
もう一つの龍王が必要だった理由は、自分に来る敵を分散させるためだった。
数字の暴力を二つに分けることができるから。
だが、二つに分かれた各自の数字に、ハエの王が勝手に決めた数字が各自加わり、いや掛けられていた。
アトリオンは龍魔力が込められた青い波を作り、目の前のすべての存在にまき散らした。
敵はあっという間に粉になって散り、竜人は手足が再生し、魔力がみなぎった。次第に戦場の均衡が戻ってきていた。
巨大な体を持つ人塔も、その凶物な塔が崩れた体の粉になった。
しかし、戦場にいる皆がこれを歓迎したわけではなかったのに…···
「いや、おじさん!火を消したらどうするんですか!」
この下品で頑是無い言い方は驚くべきことに···
「タリキロン…」
レウグートの謹厳なご先祖様だった。 レウグートの口癖がうつったのかと思うかもしれないが、
「口癖は相変わらずだね。 君のお母と同じくらい。」
元々そうだった。 久しぶりに会う子孫に素敵な姿を見せたかっただけだ。
龍族に親をいびることは意味がない。 独立性の強い龍族の特性上、父母兄弟間の関係もあまり気にしないためだ。
「へっ、その塩水の中で数百億年も戦っても勝てないおおじさんほどではない!」
「…その口癖は、この無頼輩たちを処理してから話すんだ。」
「ふん、水を使う者と一緒に戦うことはできないから、他の所へ向かおう。 おじさんは勝手に這いよれよ。」
飛行能力が退化して飛んでいけないアトリオンを嘲弄して飛んでしまうタリキロンだった。
「本当に。相変わらず教育が必要な者だな。」
両龍の口げんかに顔色をうかがっていた竜人に再び波を送る大洋龍王だった。
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「……どうして息子を連れて来られないのか。」
「恐縮です、陛下。 陛下は軍団をその惑星の最も強いところに行かせたので…」
副官、と読んで「予備暗殺者」と呼ぶに値する者であるまた別の悪魔ナベリウスが彼の顔から笑いが見えないよう渾身の力を尽くして話した。
「その惑星で一番強いとは言うものか! 余は悪魔の君主だ! 余の軍隊がそのトカゲと半トカゲたちタウィルに勝てないなんて話にならない!」
「そうですね。 他の悪魔の君主は指を吸いながらも惑星を占領していですね。」
彼の嘲弄の態度などあきれるように、本当にあきれるように見た。 今はそれが彼の基本的な話し方だと思われるほどだった。
「…いざとなったら…」
「直接行かれるのですか? 慈愛に満ちたハエの王は、部下の醜態を共有しようとしていますか?」
「息子を連れてくることだと言った! 私が直接行くのが当たり前じゃないか!」
「そうですか? くっ。 昭信の明日の昼飯が巨大なハエの足になりそうですが…」
「…」
息子が重要とはいえ、彼の忌まわしい玉座を誰でもないこの卑しい者に渡すつもりはなかった偉大なハエの王。
「…もう少し送ることにしよう」
「小臣の浅はかな考えでは、陛下が何かをお送りになれば、向こうからもまた何かが飛び出してきそうな気がするのですが···くっ。」
「黙れ!余の命令だ! 今すぐみんなを送れ!」
「くっくっくっ。」
戦場の勝敗とは関係なく、いつも楽しんでいるナベリウスを無視したまま、追加攻撃を強行する厳しいハエの王だった。
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不潔な色の空に、さっきの六形成魔法陣より枠が太く、不明な文字が数え切れないほど取り囲んでいる五形成魔法陣が投影された。
まるで魔法陣が原子を一つずつ作り出すように姿を現す巨大な···自炊部屋の隅っこで時々出没する「あの黒い虫」に似た、足がもっと多いタイプの凶物。顔も自分勝手な目玉にやたらと覆われ、見るだけで嘔吐感が出てくる巨大凶物。
人塔巨人よりも巨大で無惨に見えるあいつらの役割は「爆撃機」。 いや、「空母」。
凶物が過ぎ去った場所に数えきれないほど多い、白くて丸い何かがどんどん落ちた。
そして、それは地面に落ちる前に姿が変わり、翼と醜い顔がついた黒、青、緑色が混ざった前後が長いカブトムシの姿に変わった。
カブトムシは汚い翼を広げて敵陣に向かって滑空し始めた。
「これはなんという悲惨で不愉快な光景だろう。」
大洋龍王は招かざる客が増えたことを見て、今まで攻撃に使われていたものとは異なる種類の魔法陣を自身の背後に多数投影した。
「数字には、数字で相対する。」
魔法陣が展開されると、まるで空間の間に穴が開くように他の空間の姿が現れると···
その中からうろこと四肢がついた爬虫類のような姿の生命体が飛び出した。
彼らの手には空色のやりが一つずつ握られていた。
「海竜人」だった。
ためらうことなく突撃する海竜人軍団の後ろにアトリオンが波を出し、海竜人とその水が出会うと海竜人の体から出てきた何かが水に混ざり、すぐにそれが割れてその中からまた別の海竜人が飛び出した。 あっという間に大軍になった海竜人たちが駆け寄って虫たちに槍を刺した。
たちまちその魔法陣から巨大な勢いで伸びる青くて白い光線。
大洋龍王アトリオンのブレスにエドオン魔法「神聖フレア(新星/Nova Flare)」が走り、あっという間に大量の虫と「空母」を処置した。
しかし...今までこの侵略者たちがそうだったように、処置したことよりもっと多い数が集まってくるのだった。
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天上。
「今、ベルゼブブがプロメテウス惑星を攻撃しています。」
ラファエルは黄色に染まった長い髪をなびかせて近づいて言った。
彼女の足取りはいつもより速く荒れていた。
「知っています。」
ミカエルが答えた。
「では、どうして黙っているのですか。」
「地獄の内戦に、私たちが介入するわけにはいきませんから。」
「内戦ですって?」
「ご存じではありませんか。 竜はもともと悪魔の一種。 悪魔と悪魔が戦うところに天使たちを送る理由はないのです。」
「人間の世界で起こっていることなのに?」
「どんな場所であれ,今起こっていることは内戦にすぎないのです。」
「あなた、人間の魂が宿ったリヴァイアサンを肉体を与えて送った方と違う方ですか?」
ラファエルの言葉が早まった。 少しずつレベルを上げる彼女の言葉に感情が混ざり始めた。
「···」
ミカエルは知っていた。 これまで悪魔の計略で何度も天使たちの地獄攻撃が誘導されたことを。
その過程で、少なからぬ天使たちが命を失った。
「最終戦争」を考えるなら、今からでも天使の数を保存する必要がある。
そのため、ミカエルは「人間が直接攻撃される状況」でない以上、地獄のことに介入したくなかった。
ところで...戦場を見守っていたミカエルの目に映った···
「…人間?」
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ご先祖様に乗っていたレウグートは無礼だが、ご先祖様を運転する方法を知ることになった。
本能的に頭が向かうところに飛んでいく龍の特性上、先祖の「取っ手」を回して方向を操縦することができた。
タリキロンはそのような不埒な子孫の行為に少なからず当惑したが、自身が今「おじさん」に見せた姿のために何と言うのもちょっとあれだった。
その上、今のように空中で多数の攻撃が殺到する今は、長い騎兵のノウハウが混ざった子孫が自分を操縦する方が正しいだろう。
しかし···
「矢が足りないです!」
彼らがこれまで持ちこたえた理由は、タリキロンのブレスとレウグートの弓使いのおかげだった。
しかし、徐々に龍に乗って弓を射ることに慣れてきたと思うと、弓が底をついていた。
デュプリケートオブジェクトを利用した矢のコピーにも限界がある。
矢に攻撃魔法を与えると同時に、デュプリケートオブジェクトを何度も使用したため、矢と同じくらい魔力も底をついた。
それに、レウグートはここに来る前まで戦いを続けていた。
二つの戦いを連続で行いながらも耐えられた理由は、彼が戦場のベテランだったからだが、経験で埋めることができることにも限界がある。
多くの騎兵が肩を並べて走っていた戦場とは違って、ここには多くの味方がいるとはいえ、空に浮かんでいるのはレウグート達だけだった。
たまに火山から龍が飛び上がって地上にブレスを撃ったりしたが、彼らは自分の領域を抜け出そうとしなかった。
いくら味方が多くても距離的に近くなければ、彼らの保護を期待するのは難しい。
冷静に聞こえるかもしれないが、戦場で多数の味方と共にして良い点は人間的な絆が増えるという点と、こちらから加える攻撃が増えること以外に自身に敵の攻撃が至るまで経なければならない「盾」が多くなるためだ。 これを考えてみると、今の状況はレウグート一行が味方と遠く離れて戦場の真ん中に孤立している状況と同じだった。
その上、ご先祖様が海龍のおじさんを相手にディスバトルをしてからそちらには行かなかったので、この戦場で最も強力な味方の支援を期待できなかった。
ご先祖様の母親が戦場の真ん中で戦っているが、彼女は自分以外のすべての戦力が自信のないところにあることを願った。
彼女と他の戦力が戦場の内外から攻撃することで、戦場の両面化が期待できるはずだから。
頭がくらくらして手がぶるぶる震えてきた。
後ろにいるシフルおじさんはほとんど気絶した状態で、生存本能だけが生き、レウグートが弓を射るのに邪魔になるほど絡み合っただけだった。
正直、生命の恩人でなかったら、尊敬する人物でなかったら、少しでも地上に降ろしたかった。
「これが最後の矢なんだけど…」
「大丈夫、子孫よ。 君はよくしてくれた。 これからは余のブレスだけを信じなさい。」
実は、ドラゴンのブレスも無限ではなかった。
ドラゴンのブレスが息を吹き込み攻撃力を加える行為であるだけに、体力を消耗した。
龍王クラスならともかく、一般的な竜であり、それも自分の力の根源である火山でずっと居住していた竜ではなく、他の地域に独立して暮らしてきた竜人タリキロンは、果てしないブレスの使用に徐々に疲れつつあった。
しかし、子孫に話すことができなかった。
自分には自分を信じてついてきてくれた者たちを守らなければならない義務があった。
また、龍族として龍族皇帝を攻撃する地獄の軍団を放置したまま後退することもできなかった。
自分に母親を守る義務はないが、龍族皇帝は命を捧げて守らなければならない。
しかし、自分が死んだら子孫が共に死ぬ運命が待っているので、子孫に打ち明けることも後退することもできず、ただ底をつく体力の井戸を黙って汲み取っているタリキロンだった。
シフルは気絶したように,いや半死半生のように見えるが,意識はやっと目覚めていた。
山岳での相次ぐ戦いに、初めて経験する飛行に疲れていったが、この戦場で自分にできることが何もないことをよく知っているが、絶対に眠ることができなかった。
これはシフルの最後の良心だった。懸命に戦う龍と若い友人を前に戦場の真ん中で自分一人だけ眠ることができなかった。
自分が何もできないことに対する悔しさを拭う彼に···
光一つが宿った。
自分の魂の中にある優しくて神聖な何かが満ちてくるのを感じた。
やがて光は魂に溢れ、肉体を満たした後、肉体の外に流れ出て…···
最後の矢をたった今放った。
習慣的に矢筒に手を近づけたが、あっという間に手を引きそうとした瞬間、矢がつかまるった。
「数字を間違えたのかな?」
確認したところ、矢筒に金色の矢がいっぱいになっていた。
これはどういうことかと戸惑っているが、後ろに死んだようにいた者から矢の色のような光が強く出ていた。
慌てたが、まずは矢筒に持った矢を射止めた。
デュプリケートオブジェクトを使用したが、効果が適用されなかった。
たまにこういう時があることはある。
魔法を連続的に使ってみると、魔法が狂って完成されないまま発現され、その効果が発現されない場合がかなりよく存在した。
莫大な量の魔力流を直接使うのではなく、個人の魔力素を使う以上、こんなことは仕方がないのだ。
それで変に思わなかったが···
矢が飛んで地面にぶつかると、強力な爆発がまぶしい光を含んで広大な領域を燃やした。
人塔巨人の体も半分近く飛んでいった。
地上で戦っていた者(竜人だとご先祖様が教えてくれた)さえ戸惑いながらこちらを見るほどだった。
それで異常現象の原因と推測される裏側を眺めると、光彩がいっぱいになったおじさんの姿が見えた。
その中でも最も慌てたのはシフルだった。 突然、すべての疲労と乗り物酔いが吹き飛ばされ、胸の中から温かい力がみなぎった。
今なら、何かできそうだった。
自分の頭脳ではなく、他の何かが自分の体を動かしていた。
「おじさん!」と叫ぶレウグートを後ろにして、龍から飛び降りて地上に降りた。
彼が地上に衝突すると、矢が作った衝突の数倍もの強い爆発が起きた。
刃が金色に変わった剣を抜いて、今まで活躍できなかった鬱憤をなだめるかのように、敵を無限に斬り、斬り、また斬った。
.
.
.
「このゴミたち!この偽善者たち!」
激怒したハエの王は玉座を壊してナベリウスを殴り始めた。
ナベリウスの手足が離れ、再び瞬時に再生されることを繰り返した。
「クククク。地上を見ているのは陛下だけではなかったようです。」
自分の体がめちゃくちゃになるのに、ただただ楽しそうに笑うナベリウス。
「さて、今度は偉大なハエの威信をかけて戦場から逃げるのですか?」
「そんなことができるのか!」
まだもっと強い軍隊はある。
だが、天上が見守っていることに気づいた今、戦力をこれ以上出すことはできなかった。
ここで戦力をさらに送れば、いざという間に天上、あるいは他の悪魔が攻め込んでくることもできた。
それに、目の前に狂ったようにくすくす笑うやつを目の前に置いたままでは、何物との戦いもできなかった。
むしろ,
「俺が行く。」
「陛下が直接、ハエの珍味を教えてくださるので、小臣はただ恐縮です。 ククク」
もうこんな奴の言葉なんて捨ててもよかった。
息子を探せば、こんなやつはあっという間に粉を出すことができた。
.
.
.
「また来るの? もうちょっと我慢してくれ。。」
戦場にいた誰かがつぶやいた。
飽きた。皇帝陛下のために戦っているのは光栄だが、すでに凶物は多く見た。 その上、フェーズが進むほど、もっと変な形をした奴らが出てくるので、ますますその次のものを見たくなかった。
これまでで最も巨大な、ヘパイストスルームほどの魔法陣が展開された。
「結局本人が来るの?」
アマテリンヌは覚悟を燃やしてつぶやいた。
これくらいの大きさならさぞベルゼブブブ本人なのだ。
詳しい状況は分からないが、その愚かなハエはきっと今焦っているに違いない。
もっとも、そのように信義もなく忠誠心もない世界なら、軍隊をすべて送るという決定をすることは難しいだろう。
あの時···
巨大な魔法陣で何か姿を現そうとした瞬間、その前に立ちはだかるように白い魔法陣が展開された。
巨大で神聖で美しい白金色の魔法陣だった。
それを突き抜けようとする何かが燃え上がっていた。
その魔法陣を使ったのはほかならぬシフルだった。
彼の体からきらびやかな光が出て、空まで届いていた。
竜人たちはその時になって、彼の体に宿ったのがこの地獄軍団の対極に立っていることに気づいた。
そして······自分たちの体にも何かが宿り始めたことを感じ始めた。
シフルに宿ったようなものではないが、
竜人たちには世の中で一番神聖で, 大切で, 至厳な何かが···
不安な気持ちで皇帝の部屋を守っていたエイヘリア。
多くの人々と2人の龍王が頑張ってくれたおかげで、まだここに足を踏み入れた者がいなかった。
しかし、いつも不安だった。
地獄の気配が次第に強まっていた。
このままだと、軍団を率いる彼本人(アマテリンヌが教えてくれた名前の中で、最もふさわしいのは「ベルゼブブブ」という名前だろう)が来るという気さえしたその時…···
部屋のドアから赤くて神聖な炎が燃え上がり、ドアとエイヘリアが作ったすべての防御陣を中から破壊した後······
ヘパイストスルームが破壊され、燃え上がった。
この戦場だけでなく、ドラゴンズネスト全体が黒く、青く、赤火炎で燃えていた。
無頼輩たちが悲鳴を上げて灰に変わり、巨大魔法陣を通じて這い出てきた奴が燃え尽きて消えた。
しかし、龍族と龍仁たちにはこの炎が全く痛くなかった。
むしろ、胸の中で、いつも何か空いていたような遺伝子の中で何かが満ちていた、
当然、最初から当然存在しなければならなかったように。
新しい力がみなぎった。
そして、彼らの魂が最も厳しい方の手を直接感じるようになったことを感じた。
わずか数分で、戦争は終わってしまった。
そして、ヘパイストスルームの残骸から神聖な漆黒と熱い星に似た青色で覆われ、前の両足に悪魔の顔が刻まれた世の中で最も強力な龍が姿を現したのだ。
誰もが感じていた。
この惑星にいるみんなが新しい、強い存在の気配を感じた。
しかも惑星だけではなかった。
その強い魔力の波動は、惑星を覆っている「黒い夜の帝国」にまで響き渡った。
そして······
風が吹いてくる殿堂で、
空気さえ凍りついた惑星の果てで、
惑星の衛星に建てられた白色宮殿で、
そして世界の中心にある奇異で巨大な木で
新しい戦慄が揺れ始めた···
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